5回の「なぜ」で導き出す「なぜなぜ分析」とは?
起こった事象について「なぜ?」を繰り返しながらミスの原因を追究し、再発防止策や改善策を導き出す「なぜなぜ分析」。しかし、現場に導入してもうまくいかないケースは、少なくありません。「なぜなぜ分析」がどうしてうまくいかないのか、どうすれば根本原因にたどり着けるのかを考察します。
- この記事でわかること
そもそも「なぜなぜ分析」とは
「なぜなぜ分析」は、発生した問題事象の根本原因を探る分析手法として知られています。問題に対してなぜそれが起きたのか原因を見極め、さらにその原因に対して「なぜ?」を問うことを繰り返し、直接原因だけではなく背後にある根本原因を抽出します。
一般的に、5回「なぜ」を繰り返すと、根本的な原因にたどり着くことができるといわれています。たとえば、「不良品が出荷検査を通過して出荷されてしまった」という問題事象に対してなぜなぜ分析を試みてみましょう。
このように、事象に対して「なぜ」を繰り返して、根本原因を突き詰めていきます。最終的な結論に対して、マニュアルのレイアウト見直しや、作業に慣れていない人でもヌケ・モレがないよう重要項目をチェックリスト化するなどの対策を講じることができます。
現場でうまくいかないのは「なぜ」?
実際に製造現場でなぜなぜ分析を試みても、根本的原因までたどり着けなかったり、あいまいな結論になってしまったりと、うまくいかないことがあります。そのケースとして、以下のようなことが考えられます。
Case 1. 問題事象があいまい
なぜなぜ分析の対象とする事象の問題点が明確になっていないと、出てくる答えもあいまいになってしまうケースがあります。
たとえば、「納期遅れが発生したのはなぜか?」だけでは、繁忙期や人員不足などの現場ではどうしようもできない原因に矛先が向かいがちです。
「顧客に○月○日納品を約束していたのに、1週間遅れたのはなぜか?」というように、問題点を具体的に提示して、なぜを掘り下げることが必要です。
Case 2. 個人の問題にしてしまう
なぜなぜ分析が個人に対する責任追及で終わってしまうケースも多くあります。
たとえば、「Aさんが標準作業を守らず機械に不具合が発生した」という問題事象を分析します。そこで導き出された分析が、担当者が気づかなかったから・疲れていたから・前日に眠れなかったからなどでは、組織的な再発防止策につながりません。
担当者ではなく、担当者がミスに気づくことができない現場の仕組みに注目し、客観的な分析を重ねることが大切です。
すぐできる「なぜなぜ分析」のチェックポイント
根本原因に至らない分析では、実施する意味がありません。効果的な分析を行うために、明確化すべき事柄や意識すべきポイントを以下に挙げます。
- 対象になる問題に具体性はあるか?
- 個人的な感情や思い込みで分析していないか?
- 答えがあいまいなまま、次のなぜに進んでいないか?
- 状況や意図が伝わる具体的な文章になっているか?
- 結論に対する解決策は実行可能か?
なぜなぜ分析を組織内の問題解決に取り入れるなら、複数人で行うほうが良いとされています。客観的な視点や多面的な考え方が、適切な問題定義や根本原因に迫る助けになります。
重要なのは、誰がやったかではなく、なぜ起きたか。個人ではなく、作業環境や運用方法など組織的な問題に目を向けることが重要です。ミスが発生したメカニズムを論理的に解き明かし、根本的な原因の分析に役立てましょう。
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