現場改善のヒント

ポカミスを撲滅できないのはなぜ?
根本的な要因と改善ポイントを掘り起こすには

対策が難しいといわれる、人起因の「ポカミス」。しかし、その要因は現場の作業者だけにあるとは限りません。
根本的な要因を突き止め、改善するには、初歩的な段階に立ち返ったチェックが有効な場合があります。さらにポカミスの発生状況と性質を把握し、視点を変えて要因を探ることで、改善ポイントを導き出せるケースがあります。

この記事でわかること

(1)ポカミスを4大要因から防止する

ポカミスの要因は大きく4つに分類することができます。下記の表のように、4大要因から、それがどのように影響しているのか考察していきます。

ポカミスの4大要因と影響

ポカミス4大要因 考えられる影響
【認識の欠如】
ポカミスした本人が認識していない。または、本人でミスを修復しているため、周囲が認識できていない
ポカミスが認識されず潜在化
【標準の欠如】
スポット作業・イレギュラー作業・トラブル対応などで、「標準」を設けずに作業
ポカミスが定義されず放置状態
【標準の不備】
標準を守る目的や指示内容が曖昧、NGの定義が不明瞭
作業者の解釈に依存するため、ポカミスが多様化
【教育・訓練、適正の不足】
作業者への教育・訓練が不足。同時に、適正判断も困難
人起因であるポカミスは不可避

ポカミスは、その突発性や頻度によって認識・対策しにくいことがあります。
上記のように初歩的な要因を見直し、作業開始前にチェックすることで、ポカミスを防止できる場合があります。

(2)発生状況から性質を把握する

人起因といわれるポカミスは、いくら改善に取り組んでも、また突然発生してしまい、現場で悩みの種となっているケースは少なくありません。「(1)ポカミスを4大要因から防止する」では、初歩的な要因と影響の見直しの例を紹介しました。次は、さらに「ポカミスの発生状況」からその「性質」を把握する例を紹介します。これらの状況と性質から、どのような観点で根本原因を探るかを絞り込める場合があります。

ポカミスの発生状況と性質の例

発生状況 性質
低頻度かつ突発的に発生する 要因が潜在化している
対策でいったんはおさまるが、再発する 根本原因がつかみにくい
ケースが細分化している。同じ対策が効かない
(チェックシート、ダブルチェックなど)
違いや共通点がつかみにくい
対策しても頻発する ミスの性質が顕在化してない

(3)視点を変えて、改善ポイントを掘り起こす

人起因のポカミス対策は、作業者や作業手順に着目したものが多くなりがちです。しかし、それが「(2)発生状況から性質を把握する」にあるように、ポカミス要因の潜在性や状況・頻度のバラツキ、再発性などの性質を与えているケースは少なくありません。次は、下記の3つに視点を変えて考察・改善する例を紹介します。

人だけでなく原則にも目を向ける

ポカミスは人起因のエラーですが、それを故意に起こす人はいません。
そこで、視点を変え、人だけでなく作業環境など原則の細部にも目を向けることも重要となります。作業者も管理者もあまり意識していなかった、原則の細部にこそ、慢性的なポカミス要因や改善ヒントが隠れている場合があります。

作業者の心理に潜む要因

多少作業しにくい環境(原則)であっても、生産に追われる作業者は、 「ミスのないように注意しよう」 、「この環境に慣れよう」 と考えてしまうことが少なくありません。このような「注意することに慣れる」という矛盾が、ポカミス要因の潜在化につながります。

作業者の目線で原則を見直す

図は極端な例ですが、原則に潜む要因が人に影響しているケースを示しています。この場合、作業者の経験やスキルに関わらず、突発的にポカミスが発生し、生産効率にまで影響している場合があります。

原則に潜在するポカミス要因の改善例

原則に潜在するポカミス要因の改善例

A:組立中のワーク B:部品 C:作業台(改善点:台の高さ・奥行を最適化)
D:部品置き台(改善点:部品の視認性・取りやすさの向上)

このように原則がポカミスの要因となっている場合、チェックシートやダブルチェックによる改善を実施しても、根本的なポカヨケにはなりせん。物の配置や手順通り作業しやすいかなど原則を作業者の目線で見直すことで、根本的なポカヨケと同時に作業者への負担軽減、さらには生産効率アップにもつがることがあります。

人起因のポカミス要因を見直すことは、IoTやAI、ロボットの技術が進歩しても、人が利用する限り普遍的なものかもしれません。機械やシステムがインテリジェントになるほど、人による定義(インプット)はより重要になるといわれています。インプットに欠如や誤りがあると、高度なデータ処理や機械学習、分析結果などのアウトプットが、人の目的や意図に沿わないものになってしまうためです。

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