体積流量と質量流量
体積流量と質量流量の定義と計算方法
流量は、JIS B0100バルブ用語で「単位時間に流れる流体の体積または質量」と定義されているように体積または質量から求めることができ、「体積流量」と「質量流量」に区別されています。こちらでは体積流量と質量流量の定義、計算方法などをご説明します。
体積流量と質量流量の違い
体積流量は単位あたりの体積変化を指標にした流量であり、質量流量は単位あたりの質量変化を指標にした流量です。一般的には体積流量を用いるケースが多いですが、蒸気などの場合は温度や圧力で体積が変化するため、質量流量で表すこともあります。体積流量と質量流量の概念については以下のようになります。
体積流量
単位時間当たりの体積変化
質量流量
単位時間当たりの質量変化
体積流量の概念と計算式
「体積流量」は、単位時間あたりにある面を通過する体積から流量を割り出す方法です。単に流量というと一般的に「体積流量」を指し、単位は「m3/s(立法メートル毎秒)」を用います。また日本の計測法では、「m3(立法メートル)」を「L(リットル)」に、「s(秒)」を「m(分)」「h(時)」に置き換えることも認められています。体積流量の算出式は、一般的な配管内の流れであれば以下となります。
体積流量Q[m3/s]は、ある断面の面積A[m2]、平均流速v[m/s]とした場合、断面積と平均流速の積によって求めることができます。
体積流量Q[m3/s]=断面積[m2]×平均流速[m/s]
ただし、体積は圧力や温度によって変化するため、測定条件を明示する必要があります。一般的には標準状態を測定条件とします。
質量流量の概念と計算式
「質量流量」は、単位時間あたりにある面を通過する質量から流量を割り出す方法です。単位は[kg/s(キログラム毎秒)]で、[kg(キログラム)]を[g(グラム)][t(トン)]、[s(秒)]を[m(分)][h(時)]に置き換えることも計測法では認められています。体積流量の算出式は、一般的な配管内の流れであれば以下となります。
質量流量 [kg/s]は、流体の密度ρ [kg/m3]、流体が通過する面の面積A [m2]、平均流速v[m/s]とした場合、以下のような計算式から求められます。
質量流量 [kg/s]=密度ρ [kg/m3]×断面積A [m2]×平均流速v[m/s]
また、体積流量Q[m3/s]を用いると、
質量流量 [kg/s]=密度ρ [kg/m3]×体積流量Q[m3/s]
と書き換えることもできます。
ただし、体積流量から質量流量を導き出す場合は、圧力に応じて正しい比体積を使わなければ正確な質量流量は得られません。そのため温度計や圧力計、あるいは密度計も利用して換算する必要があります。従来の質量流量は体積流量から求めることが一般的でしたが、近年では質量流量を直接計測できる流量計も登場しています。
流体にあわせた流量計の選定
液体の流量計測では、体積流量が一般的に用いられます。ただし、温度や圧力によって体積が変化する気体や蒸気などは、質量流量が用いられることもあります。計測する流体にあわせて流量計・流量センサを選定しましょう。詳しい流量計の選定については、選定のポイントで詳しくご説明します。