測定室の温度管理(3/4)
- 分類:
- 最近話題の寸法測定
測定温度によって結果に差が出てしまうので、あらかじめ温度の条件を定める必要があります。いわゆる測定の約束事ですね。この温度を標準温度と呼び、工業的な長さを測定する際の標準温度は国際標準化機構(ISO)や日本産業規格(JIS)で定められています。
ISO1では、製品の幾何特性仕様および検証のための標準基準温度を20℃と定めているので、今回はこの温度を基準に考えていきたいと思います。ちなみにISO554-1976やJIS Z8703-1983では23℃を標準温度にしていますが、こちらはICなどの寸法をはじめ、抵抗器やコンデンサの校正など、電子業界を中心に使用されています。
正確な測定を行うには室温はもとより、測定器や物体の温度も一定に保つ必要があります。しかし、一般的な測定室の場合は外気温の変化の影響を受けたり、人の出入りによって外気が侵入したりすることで、室内全体の温度を一定に保つことは困難です。また、さまざまな素材が組み合わされ、照明機器なども取りつけられた測定器全体の温度を一定に保つことも現実的には難しいと言えます。
一般的にはノギスやマイクロメータなどの測定工具で2時間以上、ゲージブロックなどの標準機であれば8時間以上、20℃の温度下で温度慣らしをしたほうが良いと言われています。ただし、氷点下と15℃の場所にあった測定器では温度慣らしの時間も異なり、一概に何時間すれば大丈夫とも言い切れません。これは三次元測定機でも同様です。また、測定対象の物体も温度慣らしをする必要があります。
空調設備の温度を20℃に設定したとしても、室内の場所によって温度差が発生していまいます。そこで測定室の温度を一定にするため、サーキュレータを複数台設置し、空気を対流させることも有効な手段。また、測定器に風が直接当たるだけでも測定結果に大きく影響がするため注意が必要です。
ノギスやマイクロメータなどで測定する際、それらの測定器や測定対象の物体を手で持ちます。このときに手から温度が伝わってしまうこともあるので、測定室の温度に加えて測定方法にも注意しましょう。手計測だけではなく、三次元測定機を操作する際にも同様に温度が伝わってしまいますのでご注意ください。
正確な測定を行ううえで温度管理は非常に重要なファクターです。しかしながら、測定室の温度を標準温度の20℃に保つことは非常に難しく、精密空調設備などを導入したり、外気の侵入を遮断したり、さまざまな手間とコストがかかります。また、測定器や物体の温度慣らしには時間もかかり、測定待ちによるタイムロスも発生するため、精密測定は設計者や開発者、品質管理者などの頭を悩ませる問題でした。
測定室がなくても精密測定できる測定器
「精密な測定をしたいが測定室を用意するほどのコストはかけられない」「測定室はあるが測定待ちの時間を短縮したい」といったお悩みをお持ちでしたら、ぜひ
をご検討ください。
以下よりカタログのダウンロードも可能です。