クリープ試験
高温状態で試験片に一定の荷重を長時間加え、変形量や破断するまでの時間を測定する試験です。
ここでは、クリープ試験の種類や特徴、クリープ率やクリープ曲線について説明します。
通常、試験片に一定の荷重をかけた場合、変形はそれ以上変形しないところで止まります。しかし、高温下ではゆっくりとした変形が続きます。この現象を「クリープ(creep)現象」といいます。
試験片に荷重を加えると、わずかですが瞬間的にひずみます。その後、時間の経過と共に、一定量のひずみで変形していきます(クリープひずみ)。このひずみの量と元の形状の比率を「クリープ率」と呼び、時間軸に対して描いた曲線を「クリープ曲線」といいます。
荷重が低い場合のクリープ曲線は、一定まで伸びた後、伸びは増加しません(図中点線)。荷重が大きい場合は、時間経過とともに伸びが大きくなります。そして、クリープひずみがそれ以上進行しなくなるとき、応力は最大になります。この点を「クリープ限度」といいます。
クリープ試験は長時間にわたるため、試験条件がわずかに違っても、結果が大きく変わってしまいます。そのため、規定の試験条件を十分満足するように工夫し、同一条件で多くの試料について試験しなければなりません。
例えば材料が高温・高応力下で使用される化学プラントや原子炉を設計する場合、クリープ現象で変形し、運転に支障をきたすような材料を選定してはなりません。
このように、長時間の使用に耐える設計上の限度を把握するために、クリープ試験は必要なのです。
クリープ試験の種類
クリープ試験には、以下の種類があります。
シングル型試験
試験機1台あたり1本の試験片を用いるクリープ試験。
クリープ破断試験
ある応力の基で破断するまでの時間を求めることを目的とし、試験機にはマルチプル型(1台の試験機で多数の試験片を試験できるので効率が良い)が使用されることが多い。引張のみでなく、目的に応じて圧縮・曲げ・ねじり・その他の試験が行われる。
計測の概要
クリープ試験の特徴は、高温で行うということと、破断までの試験時間が長いということです。したがって、試験機から離れた場所で、試験の開始から破断まで計測し続けられる環境が望まれます。
- 得られるデータ
- 歪み量、 膨張・縮小量、平面度、表面のひび割れなど