設置の注意点
除電器(イオナイザ)の性能を発揮するには、設置する環境や除電する場所に注意が必要です。ここでは除電器(イオナイザ)の周辺や除電する場所の条件が、除電の妨げとなるケースを紹介します。
除電器(イオナイザ)の周辺に関する注意点
除電器(イオナイザ)を使用する場所の近くに金属体があるケースを図に示します。
対象物の帯電が少なくなるほど、除電器(イオナイザ)が発生させたイオンを引きつける力が弱くなります。すると、近くにある金属体のほうが、イオンを引きつける力がより強くなるため、対象物を除電しきれない状態になります。
正しく除電するには、除電器(イオナイザ)と金属体を200mm以上離す必要があります。
除電する場所に関する注意点
静電気を取り除きたいシート材(ワーク)の裏側に金属ローラーあり、ローラーの位置に除電器(イオナイザ)を設置したケースを図に示します。
このとき、金属ローラー内では、反対の極性(プラスであればマイナス、マイナスであればプラス)の電気が集まる「静電誘導」という現象が起こります。
金属ローラー付近ではシート材表面の静電気が、この「静電誘導」によって集まってきた電荷と電気的に中和(結合)されてしまいます。
つまり、金属ローラー付近のワークは「見かけ上、除電されている状態」となってしまいます。実際にはワークの帯電量が多くても、この場所を静電気測定器で測ると帯電量は低い値を示します。
このように金属によって電荷が中和(結合)している場所では、除電器(イオナイザ)を使っても、ワークから静電気を取り除くことができません。金属と面していない部分で除電を行う必要があります。