第1章 各国の製品安全規制について
欧州(※英国に関しては下記HPをご確認ください)
CEマーキング
ニューアプローチ
1985年から欧州単一市場の形成を目指して取り組みを開始したEC(当時)は、その目的の障害となる技術的な貿易障害を低減することを狙い、ニューアプローチと呼ばれる新たな法体系を生み出しました。
①法は必須要求事項を規定するだけで、②必須要求事項を満足していることを示すプロセスは、適合性評価モジュールより製造者が自由に選択でき、③ 欧州標準化委員会(CEN)、欧州電気標準化委員会(CENELEC)、及び欧州通信標準化協会(ETSI)が作成する整合規格(EN規格)に適合する製品は、必須要求事項を満足するとした法体系になります。
これらの具体例がニューアプローチ指令と呼ばれる各種指令であり、指令への適合性確認は、製造者や輸入者の責務とされています。ニューアプローチ指令には、EMC指令、低電圧指令、R&TTE指令などが含まれています。
以下のホームページで英国の情報について確認することができます。
https://www.gov.uk/guidance/using-the-ukca-marking
New Legislative Framework (NLF)
2008年に公布されたEU官報により、ニューアプローチからNew Legislative Framework (NLF)へと枠組みが改正され、事業者(製造業者、輸入業者、流通業者等)の責務、適合性評価手続き、市場監視の強化が図られることになりました。
NLFの概念に従い、従来のニューアプローチ指令に含まれていたEMC指令、低電圧指令、R&TTE指令(改正後、RE指令)についても2014年に改正がなされています。また、2011年に公布されたRoHS指令もNLFの概念に従い改正がなされています。
整合規格 (EN規格)
EU指令の必須要求事項を満足していることを確認する技術的手段として、EN規格が制定されています。各EU指令により参照されるEN規格は整合規格(Harmonized Standard)と呼ばれ、これらEN規格に適合することによってCEマーキングの表示が可能となります。
電気分野のEN規格の制定・改廃はCENELEC(European Committee for Electrotechnical Standardization)が担当し、非電気分野のEN規格の制定・改廃はCEN (European Committee for Standardization)が担当しています。
EN規格の詳細については以下のホームページを参照してください。
- https://www.cencenelec.eu/
機械指令(2006/42/EC)
機械指令が対象とする製品は、「機械」と機械指令の付属書Ⅴに規定される「セーフティコンポーネント」です。機械指令では、「機械」を以下のように定義しています。
- a) 人力又は動物の力を直接利用しない動力システムを内蔵した、又はそうした動力システムを内蔵することが意図されているアッセンブリであり、部品の結合体として成り、少なくともそのうちの1つは動くことができるもので、特定の用途に供するために、それらが結合される。
- b) 上記a)のアッセンブリであって、使用又は設置場所においてそれを接続するための部品、又はエネルギー源や動力源に接続するための部品のみが取り付けられていないもの。
- c) 上記a)及びb)のアッセンブリであって、設置する準備ができており、輸送手段に積載され、又は建物(あるいは建築構造物)に設置されれば機能することが可能となっているもの。
- d) 上記a)、b)及びc)のアッセンブリ、あるいは半完成機械(機械指令第2条(g)に記載)であって、同じ目的を達成するために準備・制御され、その結果、全体として機能するもの。
- e) 部品の結合体としてのアッセンブリであり、少なくともそのうちの1つは動くことができるもので、そられ部品が結合されているが、その用途が、荷を吊り上げる用途であり、その動力が直接的な人力のみによるものであるもの。
付属書Ⅴに記述されるセーフティコンポーネントは、欧州の認証機関(Notified Body)による検査を受けなければならないとされています。また製品によっては、機械指令だけではなく、EMC指令や低電圧指令など、他の指令への適合性も問われる場合があります。
以下のホームページにて機械指令の詳細について確認することができます。
https://single-market-economy.ec.europa.eu/sectors/mechanical-engineering/machinery_en
EMC指令(2014/30/EU)
あらゆる電気製品や電気設備は、相互に接続されたり、近傍に設置されたりした場合に、お互い影響(干渉)しあう性質を持っています。EMC(Electromagnetic compatibility)の目的は、これらの影響度を合理的に許容できる状態で維持することにあり、電磁的妨害の低減、電磁的妨害に対する耐性の強化を狙いとしています。
2016年4月20日より、NLFの概念を含めた新EMC指令が適用されることになります。
なお、以下のホームページにてEMC指令の詳細について確認することができます。
http://ec.europa.eu/growth/sectors/electrical-engineering/
低電圧指令(2014/30/EU)
低電圧指令は、入出力の定格電圧範囲がAC50-1,000V、又はDC75-1,500Vである電気製品を対象製品とし、健康や安全を脅かすリスクを持つ電気製品の安全性を確保することを目的としています。
2016年4月20日より、NLFの概念を含めた新低電圧指令が適用されることになります。
以下のホームページにて低電圧指令の詳細について確認することができます。
http://ec.europa.eu/growth/sectors/electrical-engineering/
RE指令(2014/53/EU)
RE指令は、無線通信や無線測位のために、意図的に電波を放射、あるいは受信する電気電子製品を対象としています。従来のR&TTE指令の対象となっていた有線電気通信設備はRE指令の対象外となりました。
2016年6月13日より、NLFの概念を含めたRE指令が適用されることになります。
以下のホームページにてRE指令の詳細について確認することができます。
http://ec.europa.eu/growth/sectors/electrical-engineering/rtte-directive/
RoHS指令(2011/65/EU)
2011年に改正されたRoHS指令はNLFの概念を最初に取り入れた指令として公布されました。
この改正によって、すべての電気電子製品に対して適用されることとなり、RoHS指令に対する適合性を示す表示としてCEマーキングが適用されることになりました。
RoHS指令が規定する電気電子製品のカテゴリによってCEマーキング適用開始時期が異なっており、当社商品の大半が属するカテゴリ9(産業用監視及び制御機器)への適用開始時期は2017年7月22日となっています。
以下のホームページにてRoHS指令の詳細について確認することができます。