はじめに ~IoTとセンサ~
「IoT」とは「Internet of Things(モノのインターネット)」の頭文字を取った単語で、通信機能が組み込まれたもの同士が、インターネットを通じてつながり合う状態を意味します。
産業用機器から自動車、家電製品まで、その対象はさまざまですが、ここでは特にFA(ファクトリーオートメーション)分野でのIoTについてご紹介します。
IoTで工場をつなぐ
工場内の機器や工場同士をネットワークにつなぐと、以下のようなメリットが得られます。
- 監視や管理の対象となる機器のデータを収集し、状態を把握することで、システム全体を最適な制御下に置くことができる。
- 収集したデータを蓄積し分析することで、新たな付加価値を得ることができる。
工場でのIoTは、センサなどの機器をネットワークに接続し、データを収集・活用することから始まります。その活用範囲は工場内の状態把握に留まらず、ERP(財務や会計など経営資源管理を行うシステム)と連携して工場の稼働を効率化したり、他の工場とつないで物流を最適化するなど、製造業の生産性を大幅に向上させることが期待されています。
革新を実現するためのセンサ導入
工場内の装置やロボット、センサをネットワークにつなげ、さまざまな情報を見える化し、情報の因果関係を明確化した製造現場をスマートファクトリーといいます。
スマートファクトリーを推進する上でセンサは必要不可欠です。センサがあることで、さまざまなデータを取得・収集したり、商品の製造条件やロット情報を検索・追跡したりすることができます。
センサにAIの技術を組み合わせれば、AIが自律的な判断を行い、機械やロボットと協調し、生産の最適化を実践することが期待されています。
センサ導入の課題とキーエンスのソリューション
工場内の機器をネットワークにつなぐためには、さまざまなレベルの機器がデータをやり取りする必要があります。
工場の情報システムを階層別に見ると次のようになります。
- 財務や会計など経営資源管理を行う ERP(Enterprise Resource Planning)システム
- 生産ラインの実行と管理を行う MES(Manufacturing Execution System)
- コンピュータによるシステム監視とプロセス制御を行う産業制御システム
- 制御機器PLC(Programmable Logic Controller)
- 現場での産業用ロボットや各種センサ・アクチュエータ
ただし、センサなど末端の機器をネットワークに接続する際には、多数の規格が乱立している現状がしばしば問題になります。IoT化は今まだ過渡期にあるため、各社が個別の通信規格でネットワークに対応しており、相互の接続が困難になりがちです。センサなどの機器も、該当するネットワークに対応していなければ接続はできません。
そこで弊社では、工場内のあらゆるものがネットワーク化されようとしている現在の過渡的な状況においても、さまざまなネットワークに対応し、変革に対応しうる製品群を開発することで、製造現場のお客様を支えていこうとしています。