加速度解析の改善

アナログ波形をデジタルデータに変換するために必要な処理である標本化(サンプリング)の周期をサンプリング周期またはサンプリング間隔といいます。電子計測器はサンプリング周期ごとにデータを計測します。このためサンプリング周期を適切に選択しないと、正確な波形が計測できないことがあります。また、エイリアシングとは、アナログ信号をサンプリングする際に発生する現象で、折り返し雑音ともいわれます。エイリアシングはFFT解析などに大きな影響を与えます。
ここでは、エイリアシングの影響を防ぐためのサンプリングとフィルタについて説明します。

サンプリング周期とエイリアシング

サンプリング周期

下図のように、入力信号の周期に比べ5倍程度の遅いサンプリング周期だと、波形はぎざぎざになりますが入力信号周期より十分速いサンプリング周期(10倍以上)であれば、ほぼ入力信号と同じ波形を再現できます。

サンプリング周期

エイリアシング

サンプリング定理では周波数finの交流信号をA/D変換したのちにD/A変換して戻したとき,原信号が忠実に再生できるためには、少なくとも2×fin以上のサンプリング周波数fsが必要とされています。fsがfinよりも小さくなった時はエイリアシングと呼ばれる存在しない波形が観測されてしまうので注意が必要です。

エイリアシング

fs>fin
入力信号が再現できています。

fs≒2×fin
入力信号の周波数は、ほぼ再現できますが振幅にうねり(ビート)が生じます。

fs=2×fin
このときのfinはナイキスト周波数と呼ばれます。
サンプリングの位相が合わなければ小さい振幅の波形が観測されます。

fs<fin
入力周波数finよりも低い周波数の波形が観測されます。この波形をエイリアシング波形と呼びます。

サンプリングクロック

アンチエイリアシングフィルタ

サンプリング周波数の1/2を超える周波数を含む信号をサンプリングしてFFT演算表示すると、本来存在しないスペクトラムが観測される場合があります。このスペクトラムを折り返し雑音またはエイリアシングと呼びます。
アンチエイリアシングフィルタは、サンプリングレートの1/2を超える周波数を高い減衰特性で減衰させるローパスフィルタです。
アンチエイリアシングフィルタを通した信号をサンプリングすることでエイリアシングの発生を防止します。

アンチエイリアシングフィルタ

図の縦軸は入力信号の減衰率、横軸は入力周波数とサンプリング周波数の比率を示します。
入力周波数/サンプリング周波数が0.5以上、すなわちサンプリング周波数の2倍以上の入力信号は大きく減衰できています。

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