パルス信号と回転数の関係
パルス信号はデジタル回路との相性が良く、モータの制御信号やエンジンの回転数データなどに利用されます。ここでは、パルス信号の特徴とモータを例にした特性の違いについて、説明します。
モータの回転を把握・制御するパルス
パルスの代表的な活用法は大きく分けて2つあります。ひとつは入力したパルスにより速度・距離などを計測すること、もうひとつはパルスを出力することでモータやインバータなどのシステムを制御することです。そしてその双方に関連するのが「回転」の要素です。
パルスを用いた回転数の計測
パルスを用いたモータなどの主な回転数計測方法には、「ストロボスコープによる計測」「タコメーターによる計測」「光学機器による計測」などが挙げられます。
ストロボスコープによる計測
瞬間的に点灯する光を一定の間隔で繰り返し発光させる装置をストロボスコープといいます。ストロボスコープを用いて回転体へ等しい時間間隔で光源を照射したとき、点滅周期と回転周期が一致した場合に通常目視では捉えられない高速の回転体が静止したように見えます。ストロボスコープ法はこの現象を利用して回転数を得る方法で、エンジンやモータの回転数計測のほか、回転体の傷や欠けなどの検査にも用いられます。
タコメーターによる計測
エンジンやモータなどの回転数を計測するタコメーターは、機械的に回転を読み取る機械式タコメーターと電気的に読み取る電気式タコメーターに分けられますが、現在ではほとんどの自動車に電気式が用いられます。電気式では、イグニッションコイルの点火パルスをカウントして回転数を得ます。主に自動車やオートバイのエンジンなどの回転数を把握するのに用いられます。
光学機器による計測
細かなスリットやホールが施された回転盤に発光ダイオードなどによる赤外光を照射し、そのスリットやホールを通過した光をフォトダイオードに通すことで機械的な回転変位をパルス信号に変換し回転数を得る方法です。自動車、航空宇宙分野などのほか、エネルギー分野でも活用されています。
パルスを用いたモータ
パルス信号により駆動を制御する代表的なシステムとして挙げられるのが、ステッピングモータ(パルスモータ)やサーボモータといったモータ類です。
ステッピングモータ
受け取ったパルス信号の電力に同期して動作するモータ。回転角度や速度といった回転制御をパルス数と周波数によって制御します。1パルス当たりに回転する軸の角度(基本ステップ角)があらかじめ決められており、パルスが送られるたびにそのぶんの角度だけ回転する仕組みです。標準的な5相タイプの場合、基本ステップ角は0.72°で、125パルスで90°、500パルスで360°回転します。ステッピングモータにおける回転量はパルス信号の数に比例し、回転速度は周波数に比例します。
サーボモータ
対象物の位置や方向などを制御量として作動する自動制御装置「サーボ機構」を用いたモータです。ステッピングモータにはない回転検出器が組み込まれており、回転角度や回転速度を検出しながらドライバへフィードバックし、回転軸の現在位置と目的位置を比較してその差分が「0」になるよう動作します。そのため、非常に停止精度が高く、工作機械や産業用ロボットなどで多く用いられています。
特性の違い
ステッピングモータ | サーボモータ | |
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長所 |
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短所 |
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