現場改善のヒント

FAの現場にも必要?「三直三現」の心構えとは

FAの現場にも必要?「三直三現」の心構えとは

製造業では、立場に応じてそれぞれ判断力が求められます。製品や部品の製造・加工を実際に行う現場では、業務内容が現場に近ければ近いほど、取り巻く要素が多種多様かつ複雑です。より多くの事象に対する判断力が求められます。
個人事業主を除き、経営者が現場の装置やワークについて詳細まで把握し、トラブル発生時に直接具体的な指示を出すケースはほとんどないでしょう。
そのため、現場では装置の不具合や不良品発生時に、ラインや工程の管理者や作業者によるスピーディな状況把握と適切な判断が求められるシーンが数多くあります。
今回は、現場で万が一のトラブルや問題に直面した際に、すばやく適切な判断をするための考え方の1つである「三直三現」について解説します。

この記事でわかること

三直三現とは

三直三現とは、現場・現物・現実の3つの「現」を重視する「三現主義」に対して、生産性と大きく関わる「直ちに」を加えた考え方のことで、「三直三現主義」とも呼ばれます。一見、難しそうな印象のネーミングですが、考え方は至ってシンプルで、それぞれ下記のようになります。

  • 現場…直ちに現場に行く
  • 現物…直ちに現物を見る
  • 現実…直ちに現実を把握する

これには諸説あり、下記のような考え方もあります。

  • 現場…直ちに現場に行く
  • 現物…現物を直接見る
  • 現実…現実(現像)は直視する

いずれも、現場に行くということが前提ですが、前者はスピード感を持った対応が強調されています。一方、後者は即行動することに加えて客観的に物事を捉えることも重要しています。いずれも、生産現場においては重要なことです。

製造現場における三直三現の重要性

三直三現という考え方は、単なる理想論ではありません。すぐ現場に行って実際の状態を見ることなく、正確に現状を把握し、適切な判断をすることがいかに困難かということを表しています。
トラブル発生時に三直三現を実行しない場合の問題点を、判断する人・報告する人の双方の立場から考えてみましょう。

・判断する人:正確な把握と適切な判断が困難
たとえば、事務所での仕事が忙しく、現場からの報告だけを聞き、どんな対応をすべきかを机上で判断するとしましょう。そこで出せる答えは、個人の経験や想像の範疇を超えません。現場・現物・現実とギャップがあった場合、結果として適切な対応が遅れてしまうことにもなりかねません。
・報告する人:正確な情報伝達が困難
一方、報告する側には、複雑な現状を正確に言語化するという難題が課せられます。装置のトラブルや製品の不良は、簡単に言語化できるものではありません。これでは、スピード感だけでなく、問題解決に不可欠な情報の正確性も欠如しやすい状態に陥ってしまいます。

製造業の現場では、現場からの報告だけでは正確な状況把握が困難な場合が多いため、直ちに現場に行くことから始まる、三直三現の考え方が有効です。
現場に行かず、誤った解釈と判断で対処すると、問題が解決されないばかりか、事態が悪化したり、大きな事故に繋がったりする可能性もあります。こうしたことから、品質・生産性・安全性などさまざまな観点で、直ちに現場に行き現物を見て現実を正確に把握する三直三現を徹底することが、適切な判断をするためにいかに重要であるかがわかります。

三直三現をFAの現場で実践するには

三直三現の考え方に基づいて、とにかく現場へ直行するだけでは、正しい判断と問題解決ができるとは限りません。
直ちに現場へ急行したものの、目にしたことのない光景・状態・音・におい・熱気などに、経験による判断が機能しないこと、自分たちの手に負えるかどうか判断できない場合も考えられます。また、現場に行っても経験や勘で解釈・判断してしまうと、問題の解決に至らない可能性もおおいにあります。
そこで、FA(ファクトリーオートメーション)の現場で、どのようにして三直三現を実施すべきかを考察してみましょう。

できる限りトラブルを発生させない

当然のことですが、可能な限り三直三現を行わなくて済むよう、普段からトラブルを未然に防ぐ対策を実施しておくことが最も重要です。
たとえば、装置の重要部分の温度・圧力・電圧・流量などを監視したり、それらのデータを収集・活用することで、予知保全によるトラブル回避が可能となります。またワークの検査データを活用した傾向分析で、不良発生への対策が可能となります。

ノウハウの集積・共有

ある人が、迅速なトラブル対策に成功しても、あるいは失敗から学びを得ても、それらのノウハウが共有されなければ意味がありません。ノウハウの集積と共有がなければ、どれだけ三直三現を実行しても、個人の経験や勘、想像だけにとらわれない判断・対策は実現できません。報告会やレポート化、画像や数値を伴ったデータの蓄積によって、正しい判断と対応を直ちに行うことができるようになります。

事前に考えうる限りの対策を用意しておく

ノウハウの集積・共有とも共通しますが、工程や装置、ワークごとに、現場で直ちに対策できるよう、あらゆる対策のパターンを用意しておくことが大切です。また、誤った判断で労働災害が起きないよう、直ちに装置メーカーに連絡する、あるいは消防署に連絡する基準などを設けておくことも重要です。

FAの現場では、工夫次第でデータを収集・活用し、直ちに合理的で正確な判断・対処が可能となります。IoTの導入により、データに基づいた効率的なメンテナンスを実行したり、それにより不具合や不良の発生を防止したりといったことが可能となります。FAにおいては、生産ラインの設計や段取りの段階から、トラブル回避はもちろん、万一の際の三直三現の実現も念頭において取り組むことが非常に重要となります。

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