CHAPTER 1
ドリリング(穴あけ加工)
ドリリングは切削加工技術の一種で「穴あけ加工」ともいわれます。ここでは、ドリリングの加工法、加工機の特徴を説明します。また、国際規格であるISO13399で規定された記号と内容について説明します。
ドリリングとは
「ドリリング」とは、回転軸に取り付けた「ドリル」という切削工具を回転させて円筒穴を開ける加工技術です。ドリルは、2枚の切刃を対称の位置に持ち、2枚の切刃の間には、刃先に切削油を供給し切りくずを排出しするための溝があります。加工時、回転しながら加工穴に沿って進んで行きます。このため、ドリルが被切削物からかかる力は、インサートやバイト、フライスが横方向からの曲げの力であるのに対し、軸方向の力を受けるという特徴があります。
ドリリングの加工法
ドリリングの加工法には、以下の3種類があります。
- ソリッドドリリング加工:
- 最も一般的な無垢の穴あけ加工。
- トレパニング加工:
- 穴の中心に円筒コアを残す穴あけ加工。主に大径の穴あけ加工に使用される。
- カウンターボウリング加工:
- すでにある穴を大きくしていく加工。
さらに、穴あけ後の加工として
- リーマ加工:
- 穴の面を薄く削って精度を整える。
- ねじ切り加工:
- 穴にねじ山を作る加工。「タッピング」ともいわれる。
などがあります。
ドリリングの加工機
ドリリングは、「ボール盤」といわれる加工機で行います。ボール盤には、直立したコラム(柱)の上部に主軸がある「直立ボール盤」や主軸が前後左右上下(XYZ軸)に動く「ラジアルボール盤」などがあり、さらに複数の穴を1度に開けることができる「多軸ボール盤」や数値制御できる「NCボール盤」があります。ドリルについては、「ハイスドリル」が最も多く使われています。近年、難削材の普及や加工速度の高速化に対し、超硬ドリルや超硬ろう付けドリル、刃先交換式ドリル(スローアウェイドリル)の開発も進んできます。
ドリリング記号
切削工具の表現と交換に関する国際規格、ISO13399におけるドリリングの記号一覧です。
記号 | 部位・内容 |
---|---|
BD | 本体外径 |
CDN | 先端給油穴径 |
CNT | 後端給油穴径 |
CRKS | 取り付けネジサイズ |
CZC | テーパサイズ |
DC | 加工径 |
DCFSMS | フランジ径 |
DCON | 取り付け部径 |
DMM | 軸径 |
LCF | フルート長さ |
LF | 肩部長さ |
LH | 首下長さ |
LPR | ツバから刃先先端までの距離 |
LU | 加工可能深さ |
OAL | 全長 |
PL | 先端と肩部寸法差 |
SDL | ステップ切刃長さ |
ZEFP | 刃数 |