現場改善のヒント

冬の寒さ対策マニュアル -冷え込む工場を安心快適に!-

冬の寒さ対策マニュアル -冷え込む工場を安心快適に!-

冬の寒さもますます厳しくなってきました。
寒さや降り積もる雪により、業務の遂行に悪影響が出ている企業もあるかもしれません。

製造現場の気温が低ければ、作業者の生産性の低下はもちろん、製品の品質にも影響する可能性があります。

今回は、冬の寒さが製造業にどのようなリスクをもたらすのか、どのように寒さ対策をすればよいのかなど具体的な方法を紹介します。

この記事でわかること

知ってる?冬の製造現場はなぜ寒いのか

冬季の製造現場における寒さ対策は、多くの工場が直面する深刻な課題の一つです。

製造現場が寒く感じる原因は工場の造りにあります。

工場は天井の高い構造が多く、温かい空気は上へ、冷たい空気は下へ溜まり寒く感じます。
また、工場の床はコンクリートや金属で造られていることが多いです。コンクリートや金属は、木材などに比べ熱伝導率が高く熱を逃がしやすい性質があるためより一層寒く感じるのです。ちなみに、金属を触ったときにヒンヤリするのは熱伝導率が高いからです。

さらに工場は人や製品の移動が多く、出入り口の開閉が頻繁に発生します。出入り口の開閉時に外気が侵入し、なかなか室温が上がらないケースも多いでしょう。

このように製造現場が寒く感じやすい原因はいくつかあり、作業者が快適に業務するためには現場の寒さ対策が必要です。

企業で対策!お悩み別生産性を向上させる寒さ対策5つ

作業者の快適さは生産性にも影響します。生産性キープのためにも、冬の工場では寒さ対策が重要です。しかし、どのように対策すれば効果的かわからない場合もあるでしょう。そこで以下に工場に導入できる5つのお悩み対策を紹介します。

  • お悩み①暖房の効きが悪い(ジェットヒーターを活用)
  • お悩み②体感温度が上がらない(加湿器を設置)
  • お悩み③床からの冷気が不快(断熱材を設置)
  • お悩み④隙間からの冷気で寒い(間仕切り対策)
  • お悩み⑤工場内の温度管理が厳しい(臨時休憩室を活用)

適切に寒さ対策をすれば従業員が集中して作業でき、工場の生産効率アップにもつながるでしょう。

お悩み①暖房の効きが悪い(ジェットヒーターを活用)

工場内は床面積が広く天井も高いケースが多いため、通常のストーブなどの暖房器具では十分に室内を暖めることが難しいでしょう。
そこでジェットヒーターの導入がおすすめです。ジェットヒーターとは強力な熱源と送風機が組み合わさった暖房機器であり、室内の広範囲を短時間で暖められます。
例えば手作業で行う製品の梱包工程では、部屋が寒く手がかじかむと作業スピードの悪化や、製品を手からすべらせてしまうなどのリスクも懸念されます。

ジェットヒーターで部屋全体を素早く暖めて、快適に作業できる環境を整えましょう。

お悩み②体感温度が上がらない(加湿器を設置)

冬は気温が低いだけでなく湿度も低く乾燥しやすい季節です。乾燥した空気は肌から水分を奪いやすく、その気化熱により体感温度も下がります。湿度が30%変化すると、体感温度が1~2℃も変わると言われています。

体感温度の低下を防ぐためには加湿器の導入がおすすめです。加湿により体感温度が上がるだけでなく、静電気の発生も抑えられるでしょう。
また、製品をできるだけ濡らしたくない場合は、水の粒子が非常に細かいドライフォグを噴霧するのも効果的です。

加湿により作業者にも製品にも良い環境作りを目指しましょう。

お悩み③床からの冷気が不快(断熱材を設置)

冬の製造現場は、特に床付近の温度が低くなるケースが多いです。作業者の足元が冷えると作業に悪影響を及ぼしたり、寒さによる不快感を与える可能性があります。
なかでもコンクリートや金属でできた床は熱伝導率が高く、熱が逃げやすい環境にあります。

床からの冷気を防ぐためには、床断熱が効果的です。床と床下の間に断熱材を設置することで、外部からの冷気が伝わりにくく、また部屋内の熱が外に逃げにくくなります。

断熱材の種類は様々ですが、例えば高純度のアルミ系断熱シートは、ストーブなどから発生する輻射熱を室外に逃さないようにし、室温低下を防ぐ効果があります。

お悩み④隙間からの冷気で寒い(間仕切り対策)

ジェットヒーターなどの大型の暖房器具の導入が難しい場合、部屋を仕切って空間を狭めることもおすすめです。ビニールカーテンやパーテーションで作業に必要なエリアだけを区画化できれば、低コストかつ迅速に部屋を暖められます。

さらに効果的に対策する場合は、パーテーションの隙間を埋めるテープや、断熱シートを併用したり、窓を二重にするなども良いでしょう。

もし、仕切りや断熱材をクリーンルーム内で使用する場合は、発塵性に問題がないかなど事前にチェックしましょう。

お悩み⑤工場内の温度管理が厳しい(臨時休憩室を活用)

工場内の温度管理が厳しかったり、屋外での作業があったりする場合は、冬場でも暖房機器の使用が難しい場合もあるでしょう。
ヒーターベストの着用も有効ですが、指先が温まらなかったり、ヒーターのバッテリーが一日持たなかったりする可能性もあります。

作業場での暖房器具の使用が難しい場合は、近くに臨時の休憩ブースを設けるのがおすすめです。作業者が定期的に暖を取れれば、冬場でも集中して作業ができるでしょう。

【事例紹介】冬でも快適な作業環境を実現するために

製造現場の過酷な寒さを乗り切るために、企業は様々な対策に取り組んでいます。効果的な寒さ対策を実施できれば、作業者が快適に業務に取り組めるでしょう。

こちらでは企業が取り組む寒さ対策の一部を紹介します。参考にしていただき、ぜひあなたの職場での寒さ改善のヒントにしてみてください。

ウォームビズ実施によるエネルギーコスト削減事例

【会社】フィルム関連メーカー

【対策詳細】

CO2削減による地球温暖化対策として、クールビズは比較的耳馴染みがあるのではないかと思います。同様に冬場の地球温暖化対策として環境省が提唱するウォームビズがあります。

こちらの企業では、毎年11月〜翌年3月までをウォームビズ期間としており、社員への積極的な呼びかけを行っています。
暖房設定温度は20℃とし、その温度でも快適に過ごせるように厚着するなどして、「過度に暖房器具に頼らない」ことを掲げています。

ウォームビズは地球温暖化対策になるだけでなく、自社のエネルギーコスト削減にもつながるため、経営改善にも効果のある対策といえるでしょう。
社内でウォームビスの制度を導入すればすぐにでも始められるため、ぜひ今から試してみてはいかがでしょうか。

小型空調設置による製品特性評価の安定化

【会社】産業部品メーカー

【対策詳細】

こちらの企業では、電子部品に使用する極小の部品を製造しています。精密な製品のため寸法や重量の品質管理が重要とされています。
しかし高精度の分析機器は室温変化に敏感で、冬場は暖房を使用しているものの室温が安定せず正確な分析が困難でした。

そこで、室内に分析用の小さなブースを設け、その中に小型の空調設備を導入しました。ブースで仕切られているため周囲の温度変化の影響を受けにくく、冬でも温度が一定となり安定して分析ができました。
また、分析したいときだけ空調を使用すればよく、ブースも小規模のためエネルギーコスト削減にも効果的でした。

ブースの規模が小さければ比較的安価で設置できるため、分析の安定性でお困りの場合は、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

万全の寒さ対策で冬の製造現場を快適に乗り越えよう

今回は冬の工場が寒くなる理由と寒さを改善する方法を紹介しました。

製造現場は室内の空間が広く、床がコンクリートや金属で造られている場合が多いため、比較的寒くなりやすい傾向があります。

製造現場が寒いと、作業者が集中できず生産性が低下したり、製品の品質に悪影響を及ぼしたりします。

寒さ対策には、ジェットヒーターや加湿器などの設備を導入することが効果的です。また、断熱材やパーテーションなどで外部へ熱が逃げるのを防ぐことも大切です。

いよいよ冬本番。快適に寒さを乗り越えられるように、ぜひ万全の対策で臨みましょう。

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