医療機器の多くは人体に直接使用されるため、高レベルな安全性・機能性が要求されます。ここでは、デジタルマイクロスコープで観察事例の多い、カテーテルやステントの事例を紹介します。

カテーテルのデジタルマイクロスコープでの観察

カテーテルとは

カテーテルとは、医療用に用いられる柔らかい管のことです。胸腔や腹腔などの体腔、消化管や尿管などの管腔部または血管などに挿入し、体液の排出、薬液や造影剤などの注入点滴に用います。

カテーテル治療とは

動脈硬化によって十分な血流が確保できない血管を、もとの幅に近い状態に拡張する治療がカテーテル治療です。代表的なカテーテル治療として、バルーン治療とステント治療があります。

バルーン治療

カテーテルにガイドワイヤーと呼ばれるバルーン(風船)を入れて血管を押し拡げます。
動脈硬化にバルーンで圧をかけて拡げることで血管の幅を確保します。

(1)ガイドワイヤーを通す
(2)バルーンを導入
(3)バルーンを膨らませる
(4)バルーンをしぼませ、引き抜く

ステント治療

バルーン治療は動脈硬化に傷が入ったり、再び血管が閉じてしまうことがあります。そのため、バルーン治療だけでなく、その後にステント治療を行うことが多くなっています。ステントは、動脈硬化の部分に針金を通し、バルーン(風船)の上にステントと呼ばれる金属の管を被せ、挿入します。血管を押し拡げて、中のバルーン風船だけを取り出すと、血管を支える支柱のように金属の管が拡がり、血管の幅を確保します。

(1)ガイドワイヤーを通す
(2)バルーンにステントを被せたカテーテルを導入
(3)バルーンを膨らませ、ステントを血管壁に圧着
(4)バルーンをしぼませ、引き抜く

デジタルマイクロスコープによるカテーテル・ステントの観察・撮影事例

キーエンスの4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」を用いたカテーテルやステントの観察・撮影の最新事例を紹介します。

カテーテルの撮影観察事例

カテーテルの表面傷の観察
50x リング照明 (HDR画像)
カテーテル先端の表面観察
80x リング照明
HDR機能を使用することで、透明体表面のテクスチャーを強調できます。
カテーテルのガイドワイヤーの先端観察
500x リング照明
500x Optical Shadow Effect Mode画像
Optical Shadow Effect Modeを使用することで、表面の微細な形状が確認できます。

ステントの撮影観察事例

ステントの連結
20x ミックス照明
画像連結機能を使用することで、広視野、高解像度の観察が可能です。
ステント表面の高倍率観察
500x 同軸落射照明
ステント表面の高倍率観察
400x ミックス照明
深度合成機能を使用することで、高倍率でも容易にピントを合わせることができます。