測定顕微鏡の課題と解決
測定顕微鏡を使った測定における安定性、対応力、時間、コストといったさまざまな課題と、高精度 画像寸法測定器「LMシリーズ」の導入による解決例を紹介します。
ピント合わせと人による測定誤差
課題
一般的に、測定顕微鏡で段差のある対象物を測定する場合、測定箇所ごとに正確かつ細やかなピント合わせが求められます。
人によってピントを合わせる位置や精度が異なることで、測定誤差が生じるほか、測定箇所が多いほどピント合わせに時間がかかるという問題がありました。
高精度 画像寸法測定器で解決
高精度 画像寸法測定器「LMシリーズ」は、対象物表面にピントを合わせるオートフォーカス機能を搭載。さらに、C面やR面の一番落ちた箇所のピントを自動認識し調整するエッジオートフォーカス機能も備えています。
これにより人が目視で合わせるピント位置のバラつき、それによる測定誤差を防止すると同時に、測定時間を劇的に短縮することができます。
誰が測定してもバラつきがない検出原理
高精度な測定を実現するために、1画素を1/100以下に分解してエッジを検出する「サブピクセル」処理を採用しています。
また、100個以上の検出点をもとに「最小二乗法」によるフィッティング処理で対象物の線や円を自動検出。バリや欠けがある場合、異常箇所として除外可能なため、安定した測定が可能です。
ステージ移動精度と耐環境性
課題
測定顕微鏡で高精度な測定を安定して行うには、ステージ移動の難易度が高く、さらに対象物の位置や向きがズレないよう治具固定が必要となりました。 ステージや対象物の位置のズレは測定誤差の要因となる場合があります。
また、光学式の顕微鏡は繊細であるため、現場での安定使用には不安がありました。
高精度 画像寸法測定器で解決
高精度 画像寸法測定器「LMシリーズ」は、卓上で使用できるコンパクトサイズながら、低振動かつ直線性に優れた高精度な大型ステージを搭載しています。対象物の治具固定なしで、高速かつ安定した高精度測定を実現しています。
対象物の固定不要。新設計の大型ステージ
測定最大サイズ125 x 225mm、高さ75mmの大型ステージは、モータと送りねじの抵抗を極限まで低減し低振動を実現しました。これにより、対象物を固定する必要がなく、高速で安定した測定が可能です。
クローラーガイドの動きをμm単位で調整し、ステージ移動の優れた直線性を実現し、対象物の回転による測定誤差の発生を解消します。
温度変化*に強い。現場仕様の高精度 画像寸法測定器
測定顕微鏡は、ホコリに弱いためクリーンな環境が要求されます。
一方、卓上で高精度な測定が可能な「LMシリーズ」は、加工現場や設計室など使いたい場所での測定に対応します。
熱膨張率が極めて低い石英ガラスを用いた専用設計のガラススケール、そしてスケールを支える基材にインバー合金を採用しています。
さらに、筐体に内蔵した温度センサを用いて温度補正が可能なため、周囲の温度変化の影響を受けません*。
*使用周囲温度:+10〜35°C(XYステージ移動速度80mm/sのときは+15〜35°C)
照明の使い分けと再現性
課題
測定顕微鏡では、測定箇所に応じて照明装置の使い分けが必要です。例えば、違う対象物を測定し、再び以前と同じ対象物を測定する場合、前回とまったく同じ照明条件を再現することは容易ではありません。
また、少量多品種の測定では、対象物・対象箇所ごとに最適な照明条件を得るのに時間がかかってしまいます。
高精度 画像寸法測定器で解決
高精度 画像寸法測定器「LMシリーズ」 は、複数の落射照明の機能を1つに集約した「可変照明ユニット」と透過照明と合わせた「マルチライトシステム」を搭載。これまで測定箇所に応じて照明装置を使い分けていた手間と時間を省くことができます。
また、照明条件の設定を保存することができるため、対象物ごとに設定した照明条件をすぐに再現することができます。これにより、多品種の測定にもスムーズに対応することができます。
目的に応じたマルチライトシステムの活用例
対象物の輪郭
平行の透過光によって安定して測定
テーパー部や透明な対象物
同軸の落射照明でコントラストを高めて測定
コントラストの低い部分
照明方向を切り替えることで安定して測定
高低差のある対象物
照明方向によりコントラストを高めて測定
外周部のエッジ
エッジ側面を照らして高いコントラストで測定
高さ・深さの測定
課題
測定顕微鏡は、一般的にXYの測定に対応しますが、Z(高さ・深さ)の測定ができません。そのため、対象物の溝や突起を測定する場合には、他の測定機の併用が必要となり、検査の工程・工数が増加してしまいます。また狭い溝の場合、接触式での測定は困難でした。
高精度 画像寸法測定器で解決
高精度 画像寸法測定器「LMシリーズ」は、直感的な操作で、XYの測定に加え、Z(高さ・深さ)の非接触測定も可能です。
高さ測定したい箇所をクリックするだけ
高精度な高さ測定においても複雑な設定・操作は不要。測定箇所をクリックするだけの簡単操作で測定します。「パターンサーチ機能」により、あらかじめ指定した測定箇所を自動認識し、測定します。
指定エリア内の最大・最小高さの検出も可能です。検出の最小領域は、わずか50μm角なので、極小のエリアを非接触で高精度に測定することができます。
高さ・深さの非接触測定を実現するメカニズム
高倍率レンズによる浅い被写界深度と、オートフォーカス精度の向上により、Zフォーカス位置での高さ・深さを非接触で高精度に測定します。
対象物の位置・向き合わせや固定
課題
測定顕微鏡では、対象物の位置・向きを正確に合わせ治具固定し、ピントや照明を調節することで、高精度な測定を行うことができます。しかし、対象物ごとにこの作業を繰り返さなければならないため、検査工数がかさんでしまいます。
高精度 画像寸法測定器で解決
高精度 画像寸法測定器「LMシリーズ」は、対象物をステージ上のどこに置いても測定可能です。
位置・向き合わせが不要。測定を時短化
LMシリーズは、対象物の形状を記憶し、ステージ上に置かれた対象物の位置や向きを自動的に検出して高精度に測定します。対象物の位置決めや向き合わせ、治具固定が不要なため、測定までの時間も大幅に短縮できます。
最大100個までの対象物を同時に測定
ステージ上に置かれた同様の対象物を最大100個まで一度に測定することができます。もちろん、整列治具や位置決めなどは一切不要です。
これまで対象物をステージに位置や向きを合わせてセットし、測定箇所ごとにピント調整しながら測定していた時間を劇的に短縮することができます。
連続測定時の位置合わせ
課題
測定顕微鏡では、当て治具などを使い、同じ種類の対象物を同じ位置に設置することで、繰り返し測定が可能となります。精度良く連続測定するには、対象物を毎回正しい位置に合わせる必要があり、多くの手間と時間がかかります。
高精度 画像寸法測定器で解決
高精度 画像寸法測定器「LMシリーズ」は、測定箇所が多岐に渡る場合など、対象物を1つずつ連続で測定する際も、設置が簡単です。
画像と重ねるだけ。素早く位置合わせ
連続測定の際、ステージカメラで記録した対象物の画像を半透明で表示(ゴースト表示)することができるため、対象物を同じ場所に置くことができます。
これにより、位置を探す時間、当て治具の用意や位置決めの時間を短縮し、スピーディな連続測定が可能です。
正しい設定ファイルを瞬時に呼び出し
保存された測定ファイルは、QRコードでも運用することができます。
多品種を扱う場合も、測定前にQRコードをステージ上にかざすだけで、設定を瞬時に呼び出すことができます。
これにより、ファイルを探す時間を短縮すると同時に、設定ファイル違いによる測定ミスなどのポカヨケに有効です。