押出し成形:インフレーション法

ここでは、押出し成形(インフレーション法)のメカニズムから注意すべき欠陥・不良まで、詳しく説明します。

インフレーション法の概要

「インフレーション法」は、押出し成形の一種で、樹脂(プラスチック)の袋状フィルムの成形に特化した方法です。
「インフレーション(inflation)」は「膨張」を意味します。リング状の「ダイ」から溶融樹脂を薄いフィルム状に押し出します。それと同時に、冷たい空気を吹き込み、一定の大きさに膨張させることで袋状に成形します。
単層以外に、共押出しによって多層フィルムの成形も可能です。

従来は、塩化ビニル樹脂(PVC)を材料としたビニール袋の成形が主流でしたが、現在では、主にポリエチレン(PE)を使ったポリ袋などの成形に用いられています。

インフレーション法のメカニズム

「インフレーション成形機」は、主として(1)押出し機(2)丸ダイ(金型)(3)インフレーション・冷却(4)締付けロール(5)巻取り機の5つの機構から構成されています。

一般的なインフレーション成形機の構造
一般的なインフレーション成形機の構造
  1. A.ホッパー
  2. B.空気
  3. C.空気流入口
  4. D.エアリング(冷却リング)
  5. E.バブル
  6. F.ガイド板

(1)押出し機

加熱溶融した樹脂(プラスチック)を「丸ダイ」へと押し出します。

(2)丸ダイ(金型)

樹脂が円筒状のフィルム形状になるように押し出します。

(3)インフレーション・冷却

「丸ダイ」の中央部からフィルム状となった樹脂に空気を送り込み、膨らませます。同時に、「エアリング(冷却リング)」を経由した空気が、チューブ状に膨らんだ樹脂を空冷・固化させます。この状態の成形品は、「チューブフィルム」と呼ばれます。

(4)締付けロール

締め付けロールは、チューブフィルムを挟み込み引っ張ります。それにより、チューブフィルム内部の空気を締め出しながら引き取ります。

(5)巻取り機

チューブフィルムを巻き取り、ヒーターやカッターで所定の長さに切断します。その際、片側を熱溶着で閉じることで、袋状にします。

インフレーション法で生じる欠陥・不良

インフレーション法では、下記のような欠陥・不良に注意する必要があります。

形状
厚みの不均一(偏肉) など
表面
フィッシュアイスパイダーマーク、表面の筋 など

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