現場改善のヒント

科学的手法で現場のムリ・ムダ・ムラをなくす IE(Industrial Engineering)とは

作業効率向上やコスト削減、現場環境の維持には、改善活動が欠かせません。改善を行う手法はさまざまで、製造現場では各種の手法を組み合わせ、日々改善活動を行っています。IE(Industrial Engineering)はその一種で、およそ1世紀前に提唱された改善手法です。人や物の動きを科学的な手法で細かく分析することで、現場に隠れるムリ・ムダ・ムラを明確にし、改善していきます。このページでは、IEとはどのようなものかを紹介すると共に、手法の例、実施する際の注意点などを解説します。

科学的手法で現場のムリ・ムダ・ムラをなくす IE(Industrial Engineering)とは
この記事でわかること

IE(Industrial Engineering)手法とは

IEとは、論理的な分析によって、生産性を向上する手法です。工程や作業の方法、作業にかかる時間などを科学的な手法に基づき細かく分析することで、ムリ・ムダ・ムラのない最適な方法を導き出します。

IEの起源は、20世紀初頭に発表された「科学的管理法」です。その基礎は、機械技師であり経済学者でもあった、アメリカのフレデリック・テイラーにより発案されました。それまでの製造現場は、統一された管理は行われておらず、作業は属人化して、非常に非効率なものでした。テイラーはこれに対し、作業者が1つの作業にどれくらい時間を要しているかをストップウオッチで計測し、1日に完了すべき基準仕事量を設定することを考えました。他にも、管理者の機能を計画と執行に分離する「職能的職長制」といった、論理的な管理方法を考案します。さらに、親交のあった経営コンサルタントのフランク・ギルブレスが研究していた、作業の個々の動作を分析して最適な動作を追求する手法などを加え、科学的管理法を確立しました。

その後、科学的管理法は多くの人による研究、改善を加えながら発展してきました。現在では製造業に限らず、あらゆる業種にかかわる経営管理の工学的な問題解決方法として、IEの手法が活用されています。

方法研究と作業測定

IEにはさまざまな手法がありますが、その基礎となるのが作業研究(ワークスタディ)です。IEの作業研究は、方法研究と作業測定の2種類に分類されます。

方法研究

方法研究とは、作業方法を分析してより良いやり方を探し出すための手法です。工程や作業方法、作業動作を細かく分けて分析することで、ムリ・ムダ・ムラを探して改善していきます。具体的な手法としては、材料から製品までの一連の流れを分析して改善する工程分析や、作業者が行うすべての動作を分析して最適な動作を求める動作研究などがあります。

作業測定

作業測定とは、作業を定量的に測定するための手法です。作業時間や効率を客観的に数値化し、作業に必要な標準時間を設定したり、非効率な作業をなくしたりすることに用いられます。作業にかかる時間を計測する時間研究、作業者や設備の稼働状況を把握して稼働率の比率を調べる稼働分析などがあります。

方法研究と作業測定は、それぞれ単独で行っても大きな効果をあげることができません。作業にかかる時間を計測するだけでは、その作業が本当に必要かどうか、無駄な動きはなかったかなどを分析することまではできないからです。したがって、IEでは方法研究と作業測定を相互に組み合わせて実施することが必要とされます。

IE手法を使う注意点

IE手法を用いて工程や作業を分析・改善する際には、注意点があります。それは、分析が客観的かつ定量的でなければならないことです。分析から得られる結果は、誰が行っても同じにならなければなりません。判断する者が代わるたびに作業方法や工程が変わるようでは、現場に混乱を招きます。

客観的な分析のためには、感覚的な要素は排除し、数値や数量などで表した定量的なデータを収集することが必要です。また、作業の指示も定量的でなければ、結果にムラが出てきます。定量的なデータを収集するには、工程の機械化のほか、測定器や変位計を用いた作業の数値化を積極的に行うことが必要になります。そして、収集したデータのグラフ化や図表化を行うことも有効です。

科学的手法を用いた管理により生産性の向上を追求してきたIE手法は、改善が重ねられ、時代背景とともに変化を続けてきました。そして価値観が多様化した現在、IE手法は会社の利益のみを追求するのではなく、環境問題、働く人の人間性や暮らしといった要素も加わり、製造現場の改善に役立てられています。

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