選定のポイント【基礎編】

流量計・流量センサは、流体、目的や設置場所によって異なる

流量管理を行う際に課題になるのが流量計・流量センサの選定です。流体と言っても液体や気体、液体でも水や油などさまざまですし、目的や設置場所によって選ぶ流量計・流量センサは異なります。そこで流量計・流量センサの選定で押さえておくべきポイントをまとめました。

なお、配管径や液体などの条件を入力するだけで流量計・流量センサの選定を依頼いただくこともできます。回答は、選定の技術的な理由と合わせて、メールでお送りします。

流量計・流量センサの種類

流量計・流量センサの種類

流量計・流量センサには、電磁式やカルマン渦式、羽根車式、浮き子式など、さまざまな種類があります。その選定を誤ると流量管理の目的を達成できないばかりか、時間やコストが増加したり、エア漏れや液漏れのようなトラブルに発展したりする可能性もあります。そこで流量計・流量センサを選定する際には、最初に「何を測るのか?」「何のために測るのか?」という2つを明確にしておくことが大切です。

測定対象を知る

さまざまな液体に
  • 水/純水
  • 薬品など

高圧でもOK

最初に「何を測るのか?」という対象物の情報を整理しましょう。整理すべき内容は以下のとおりです。

流体の種類・流体名

対象となる流体が「液体」「気体」「蒸気」「スラリー」のどれなのかを最初に明確にしておきましょう。また、液体であれば「冷却水」「純水」「切削油」「作動油」「アルコール」「液糖」など、流体名も明確しておく必要があります。

密度(比重)

液体・気体ともに流体密度をあらかじめ計算しておきましょう。流体名と温度、圧力から密度は計算可能です。比重は、ある物質の密度と4°Cの水の密度との比なので、密度がわかれば算出できます。

密度の計算式
ρ[密度]=M[質量]÷V[単位体積]

粘度

液体は、種類によって粘度が異なります。流体名と温度から粘度を推測することが可能です。気体・蒸気は粘度を調べる必要はありません。粘度について詳しくは用語集 粘度と動粘度をご確認ください。

導電率

電磁式流量計・流量センサを利用する場合は、導電率を確認しておきましょう。そのほかの方式の流量計・流量センサを利用する場合は不要です。

色・透明度

直視型の流量計・流量センサを利用する場合は、流体の色・透明度も確認しておきましょう。直視型以外の流量計・流量センサを利用する場合は不要です。

混入物

流体中に気泡が発生したり、異物が侵入したりする場合は、混入物の有無や形状、量などもあらかじめ推測しておきましょう。

腐食性

酸性やアルカリ性の強い水、有機溶剤などの流体を扱う場合は、流量計・流量センサを侵食する可能性があるので腐食性の適合を確認しましょう。

流量レンジ

流量計・流量センサによって対応している流量が異なるので、実際に使用するときの最大流量・常用流量・最小流量を推測しておきましょう。

脈動の有無

使用するポンプによって脈動が発生し、正確に流量が検出できない場合もあります。特に往復動式ポンプは脈動が発生するので注意が必要です。

流体温度

材質によっては高温に耐えられない、温度変化に耐えられないケースもあるので流体温度も重要です。高温または温度変化の激しい流体を扱う場合には注意が必要です。

流体圧力

流量計・流量センサによって対応圧力も異なるので確認しておきましょう。気体・蒸気の場合は密度計算でも流体圧力を使用します。

許容圧損

圧力損失が発生する流量計・流量センサの方式があるので、必要に応じて許容圧損も確認しておきましょう。圧力損失について詳しくは、圧力損失とその原因のページで解説しています。

測定目的を明確にする

測定目的を明確にする

次に測定した結果をどのように利用するのかという目的を明確にします。測定目的が決まれば測定精度も明確になり、必要な流量計・流量センサが絞られてくるはずです。例えば、流量の監視と警報であれば、それほど高い精度は必要ありません。しかし、塗布量や噴霧量のコントロールをするのであれば、精度の高い流量計・流量センサが必要になります。

また、質量流量は一般的に体積流量から換算して求めることが多いですが、高精度な質量流量が必要であれば、直接計測できる流量計・流量センサを選定する必要があります。このように目的を明確にすることで、求められる流量計・流量センサの測定方式やスペックがある程度見えてくるはずです。

以下には、一般的な流量計・流量センサの種類と適合流量、一般的な使用例、測定精度についてまとめています。

※測定目的(精度)
測定目的
(精度)
形式 適応流量 特徴 制約
液体 気体 蒸気
監視・警報・制御(低〜中)
差圧式
広い測定範囲に対応
狭い流速範囲に限定
電磁式
×
×
耐食性&耐摩耗性あり
伝導性流体のみ
面積式
構造がシンプルでローコスト
垂直取り付けに限定
超音波式
汎用性が高く、圧力損失も少ない
気泡などの影響を受ける
羽根車式
×
×
ローコスト
可動部があるので軸受けの寿命もあり、圧力損失も大きい
質量流量の特設測定(中〜高)
熱式
×
質量流量を直接計測できる
クリーンガス専用
コリオリ式
×
質量流量を直接計測できる
高価格
体積流量の積算(高)
容積式
×
高精度で、高粘度に対応
軸受けの寿命があり、高価格
渦式
可動部がなく、圧力損失も少ない
解析が難しい
タービン式
高精度
軸受けの寿命がある
流速の監視と警告(低)
ピトー管式
構造がシンプルでローコスト
流速分布の影響を受けやすい

あくまで一般例ですが、流量計・流量センサの測定方式によって上記のような違いがありますので、選定の際にご確認ください。次のページでは、こちらでまとめた内容をもとに実際に流量計・流量センサを選定する流れについてご説明します。

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