驚異のリサイクルシステムで生産する“14,648km2”
日本の国土を占める「面積」の都道府県ランキングをご存知でしょうか?
1位 北海道、2位 岩手県、3位 福島県と続きます。今回紹介する数字“14,648km2”は、2022年に国内生産した段ボールの総面積です。これは日本の面積 第3位の福島県の13,783km2よりも大きくなっています。
また、このうち消費や次工程などの加工に投入された段ボールの総面積は10,869km2もあります。この使用量だけでも、7位 岐阜県の10,621km2と並ぶ数値です。
ところで1年間にこれだけ多くの段ボールを生産するには、新たな材料がどれだけ必要なのか気になるところではないでしょうか。しかし、驚くことに新しく生産される段ボールのなんと約90%、使用済み段ボールからリサイクルされているとのこと。日本の使用済み段ボールの回収率は95%以上もあり、世界でもトップクラスを誇るリサイクルシステムが段ボール生産を支えています。引っ越しや古紙回収などで段ボールをまとめて廃棄・回収に出した経験を多くの人があるかと思いますが、そうした日々の取り組みもリサイクルに寄与しているのではないでしょうか。
段ボールの主な材料は「段ボール原紙」と「糊」です。「段ボール原紙」の原料は古紙とパルプ(木材)で、「糊」の主原料はコーンスターチ、つまりトウモロコシです。材料のほとんどが天然素材であるため、合成樹脂フィルムなどで表面加工されているものを除き、そのまま土に還すことができるといわれています。
あらゆる産業で活躍する段ボール。その強さの秘密は、中心に波型の段をつけ、3枚の紙を貼り合せることで連続した三角形を形成する「トラス構造」にあります。
もちろん段ボールの素材も強さに関係しています。初期のものは梱包の緩衝材として使われていましたが、パルプや糊の品質が改良され、現在の包装箱としての用途に最適な品質になりました。
軽量で強度のある段ボールの用途は梱包・運搬にとどまらず、近年は自然災害時の避難所での活用でも脚光を浴びています。断熱性やクッション性を活かした床敷き、プライバシーを確保するためのパーティション、また、段ボールの方向をうまく組み合わせることで、耐久性のある簡易ベッドへの活用も注目されています。避難時以外にも、強度と加工しやすさを活かし、実用的な家具として商品化。最近ではカラー段ボールやリサイクル素材で作られた段ボールなど、用途だけでなく素材面での広がりもみせ、さらなる需要拡大も期待されています。
強さと軽さ、加工しやすさ、そして環境エコを兼ね備えた万能な段ボール。これからも新しいアイデアで、どのような発展を遂げてくれるのか楽しみですね。
- 関連ページ