チームワークなくして成功なし!
製造業での強い現場の作り方
チームワークは、仕事をはじめ、スポーツやコミュニティなど、チームで活動する様々な場面で耳にする言葉です。特に、製造業においては、製品を効率よく安全に製造するためにチームワークが重要となります。
今回は、製造業におけるチームワークの必要性や、チームワーク向上のための方法、チームワークを生かした成功事例などを紹介します。
- この記事でわかること
チームワーク無くしてモノづくりなし!?チームワークの3つの効果
製造業では、1つの製品を作り上げるために複数の部門や工程が関わっており、チーム単位で取り組む業務も多々あります。
そのため、必然的にチームメンバー間での連携が必要となり、理想的な業務遂行のためにチームワークは欠かせません。
以下に、製造業におけるチームワークの効果を3つ紹介します。チームワークにどのような効果があるか知ることで、業務に生かしやすくなるでしょう。
効果1:高い目標を達成する原動力となる
個人で完結する業務においては、その成果は個人の知識やスキルに依存する場合が多いです。一方、チーム単位の業務では、チームワークを発揮することにより、メンバー同士の相乗効果でより高い目標の達成が期待できます。
例えば、製品に新機能を追加する時、一人では実現することが難しい場面があるとします。しかし、調査・設計・解析などそれぞれに強みを持つメンバーを集めてお互いに弱い部分を補うことで、課題解決に至る可能性が高まります。
このように、チームワークを生かすことが、高い目標を達成する原動力となります。
効果2:生産性とコスト改善のカギとなる
一人では時間のかかる業務でも、チームワークを発揮することで作業効率が上がるため、生産性やコストの改善が期待できます。
例えば、金型の製造では、設計・加工・組立て・プレス・検査など様々な工程が存在します。しかし、これらの技術すべてを一人で習得し、高品質な製品を提供するには膨大な時間が必要ですし、生産量も制限されます。
各工程を分担してチームで製造に取り組むことで、生産量を増やせたり、一人ひとりが自身の作業に集中できたりするようになります。その結果、生産性が向上し製造コストの改善につながります。
効果3:現場発のイノベーション創出の源泉となる
製造業では、チームメンバーのささいな意見から、新製品の構想や現場改善のヒントを得ることがあり、大きな成果につながる可能性もあります。
同じ現場で働いていても、人によって考え方や着眼点は違います。何十年も働いているベテランならではの説得力ある意見や、新人からのこれまでには考えもしなかった斬新な意見など様々です。
そのような現場の意見をすくい上げて、製品開発や改善に生かすことがイノベーションを生み出すきっかけとなるかもしれません。
チームワーク軽視のリスクは甚大!
製造業において、チームワークが悪い状態での業務遂行は、様々な問題を引き起こす可能性があります。
どのようなリスクがあるかを事前に理解しておくことで、不要なリスクが避けられ、チームワーク向上のモチベーションにもつながります。
以下に、チームワークを軽視した時に発生し得るリスクを3つ紹介します。もし現在、チームワーク不足を感じるのであれば、これらのリスクにご用心ください。
コミュニケーション不足による重大な労働災害の危険
製造現場には様々な装置が導入されており、使い方を誤ると大きな危険を伴うものもあります。
特に、複数人で使用するような量産向けの大型装置であれば、互いの声掛けなどチームワークを必要とする作業もあります。
チームワークが悪いとミスを引き起こす可能性が高まり、最悪の場合、大きな労働災害にもつながります。
このようなリスクを避けるためにも、十分にコミュニケーションを取りながら作業することが大切です。
従業員のモチベーション低下と優秀な人材の流出
チームワークが悪い場合、業務のやりがいや楽しさも見出しにくくなり、モチベーションが低下する恐れがあります。
業務への積極性が失われた社員は「ぶらさがり社員」とも呼ばれ、そのような社員が増えると生産性の悪化にもつながります。さらには、ぶらさがり社員の穴埋めをするために、他のメンバーの負担が増える可能性もあります。その結果、優秀な人材が次々とその現場を離れてしまうかもしれません。
業務へのモチベーション維持のためにも、良好なチームワークを築くことが大切です。
メンバー間の軋轢で目標達成の足を引っ張られる
チームワークが悪いと良好なコミュニケーションが不足し、メンバー同士の人間関係が悪化する可能性があります。
些細なことで意見が対立するようになり、議論が平行線になったり、形式的になったりすることもあります。さらには、お互いに認め合おうとせず、目標達成の足を引っ張り合うような行動にもつながります。
このようなメンバー間の軋轢を生まないようにするため、良好なチームワークを維持する必要があります。
盤石なチームワーク実現のためにやるべきこと
盤石なチームワークを築くことで、業務効率を高め、業務上のリスクを低減することが期待できます。しかし、チームワークが自然に築かれることもあれば、人の手を加えてチームワークを発揮しやすい環境を整える必要もあります。
以下に、盤石なチームワークを実現させるためにやるべきことを3つ紹介します。さらなるチームワークの向上を目指して、業務に積極的に取り入れてみてください。
“ゴール&ロール”をはっきりとさせる
チームの目標を明確化し、メンバー全員で同じ目標に向かう意識を持つことで、優れたチームワークが発揮されます。
また、チームの中での一人ひとりの役割を明確にすることで、自身の業務に責任を持つようになり、チームが上手く機能するようになります。さらに、各メンバーの貢献度を評価しフィードバックすることで、業務に対するモチベーションの向上も期待できます。
このようにチームの目標とメンバーの役割を明確にすることで、良好なチームワークの形成につながります。
チームリーダーがメンバーを統率する
もし優秀な人材が揃っていても、それを取りまとめる者がいなければ優れたチームワークが発揮されにくいため、リーダーがメンバーを統率する必要があります。
効果的にチームを統率するために、チームリーダーは日頃からメンバーと積極的にコミュニケーションを取ることが大切です。会話の中で、一人ひとりのスキルや性格を把握し、適材適所に業務を割り当てる必要があります。スキルが不足しているメンバーには積極的に教育し、チームのレベルを底上げしていくことで、チームワークの向上が期待できます。
このように、チームリーダーがメンバーを統率することで、盤石なチームワークを築くことができます。
フラットなコミュニケーションの場を創出する
チーム内でコミュニケーションしやすい環境を整えることで、メンバー同士の交流が増えることが期待できます。その結果、忌憚なく意見を交わせるようになり、良好なチームワークの構築につながります。
コミュニケーション活性化の具体的な取り組みとして、各種コミュニケーションツールの導入や、交流会などの社内イベント、スポーツなどの社内サークルも有効です。最近では、デスクを固定せずに、好きな席で業務ができるフリーアドレス制を導入する企業も増えています。
フラットなコミュニケーションの場を創出することで、意見交換が活発になり、チームワークの向上が期待できます。
【成功事例に学ぶ】チームワーク力の可能性
コミュニケーション活性化、新規アイデア出しなど、チームワークを上手く活用して、業務改善に取り組む企業も多いです。
チームワークを生かす方法を具体的にイメージしてもらうために、2つの成功事例を紹介します。あなたの会社での業務改善のきっかけになれば幸いです。
中小企業が取り組んだコミュニケーション活性化施策
【会社】 | 金物メーカー |
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【課題】 | 会社全体として人材育成に力を入れており、チームワークの醸成やコミュニケーションの活性化が課題であった。 |
【施策】 | QCサークルなど、社内で積極的にユニティーワーク(小集団活動)を取り入れた。業務以外でも、社員旅行や社内運動会などの社内イベントを積極的に実施した。 |
【成果】 | QCサークルでは、チームの課題解決のため、自主的に勉強したり活発にコミュニケーションする機会が増え、メンバーの意欲向上につながった。 また、社内イベントを導入することで、他の工場メンバーとのコミュニケーション活性化につながった。 |
大手産業用製品メーカーの改善アイデア出し施策
【会社】 | 産業用製品メーカー |
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【課題】 | 会社全体としては改善のノウハウが多く蓄積されている状況であるが、そのノウハウが部署ごとに独立していた。そのため、効率良く改善を進められず、機会損失が発生していた。 |
【施策】 | これまで接点はなかったが、業務内容が近い別の部署と交流する機会を設けた。その中で、それぞれが取り組んでいる製品や業務について課題を共有した。 |
【成果】 | それぞれの課題に対して、お互いの部署がひとつのチームとして協力し、解決に向けて取り組んだ。その結果、お互いのノウハウが存分に生かされ、これまでにはない新たな発想で改善を進めることができた。 |
最強のチームワークを追求して生産性の高い現場へ
今回は、製造業におけるチームワークの重要性について解説しました。
目標の達成や業務の効率化、労働災害の回避のためにもチームワークは欠かせません。チームワークを発揮することで、一人では解決が困難な課題でもクリアできる可能性があります。
優れたチームワークを築くためには、目標の明確化や、チームリーダーによる統率、コミュニケーションしやすい環境作りが大切です。
最強のチームワークを追求し、生産性の高い、活気あふれる職場を作っていきましょう。