IPフォワーディング/IPマスカレード(コントローラ)

元々のIPアドレス宛の情報を別のIPアドレス宛の情報に変換して転送する仕組みです。NATやNAPTなどと表現されることもあります。

この仕組みを使用することで、WS-1000では異なるネットワークセグメントであるEthernetポート(A)とEthernetポート(B)間の通信を可能にします。

工場用のネットワークと社内用のネットワークの間で一部の通信のみ可能にする必要がある際などに活用できます。

対応可能な通信プロトコル

IPフォワーディング/IPマスカレードで対応可能な通信プロトコルはTCP/UDP/ICMPです。

TCP/UDPではIPアドレスとポート番号をもとに通信をおこないます。

KVシリーズでも以下のような設定で通信をおこなっています。

IPForwarding-IPMasquerade_Overview_010.svg 

 
Point.svg

各機器の通信プロトコルおよび通信に使用しているIPアドレス、ポート番号は仕様/設定によって異なります。

IPフォワーディング/IPマスカレードで対応可能かどうかは各機器のマニュアルおよび設定をご確認ください。

IPフォワーディング:IPフォワーディングの内容および設定方法について説明します。

IPマスカレード:IPマスカレードの内容および設定方法について説明します。

IPフォワーディング

IPフォワーディングとは

WS-1000の「Ethernetポート(A)のIPアドレス×待ち受けポート番号」と「通信先のIPアドレス×ポート番号」を1:1で紐づけて異なるネットワークアドレス間の通信を可能にする機能です。

IPForwarding_Overview_010.svg 

 
Point.svg

待ち受けポート番号は重複しないように設定する必要があるため、クライアント機器が通信先ポートを変更できない場合は同一の通信方法を複数機器に対して実施できない場合があります。

IPフォワーディングの通信手順

ここではKV STUDIO(パソコン)からIPフォワーディングを使用して、KVシリーズに接続する方法を例に説明します。

ネットワーク構成は以下の図のように設定します。

ここではEthernetポート(A)はIPアドレスの設定含め完了しているとします。

IPForwarding_Overview_020.svg 

1Web Toolの[設定・ツール]>[イーサネット]>[IPフォワーディング]から[転送ルール追加]を選択します。

IPForwarding_CommProcedure_020.svg 

2IPフォワーディングの転送ルールを以下のように設定し、[OK]を選択します。

プロトコル:TCP

待ち受けポート番号:50000

転送後宛先 IPアドレス:192.168.0.10

転送後宛先 ポート番号:8500

優先度:自動

IPForwarding_CommProcedure_030.png 

3 画面上部の[保存]を選択して、設定を反映します。

4Ethernetポート(A)に接続したKV STUDIO(パソコン)のイーサネットの通信設定を転送ルールに合わせます。

「IPアドレス:Ethernetポート(A)のIPアドレス(10.11.1.1)」、「ポート番号:待ち受けポート番号(50000)」と設定します。

この設定により、192.168.0.10のポート番号8500に対してモニタを開始する設定になります。

5KV STUDIOをモニタモードに移行します。

KV STUDIO(パソコン)と異なるネットワークセグメントのKVシリーズをモニタできます。

 

 
Point.svg

ICMPプロトコルのIPフォワーディングについて

ICMPのIPフォワーディングでは「送信元IPアドレス」と「転送宛先IPアドレス」を指定してPINGコマンドを異なるネットワークアドレスに対して実施できます。

※「送信元IPアドレス」が同一の設定が複数ある場合は、優先度が最も小さい値のもののみ実施します。

IPForwarding_Overview_030.svg 

IPマスカレード

IPマスカレードとは

IPマスカレードには、IPマスカレード(全て)とIPマスカレード(個別)があります。

IPマスカレード(全て):WS-1000が通信情報を自動で変換して、異なるネットワークセグメント間の通信を実現します。

IPマスカレード(個別):IPフォワーディングと同じ通信方法で、異なるネットワークセグメント間の通信を実現します。

IPMasquerade_Overview_010.svg 

 
Point.svg

IPマスカレード(全て)を使用して通信する場合、直接通信先設定を指定して通信できますが、クライアント機器側のデフォルトゲートウェイをWS-1000のEthernetポート(B)のIPアドレスの設定にしてWS-1000のEthernetポート(B)に通信情報を送信する必要があります。

同様にユニットのアクセスポイント経由で接続しているクライアント機器でIPアドレスの自動取得を設定している機器がIPマスカレード(全て)を使用して通信する場合はWS-1000のデフォルトゲートウェイ配信設定でWS-1000のEthernetポート(B)のIPアドレスを配信する必要があります。

デフォルトゲートウェイ配信

IPマスカレードの通信手順

ここではIPマスカレード(全て)の設定手順について説明します。

KV STUDIO(パソコン)からIPフォワーディングを使用して、KVシリーズに接続する方法を例に説明します。

ネットワーク構成は以下の図のように設定します。

またEthernetポート(A)はIPアドレスの設定含め完了しているとします。

 
Reference.svg

IPマスカレード(個別)についてはIPフォワーディングを参考に設定してください。

1Web Toolの[設定・ツール]>[イーサネット]>[IPマスカレード]にて[有効(全て)]を選択します。

IPMasquerade_CommProcedure_020.svg 

2画面上部の[保存]を選択して、設定を反映します。

3接続するKV STUDIO(パソコン)のネットワーク設定のデフォルトゲートウェイをWS-1000のEthernetポート(B)のIPアドレスに設定します。

4Ethernetポート(B)(または同一無線ネットワークのユニット)に接続したKV STUDIO(パソコン)のイーサネットの通信設定を通信対象先に設定します。

[IPアドレス:KVシリーズのIPアドレス(10.11.1.10)]、[ポート番号:8500]と設定します。

5KV STUDIOをモニタモードに移行します。

KV STUDIO(パソコン)と異なるネットワークセグメントのKVシリーズをモニタできます。