圧力損失とその原因
圧力損失が発生すると、製造ラインで様々な支障が発生する
製造ラインで圧力損失が発生すると、様々な支障が発生します。圧力損失とは何か、圧力損失の発生原因、発生時の対応についてまとめました。
圧力損失とは
例えば流路の一部が絞られていると、絞られている箇所より下流の圧力が減少します。これを『圧力損失』と呼びます。『圧力損失』は、『エネルギー損失』であり、下流側の圧力低下だけではなく、流量、流速も減少させてしまいます。
圧力計Aと圧力計Bの圧力差が『圧力損失』です。
また、絞るだけではなく、配管が長くなっても同様に『圧力損失』が発生します。
製造ラインで圧力損失が発生すると、循環される冷却水の流量が低下したり、噴射されるクーラントの水量が減少したりして様々な支障が発生します。対応としては、圧力損失部を取り除くことが望ましいのですが、ほとんどの場合、循環ポンプの発生元圧を上げたり、ポンプそのものをパワーアップすることで対応します。この対応方法は、エネルギーやコストの無駄につながります。
発生の原因
1.配管径を細くする
流路を絞るという意味では、過剰な異径配管のジョイントは圧力損失が発生します。
2.配管を曲げる
通常、液体は慣性の法則に従い、真っ直ぐに流れています。しかし、曲り部分では慣性の法則に逆らって運動方向を変えられるため、『エネルギーの損失』が発生します。(変化することで変化のためのエネルギーが消費されます)『エネルギーの損失』は圧力低下をまねきます。その結果、圧力損失が発生してしまいます。
3.開閉バルブ(弁)を取り付ける
ボールバルブなどは、全開にしておけば『圧力損失』をあまり気にする必要はありません。但し、内部で流路が大きくベンド(曲がっている)しているタイプは、全開していても圧力損失が発生してしまいます。
バルブ内視図
ボールバルブ
一般的に『ボールバルブ』と呼ばれています。全開時には貫通構造になりますので、圧力損失がありません。
グローブバルブ
一般的に『グローブバルブ』と呼ばれています。全開時でも流路が曲がっており、圧力損失が発生します。
4.流量計を取り付ける
原理で述べましたように、「差圧式流量計(差圧式流量計)」は、オリフィス(絞り弁)による『圧力損失』を利用して流量を検出します。また「カルマン渦式流量計」は、圧電素子に安定した振動を与える為に流路を絞り、流速を速めています。「羽根車式流量計」も、羽根を回す推力を得るために小流量の場合、流路を絞ります。これらの流量計に関しては、『圧力損失』が発生しやすいと言えます。
逆に、電磁流量計・熱式流量計・超音波式流量計は、検出の為に流路を絞る必要もなく、『圧力損失』に対してはメリットが大きいと言えます。