プロセス管理と流量
「生産ライン=プロセス」と捉えた流量管理
流量計・流量センサは、製造工程のさまざまなシーンで活用されています。石油や天然ガスのように液体・気体を直接扱うコンビナートのパイプラインをはじめ、工場の冷却水や作動油、溶接や熱処理で使う各種ガスの監視、生活に近いところでは水道やガスの使用量メーターにも流量計が活用されています。このように幅広い場所で利用されている流量計ですが、こちらでは製造工程における流量管理についてご説明します。
重要な物理量とは
「課程・工程・方法」などの意味を持つ「プロセス」という言葉ですが、こちらでは生産ラインを「プロセス」として定義して説明を進めます。生産ラインは、ご存知のとおり材料から製品を作り出す工程です。その中では、各種工作機器を正常に作動させるために冷却水や作動油が循環し、加工の精度や品質を高めるために切削油やシールドガス(不活性ガス)が利用され、環境汚染を防ぐために下水処理が行われます。このように最終工程までさまざまな流体がプロセスに組み込まれて連携しているのです。
近年の工場は、ファクトリー・オートメーション(FA)が進み、流体の監視・制御がプロセス全体に大きな影響を及ぼすことはご存知のとおり。流量計・流量センサから得た情報をPLCへ出力し、制御にフィードバックすることも一般的です。単純に流量異常を知らせるだけではなく、データの管理・解析の重要度が増し、圧力や温度に加え、近年では時間変化する流量の正確な計測が求められるようになっています。
一般的にプロセスでは物理的な状態量として「温度」「圧力」「流量」「レベル」の4つが重要な変数として取り扱われます。温度と圧力については温度・圧力の物理量との違いでも説明しているので、こちらではプロセス管理における「流量」を中心に解説します。
管内の流量を知るプロセス流量計
流量計には、広い空間を流れる空気や河川の水の流れを計測するものも含まれますが、こちらではプロセス物理量に限定し、工場で使用される流量計について説明します。工場内で使用される流体の多くは、円形断面配管の中に充満した状態で流れます(工場排水などは管路に液体が充満していないケースもあり)。このように管内を流れる流体の流量を計測する装置を「プロセス流量計」もしくは「工業用流量計」と呼びます。
そして、流量計の測定値の信頼性を表す指標として、「精度」と「不確かさ」という2つの言葉があります。語句の説明については後ほどしますが、国際基準では「不確かさ」という用語を使うように推奨しています。そのほかにもプロセスで扱う水が油などは粘性流体である場合がほとんどで、「粘度」「動粘度」「レイノルズ数」などを考慮する必要もあり、差圧式流量計やコリオリ流量計などでは一定の流量に対する圧力損失も意識しなければなりません。そのほかにも配管の接続方法や流量計の設置方法などの要素も検討する必要があり、プロセス流量計ではさまざまな要因を考えなければいけません。
こちらのページでは、プロセス管理と流量の関係性、プロセス流量計の概念を説明しました。実際にプロセス管理の中で流量を測定する場合、さまざまなトラブルの要因と対策、圧力損失とその原因や配管と流量計の設置位置などを覚える必要がありますが、詳しくは別ページで解説します。