三次元測定機の使い方
三次元測定機を用いた測定では、安定した温度環境(20℃を推奨)の中で、いかに正確に測定点の情報を得るかが重要です。温度により膨張係数の異なる素材を使用した測定対象の場合は、室温と同化させるために5時間程度の「ならし」が必要になります。
また、安定した測定値を得るためには、設置場所の地盤が強固であること(周囲からの振動が伝わりづらい)ことも必要な条件です。
三次元測定機を扱ううえでは、座標系、投影面、プローブ形状を把握しておく必要があります。
座標系
三次元の測定では、その測定値は縦・横・高さで表現されます。
数学的にはX・Y・Z軸で表現されるものですが、測定対象の向きや置き方によっては、各軸の方向が測定器の各軸と異なる場合もあります。
そのため、測定器の定盤を基準とした座標を「装置座標系(機会座標系)」、測定対象に設定した原点を基準とした座標を「ワーク座標系」として、測定対象の座標値を表現します。ワーク座標系は、測定対象を使って座標軸の設定が必要です。
投影面
三次元空間で測定された図形は、その図形がどのように位置しているかを決定するための投影面が必要になります。線、面、円、点、円筒、円錐などの幾何学要素がこれに該当します。
【円筒の例】
三面図に描かれた図形は、平面図、正面図、側面図で構成されます。
円筒を三面図で表現すると、円(平面図)、長方形(正面図)、長方形(側面図)になります。
三次元測定機で「円」を測定する場合は、円筒の任意断面における円が測定され、その円がどこまで続いているかの区切りが必要です。
その区切りとなるのが投影面です。指定した平面(投影面)で円筒を区切ることで、どのような長さの円筒であるか(どこに配置された円筒であるか)を三次元空間に表現できるようになります。
プローブ形状
測定対象と接触する触針(プローブ)は、真球が取り付けられていることが一般的です。
プローブを測定対象に接触させたとき、その接触点は真球の表面に存在します。
真球の表面から中心までは「真球の半径」の長さがあるため、測定座標の算出には半径を考慮した補正が必要です。
この補正をおこなうために「ダミー点」が必要になります。
ダミー点は、プローブがどの方向から測定対象に向かって接しているかを判断するための点であり、これにより補正量が決定されます。