トレーサビリティにおけるブロックチェーンとは

ブロックチェーンは、仮想通過を取り引きする技術として考案された、暗号化技術を用いてネットワーク上の複数のコンピュータに存在するデータを同期させて記録する方法です。高い機密性と安全性を備えており、近年ではトレーサビリティでの活用が注目されています。ここでは、ブロックチェーンの技術と、ブロックチェーンを用いたトレーサビリティシステムについて説明します。

ブロックチェーンとは

「ブロックチェーン」とは、分散してデータを管理する技術です。従来のトレーサビリティシステムでは、製品ごとに個別に作業履歴を残す作業が必要でした。しかし、トレーサビリティに関わる企業や人は多岐にわたり数も多く、それらを一貫して管理することは困難です。取引履歴を紙で管理する場合もあり、取引履歴の改ざんが容易であるという課題がありました。
ブロックチェーンは「特殊な記録帳」を全体で共有する技術であり、「書き込まれた情報は改ざんできない」という特性があります。

ブロックチェーンとは
A
生産
B
入出庫
C
加工
D
運搬
E
販売
F
消費者

ブロックチェーンで構成されたネットワークでは、ネットワーク上の全員が同じデータを保持するため、一部で障害が発生しても、他のネットワークで処理を継続することが可能であり、高い業務継続性を実現します。また、データは順次、前のデータで連結されているため、データの改ざんは非常に困難です。
チェーントレーサビリティや内部トレーサビリティなどでは、このブロックチェーンという技術を導入することで、より迅速な対応と高い機密性を実現することが可能になります。

ブロックチェーン技術の具体例

ブロックチェーンの大きなの特徴は、「データの分散管理が可能である」ということと、「データ書き換えが不可能」ということです。この特徴を活かすことで、原材料や部品を製造する会社から、組み立てた製品を販売する会社、さらに市場に出回った製品まで、会社の枠を超えたトレーサビリティが可能になります。

ブロックチェーンによる自動車部品のトレーサビリティ

たとえば、自動車の組み立て工場にブロックチェーン技術を導入すると、各工程での在庫状況を共有することができます。各工程で部品をバーコードや2次元コードで管理し、ブロックチェーンで紐づけることで、部品がある場所や数量、管理担当部署や保管状況などを一目で知ることができます。
また、出荷した部品の確認や、出荷後に自動車に取り付けた部品の追跡調査も可能です。万一、リコールや修理の対象部品となった場合でも、その部品を組み込んだ車両や製造工場を追跡することができます。さらに、在庫状況や販売価格などを公開し、買い手に閲覧してもらうことで、取り引きを打診するチャンスに利用することもできます。
ブロックチェーン技術は、会社単位で分散管理しているデータの統合運用を可能にします。また、データの書き換えが不可能であるため、IoTなどの技術と結合することで、ビジネスに大きな可能性を与えます。

ブロックチェーンにバーコード/2次元コードが必要な理由

トレーサビリティを実現するには、製造現場の現品に「原料/製品番号」、「ロット/シリアル番号」を付け、管理することが必要不可欠です。
しかし、情報を現品に油性ペンで記入したり文字情報だけのラベルを貼ったり、さらに 現品とは別に帳票で管理するといった方法では、書き間違いやラベルの剥がれ、読み取りミスなどの「ポカミス」が発生し、ブロックチェーンは正常に機能しません。
このような状況を避け、低コストで課題を解決するには、バーコードまたは2次元コードによる情報収集が最も効果的です。

バーコードや2次元コードで変わるトレーサビリティ

ブロックチェーンには、正確なデータの収集が不可欠です。バーコード・2次元コードシステムは、現品に印字された文字やコードを正確に読み取ります。読み取り操作は簡単で、習熟度に関係なく誰でも操作することができます。読み間違えはなく、読み取れないときにはエラー音やLEDが知らせます。また、レーザーマーカーで印字されたコードは、半永久的に消えることがありません。
このように、バーコード・2次元コードを活用したトレーサビリティシステムでは、文字やコードを各工程で正確に読み取って、実績データを収集します。そして、これによりブロックチェーンは異品種の混入や使用部品の間違いをチェックし、事故防止の判断や次の作業指示を作業者に対して自動的に知らせるといったことが可能になります。

バーコードや2次元コードを使うメリット

トレーサビリティの実現には企業間の問題という大きな障壁があります。この課題を解決する最も手軽な手段が、バーコードや2次元コードを使ったブロックチェーンシステムの構築です。
バーコード/2次元コードを使えば、企業ごとに異なる情報管理システムでも情報の受け渡しがスムーズになり、 各ポイントで必要な情報を取り出すことができるようになります。また、原材料の生産者には生産管理によるメリットを、流通を請け負う企業には物流管理によるメリットをもたらします。 しかも導入コストは低く、各企業が共通のインフラでデータの受け渡しが行えます。そして、ブロックチェーン技術による高い機密性は、各企業の大切な情報を不正なアクセスや改ざんから守ります。
このように、バーコードや2次元コードを使うことで、データ収集を行うすべての企業や工程にメリットをもたらすと同時に安全なシステムの構築が可能になります。

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