現場改善のヒント

正しい測定で手戻り削減!
納期遅延の回避にもつながる方法とは?

正しい測定で手戻り削減!納期遅延の回避にもつながる方法とは?

加工後の部品は、設計図通りの寸法、形状に加工できているか、様々な測定器、測定装置を用いて検査が行われます。検査の結果、寸法精度を満たしていなければ出荷はできず、再加工、検査が必要です。これにより、次工程や納品先に不良品が流れてしまうことを防ぎます。

しかし、検査にミスがあったり、測定が正確に出来ていなかったりすると、不良品がそのまま次に流れてしまいます。部品の受入検査や組み立て作業の際に不良が発見されれば、その部品は使用できず手戻り品として、再加工、検査が必要になります。加工時間だけでなく、移動にも時間が余計にかかるので、納期遅延となる可能性が高まります。手戻りを減らすためには、正確な寸法、形状測定が必要なのです。

この記事でわかること

測定ミスによる手戻りで起こる影響

測定ミスによる手戻り品の発生は、時間、コストなど、製造に係わる様々な要因に影響を与えます。手戻り品が発生すれば、再加工、検査が必要です。工程間を行き来することになるので、その分の移動時間も多く発生します。外注加工に出す必要のある製品ならば、移動時間も工場内よりも多くなり、輸送コストも追加で必要です。測定ミスによる不良品がお客様に流れてしまえば、手戻りによる納期遅延だけでなく、品質管理に対してのクレームにも発展します。
手戻り品の発生は納期遅延の可能性を高め、お客様からの信用を失うことにもつながる大きな問題です。

再加工により加工に時間がかかり、材料費も増加

手戻り品は、再度加工、検査が必要です。2回加工、検査したことになるので、時間に対するコストが倍増したことになります。修正加工ではなく、新規の材料を使って加工するならば、材料費も倍になります。測定ミスが次工程でみつかれば前工程に戻すだけで済みますが、何工程も先で見つかれば多くの工程を戻すことになり、再加工、検査の時間も多くなります。当然コストも増大します。
加工時間の増加は、納期遅延発生の可能性を高めます。コスト増大、お客様からの信用の喪失など、発生する影響、損失は多大です。

製品の移動が倍発生

手戻りが社内での話ならば、隣にあるラインまで持って行けば済む場合もあります。加工品の移動にそれほど時間はかかりません。しかし、一部の加工を外注している場合は、その会社との間での輸送時間、コストが発生してしまいます。手戻りが発生すれば、外注先との製品の移動も再び発生します。時間、コストが増え、納期遅延の可能性も増大します。

寸法、形状を計測する様々な測定機器

寸法、形状を計測する様々な測定機器

測定不良を発生させないためには、各種測定器、測定装置を用いて寸法、形状を正確に測定することが必要です。測定機器を使って寸法、形状を計測する方法には、直接測定と関節測定があります。測定器の例を挙げます。

ノギス、マイクロメータ、金尺、巻き尺

直接測定は、対象物の寸法、形状を直接測る方法です。ノギス、マイクロメータは、移動する測定面で対象物を挟み込み、目盛りを読み取って寸法を測ります。金尺、巻き尺は、測定したい部分に直接当てて、目盛りを読み取ります。目盛りの範囲ならば、様々なものを容易に測定出来るので、幅広く寸法測定に使われています。
容易に使用できますが、目盛りの読み違いや、測定器の当て方により測定値に差が出やすい点が課題です。より正確な測定を行うには、複数回測定して平均値をとることや、測定に成れた熟練者が測定を行うなどの対策が必要になります。

ゲージブロック、リングゲージ、ダイヤルゲージ

比較測定は、ゲージブロック、リングゲージなどの基準器と、測定対処との寸法差から測定する方法です。測定対象をゲージ内に通す、ゲージを差し込む、基準面からの高さを計測するなどして測定します。基準器の形状、動作が決まっているので、測定が容易に行えます。しかし、特定の形状、場所、大きさに測定が限られるので、測定できる範囲が狭くなります。

大きい!狭くて深い!複雑形状!など寸法測定が難しいものの測定はどうする?

ノギスやゲージなどの測定器は容易に測定ができますが、直接当てることが出来なかったり、形状が複雑で届かなかったりする場合があり、測定できる範囲や形状に制限が生じます。そのような、大きい、狭い、深い、複雑形状の測定対象を正確に測定する際には、三次元形状測定機、レーザー測定機などの測定装置が用いられます。

三次元形状測定機

三次元形状測定機は、測定対象の形状を立体的に捉えて測定を行います。JIS B 7440では以下のように定義されています。

「互いに直行する案内と、案内の移動量を求めるスケール及びプローブをもち、それぞれの移動量からプローブの三次元座標値を求めることができる機械」

三次元形状測定機では、門型に設置されたXYZ軸に取り付けられた測定部のプローブや、多関節のアームの先端に取り付けられたプローブを、基準面に置かれた測定対象に接触させます。プローブを接触させたまま移動させることにより、接触している点を測定点として、X、Y、Zの三次元の座標を記録します。測定された座標情報を元に、二次元、または三次元の形状を作成することにより、測定対象の寸法を測定します。
三次元形状測定機では、複雑な形状の測定や、円弧の中心位置を割り出すことも容易にできます。また、近年では、プローブを接触させるのではなく、レーザー光を同じ場所から広い範囲に連続して照射することにより、三次元形状を測定する三次元測定機や、画像処理により三次元形状を認識して測定する測定装置も開発されています。そのような三次元形状測定機では、従来の測定装置には乗らないような大きな測定対象の測定も可能です。

レーザー測定機

レーザー測定機は、測定対象にレーザー光を照射して、反射光から距離を測定することにより、寸法や形状を測定する測定機です。レーザー測定機には、三角測量の原理と同じように、反射光の位置の変化から距離を測定する三角測量方式と、投影したレーザー光とその反射光の位相差で測定する「タイム オブ フライト方式」があります。
レーザー測定機を使用すれば、非接触で寸法、形状を測定することや、細く深い穴、微細な凹凸など、直接測定することが困難な場所の測定も可能です。ラインに組み込み、高速に測定することもできます。

まとめ

まとめ

測定ミスによる手戻り品の発生は、時間、コストを増大させ、納期遅延の可能性を高めます。納期遅延が起これば、金額的な損失とともに、お客様からの信用も失ってしまいます。一度失った信用を取り戻すことは容易ではありません。測定ミスによる手戻り品を削減するには、測定対象に合った測定器、測定装置を使用し、正しく精度の高い測定を行うことが必要です。また、測定ミスを起こさない測定方法の確立や、不良品を次に流さないようにするシステム作りも欠かせません。多角的な対策により、手戻り品を削減し、納期遅延を回避しましょう。

メルマガ登録(無料)

メールアドレスを登録するだけ!
さまざまなお役立ち情報や、
最新情報をお届けします。

  • 現場で役立つノウハウ
  • 「カイゼン」のヒント
  • セミナーのお知らせ

Web会員登録

  • Point
    1
    3000冊以上の役立つ資料
    すべて1クリックでダウンロード可能!
  • Point
    2
    メールマガジンで
    人気の資料新商品情報お届け!

ご相談・お問い合わせ

技術的なご質問など、
こちらからお問い合わせいただけます。

0120-100-470

受付時間 8:30~20:00 (土日・祝日除く)

お電話でのご相談・お問い合わせ

0120-100-470

受付時間 8:30~20:00
(土日・祝日除く)