ガラス製品の不良解析や破面解析
さまざまな産業に使われているガラス。窓やスマートフォン、光学レンズはもちろん、ガラス基板やガラス繊維などといった、日常は目にしない特殊な部品や材料まで幅広く使用されています。
一方で、弾性や靱性が低く破損しやすいため、ガラス製品の品質検査は高い頻度で入念に行われます。しかし、強い光沢面の小さな傷の観察には、高い技量を持った検査員と優れた検査装置が必要です。
ここでは、ガラスの破面解析の基礎知識から、最新の4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」による不良解析の課題解決事例を紹介します。
ガラスの破面解析
ガラスは、鋼やアルミニウムといった素材に比べ、機械的強度以上の引張力が加わると変形することなく壊れます。これは、ガラスが靱性や弾性に乏しい脆性素材のであるため変形せず、加わった力のほぼすべてが破壊に使われるためです。
衝突による傷の場合も同じで、ガラスは凹んだり変形しないため傷が付きやすく、傷が付くとそこから一気に破壊に至ります。また、衝突も摩擦もなく傷がないように見えるガラスでも、拡大して見ると細かな傷(グリフィスの傷)が無数にあり、これがガラスの理論強度を約1/100にしているといわれています。
一方で、ほとんど変形することなく破壊するため、破断面にはアルミニウムなどの延性素材には残らない破壊に至った原因が多く残されます。衝撃の強さや速度・向きは「クラック」や「ミラー面」、「曇り面」「ハックル」といった模様で、「リブマーク」といわれる模様の形状は、破壊が進んだ速さや方向を示します。
つまり、ガラスの破面解析とは、破断面を状態を正確に捉えてこれらの模様の向きや大きさ、数やパターンを観察し、破損の状況を考察することです。そして、高精度な顕微鏡やマイクロスコープによる破断面の観察が、ガラス製品の不良解析にとって不可欠であるという理由が、ここにあります。
4Kデジタルマイクロスコープによるガラス製品の不良解析事例
ガラスは、さまざまな製品や部品に使われていますが、ここではガラス製品の不良解析を、破損したガラスの破断面や傷や端面の研磨状況の観察を例に紹介します。さらに、普段は目にしないガラス製品である、ガラス基板のパターンやマーク、ガラス繊維などの4Kデジタルマイクロスコープによる不良解析事例を紹介します。
ガラス破面解析
通常のマイクロスコープでは、解像度が足りず不鮮明な画像しか得られないことがありました。
4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」は、深い被写界深度と高解像度観察を可能としたHRレンズと4K
CMOSに加え、「ライブ深度合成」により、簡単な操作で対象物全体にフルフォーカスした高精細4K画像を瞬時に取得することができます。
破断面に現れる微細な情報も、高精細に観察・解析することが可能になります。
ガラス内鉱物の解析
ガラス内鉱物の観察には、立体的なピント合わせが必要です。この場合、一般的な顕微鏡ではピントが一部にのみ合い、他の部分を観察する場合はピントを合わせ直す必要があります。これには多く工数と慎重な操作が必要です。
4Kデジタルマイクロスコープなら、深い被写界深度と「ライブ深度合成」で、高倍率でもガラス内鉱物のすべてにフルフォーカスした鮮明な4K画像を得ることができます。
ガラスびんの傷解析
ガラスびんの表面は、何段階もの磨き(研磨)工程を経て滑らかな光沢を得ています。しかし、この光沢が不良解析を困難にしている原因の1つでした。
これまでの顕微鏡やマイクロスコープでは、ガラスびんの表面が発する強い反射光が観察・解析の妨げとなっていました。特に、観察・解析が不可能になるような、リング状の強い反射光は大きな問題でした。
しかし、最新の4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」なら、「リング除去」機能で反射光を除去することができます。美しく磨き上げられたガラスびんの些細な傷も、正確に観察することができます。
ガラス石英のマイクロクラック解析
通常のマイクロスコープを使った高倍率観察では、解像度が足りず不鮮明な画像しか得られないことがありました。
4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」は、高解像度撮影を可能にする高分解能HRレンズと4K
CMOSを搭載。ガラスのマイクロクラックのような、きわめて微細な対象物も、高精細画像で観察することができます。
ガラス端面研磨傷の解析
4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」は、多彩な機能を使って微細な欠陥を鮮明に捉えることができるため、正確かつ素早い観察・解析・評価が実現します。
ボタンを押すだけで、全方位の照明による複数の画像を取得する「マルチライティング」機能は、解析に最適な画像を選ぶだけなので、照明条件出しの作業を大幅に時短します。画像の選択・保存後であっても、自動保存された異なる照明条件の画像を呼び出し、各種測定を行うことも可能です。
ガラス基板のパターンマークの解析
4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」は、指定した範囲における対象物の面積計測や個数カウントが自動で行えます。
画像の輝度や色を基に2値化処理を行います。2値化された画像データからは、面積・最大径・最小径などのパラメーターの算出や、不要な対象物の除外、重なり合う対象物の分離も可能です。また、過去に計測した画像データを用いて、同じ条件で解析を行うことができます。
さらに、測定値は表・ヒストグラムに出力することができるので、粒度分布の特徴を定量的に把握することができます。
高分解能HRレンズと4K CMOSを搭載した「VHXシリーズ」なら、通常のマイクロスコープでは解像度が不足するような場面でも、高解像度撮影が可能。ガラス繊維のような、きわめて微細な対象物も高精細画像で観察することができます。
この1台で、観察・解析からレポート作成まで
高精細4Kデジタルマイクロスコープ「VHXシリーズ」を用いることで、従来の顕微鏡やマイクロスコープに比べ圧倒的な効率化や、人による誤差の解消と正確なガラスの不良解析が実現します。
また、最先端の光学・画像処理・自動化技術で実現した高精細4K画像により、ガラス製品でも簡単な操作で自動面積計測やカウントができるため、より高度な解析結果を素早く得ることができます。
撮影・測定したデータは「レポート機能」により設定した定型フォームで簡単にレポート化できるため、品質保証のみならず問題発生時には原因究明や工程改善などに活用することができます。
そのほかにも、最先端の機能を数多く搭載した
「VHXシリーズ」は、ガラス製品の不良解析の強力なパートナーとなります。詳細に関しては、以下のボタンよりカタログをダウンロード、または、お気軽にご相談・お問い合わせください。