スマートフォン・タブレット製造における塗布
スマートフォンやタブレットといったタッチパネル端末をはじめ、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスや各種IoTデバイスの普及と高機能化は進む一方です。
こうした電子機器の小型・薄型(低背)・軽量化と同時に、高機能化を目的とした構成部品の小型・多品種・高密度化が要求されるなか、「塗布」は製造工程に欠かせない手段として多用されています。
スマートフォン・タブレット製造における「接着」
製品組立や部品組付に、ビス(精密ネジなど)での接合を多用した場合、製品の小型・薄型化、内蔵する部品数・バッテリー容量の増加の妨げとなります。
そこで、接着剤の塗布による接合を活用することで、ビスの使用を必要最低限に抑えます。多数の部品や大容量バッテリーを内蔵するスペースの確保が可能となると同時に、自動塗布で接着することで、生産効率向上が実現します。
- 接着剤(UV硬化型・瞬間・嫌気性など)塗布
- 製品組立:カバーガラス、タッチパネル、光学フィルム、液晶パネル、ケース内蔵部品の組付:各種モジュール、FPC(フレキシブル基板)、リチウムイオン二次電池(LiB)など
- クリームはんだ塗布
- 基板実装:マザーボードへの各チップ組付など
- シール材塗布
- 防水シール:カバーガラス、筐体(ケース)、コネクタ周りなど
トピック:先進的デバイスの性能を支える塗布品質
スマートフォンでは、小型・薄型・軽量化に加え、防水・防塵性能への要求が高まっています。これは、ウェアラブルデバイスやドローンなど屋外使用される高性能な機器においても同様です。これらの実現に大きく関与する技術が、ディスペンサを用いた小型ワークへの微量な接着剤やシール材の自動塗布です。
- A. ディスペンサ
- B. 被塗物(ワーク)
- C. 正常な塗布
- D. 脈動
- E. 塗布量過多
- F. 液だまり
- G. 塗布量不足
こうしたデバイスの組立や部品の接合では、塗布の精度が製品品質や性能に直結します。特に防水を目的にシール材を連続的なビード状に塗布する工程では、「脈動」や「塗布量過多」、「液だまり」、「塗布量不足」といった塗布形状の欠陥が、製品の品質や性能に大きく関わります。しかし、固化・封止後では塗布検査は困難になります。
不良品流出の防止策としては、塗布したシール材の形状を高精度に全数検査し、塗布欠陥の発生を正確に検出することが重要です。
スマートフォン・タブレット製造における「機能付与・表面処理」
スマートフォンやタブレットといったデバイスの大きな特徴として、高画質なディスプレイや直観的な操作を実現する「タッチパネル」が挙げられます。タッチパネルの製造では、工程の随所で機能の付与や表面処理を目的とした塗布が用いられています。
タッチパネル製造工程における塗布の例
- A. カバーガラス
- B. タッチセンサ
- C. 液晶パネル
- D. 筐体
- B-1. ITOパターン(X軸)
- B-2. 絶縁層
- B-3. ITOパターン(Y軸)
- タッチセンサ(図中B)
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- ITO膜パターン形成:レジスト塗布、スクリーン印刷でのパターニング(銀ナノワイヤーインクを用いた透明電極パターン印刷など)、表面コーティングなど
- 液晶パネル(図中C)
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- TFT(アレイ)工程:ガラスの表面処理、レジスト塗布、配向膜塗布など
- カラーフィルタ工程:カラーレジスト塗布、ITO膜付、保護膜形成など