原子間力顕微鏡(AFM)

原子間力顕微鏡は、微小なバネ板の先端に鋭い探針を取り付けたカンチレバーを、試料表面より数nmの距離にまで近づけて、探針先端の原子と試料の原子の間に働く原子間力によって試料の凹凸を測定します。原子間力顕微鏡は、原子間力が一定になるよう(カンチレバーのたわみが一定になるよう)ピエゾスキャナにフィードバックをかけながら走査をおこないます。
ピエゾスキャナにフィードバックされた変位量を測定することによりZ軸の変位、すなわち表面構造を取得します。

ピエゾスキャナの変位量を測定する方法としては、カンチレバーの背面にレーザー光を照射し、その反射光を4分割(または2分割)フォトダイオードで検出する光てこ方式を採用したものが一般的です。

原子間力顕微鏡(AFM)
長所 短所
  • 分解能(2点を見分ける最小距離)が高い。
  • 超高倍率の3次元測定が可能。データの後加工もできる。
  • 大気中での観察が可能で、試料への前処理が不要
  • 物性(電気物性、磁気物性、摩擦・粘弾性など)解析ができる。
  • 低倍率(広領域)や大きな凹凸(数μm以上の高低差)の試料は測定不可。
  • 場所探しが困難。広視野から狭小領域へ視野を絞り込んでいくため1サンプルあたりの解析時間がかかる。
  • 大きな試料は測定できない。(前処理・加工が必要)
  • 比較的操作が難しく、カンチレバー交換などに熟練が必要。

測定領域が狭小

AFMは、極微小な領域の3次元形状を測定することができる拡大観察機器です。SEMとは異なり、高さデータを数値で取り込むことができるため、試料の定量化やデータに後加工を施すことができます。また、通常雰囲気で手軽に測定ができるため、試料への前処理や導電性などの制限がありません。
しかし、高分解能であるため、逆に測定レンジ(XYZにおいて)が狭いという制限を受けます。また、測定箇所に探針を正しく位置決めするのが困難ということやカンチレバーを所定の位置にセットする必要があるなどの操作性に熟練を要する部分があります。

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