輸出・海外規格

第3章 機械安全規格について

日本における機械安全の考え方

機械の包括的な安全基準に関する指針 - 厚生労働省 通達

2001年6月1日に「機械の包括的な安全基準に関する指針(厚生労働省 基発第501号)」が厚生労働省から通達されましたが、2007年7月31日にこの指針を改正する旨の通達(基発第0731001号)が出されました。
この指針の改正の背景には、2006年4月1日より施行された改正労働安全衛生法により、危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく措置の実施が努力義務化されたこと、また、機械類の安全性に関する国際規格等が制定されたことなどがあります。なお、基発第0731001号により、基発第501号は廃止されています。
この指針の目的として、基発第0731001号では、「指針は、すべての機械に適用できる包括的な安全確保の方策に関する基準を示したものであり、機械の製造等を行う者及び機械を労働者に使用させる事業者の両者が、この指針に従って機械の安全化を図っていくことを目的としたものである。」と述べられています。

以下のホームページにて機械の包括的な安全基準に関する指針、又は改正労働安全衛生法の詳細について確認することができます。

厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/

ISO12100の規定との相違点

「機械の包括的な安全基準に関する指針」で示される内容は、国際規格であるISO12100とほぼ同様の内容となっていますが、ISO12100と最も異なる点として、機械を労働者に使用させる事業者にも安全方策を明確に要求している点があげられます。
指針によると、機械を労働者に使用させる事業者の実施事項として、次のような事項があると規定されています。

  • [1] リスクアセスメント、及びその結果に基づくリスク低減措置の実施
  • [2] リスクアセスメントを実施するための労働安全衛生管理の実施
  • [3] リスクアセスメントを実施するための情報の入手
  • [4] リスクアセスメントの結果、リスク低減措置、及び残留リスクについての記録の保持

労働安全衛生法(2006年4月1日施行)

上記の「機械の包括的な安全基準に関する指針」は、労働安全衛生法が改正されたことを受けて公表されたものです。
2006年4月1日に施行された改正労働安全衛生法では、その第28条の2において、職場における労働災害発生の芽(リスク)を事前に摘み取るため、設備、原材料等や作業行動などの調査(リスクアセスメント)を行い、その結果に基づいて必要な措置を実施するよう努めなければならないとされています。
また、この改正を受けて、労働安全衛生規則第40条により、リスクアセスメント及びその結果に基づき講ずる措置に関することが、職長などへの教育事項として追加されています。

ISO12100のJIS規格化

ISO12100:2010は、すでに日本において「JIS B9700」としてJIS規格化されています。
JIS規格の内容については、日本産業標準調査会(JISC)のホームページ(http://www.jisc.go.jp)で確認することができます。

その他の国際規格のJIS規格化

ISO12100だけではなく、機械安全に関連する多くのISO規格及びIEC規格がJIS規格化されています。以下はその一例です。

国際規格 内容 JIS規格
ISO12100 設計のための一般原則 JIS B9700
ISO13849-1 安全制御システム規格 JIS B9705-1
ISO13857 安全距離規格 JIS B9718
IEC60204-1 電気設備安全規格 JIS B9960-1
IEC61496-1 センサ安全規格 JIS B9704-1
IEC61496-2 ライトカーテン規格 JIS B9704-2
IEC61508 機能安全規格 JIS C0508
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