電子デバイス業界
パソコンやスマートフォンなどの普及に伴い、需要が高まっている電子デバイス業界。それらに対応するため、より効率的な生産が求められています。そこで課題になっているのが、多様な部品を組み立てて1つの製品をつくる「セル生産」です。
複数部品を組み合わせるセル生産への対応
スマートフォンやタブレットのような電子デバイス市場が急速にひろがりを見せる現代、その生産においても産業用ロボットの必要性が高まっています。しかし、自動車を中心とした製造現場で培ったRT(ロボットテクノロジー)技術は、決まった商品を量産する「ライン生産」に特化しています。これに対し、電子デバイスは1人または少数の作業者による組立から完成(または検品)まで行う「セル生産」が主流。従来は、このような多品種変量生産では人間の手による作業が中心でしたが、近年では産業用ロボットの導入を検討している電子デバイスメーカーも増えつつあります。こちらでは、実際にどのような作業や工程にロボットが活用されているのか、メリットなども含めて導入事例をご紹介します。
事例01 ロボット制御セル生産システム
部品供給と払い出しを行う「部品供給ロボット」、2台が協調しながら組立作業を行う「組立ロボット」、中央の「組立ステージ」で構成されたセル生産システムです。部品供給ロボットはピッキングや整列、供給を行い、組立ロボットは視覚センサなどを活用して組立作業を行います。このシステムは部品の組立からネジ締め、完成品の払い出しといった約100工程にも及ぶ一連の作業を実施できることが特徴。このように完全なセル生産に対応したFAロボットも登場しています。
メリット
- 人員の削減
- 作業の効率化
- 作業環境の改善
事例02 人間とロボットの協調型セル生産システム
完全な自動化ではなく、ロボットと人間が共同で作業を行う協調セル生産を採用したシステム。こちらはモーター製造でステーター(固定子)とローター(回転子)を本体に組み込む、組立工程を行うロボットです。システムは7軸ロボット2台と旋盤1台に加えて作業員1名で、ステータをロータに圧入し、旋盤から取り出して検査までをロボットが担当。作業員は後工程への払い出しのみなので、作業負担を大幅に軽減できます。
メリット
- 作業負担の改善
- 品質の安定化
- 生産の効率化
事例03 ワニス塗布装置ロボット
プリント基板・電子部品は、粉塵や結露からの保護、また絶縁・耐熱などの目的で基盤表面に「ワニス」という絶縁性の樹脂を塗る必要があります。しかし、このワニスは臭いが強く、それが作業者の負担になっていました。また、均一に塗布できないと修正が必要になるため、作業者のスキルによっては修正工数が発生することも。そのワニス塗布から乾燥、検査まで行うのがこのロボットです。構成は天井から2機のロボットをつり下げ、1機はワニス塗布専用、もう1機はハンドリングや乾燥、検査、払い出しの工程を行います。
メリット
- 作業環境の改善
- 作業員の削減
- 品質の安定