倉庫・配送センターでの物流改善事例入荷検品
在庫台帳を使った従来の入荷検品では、記入漏れや記入忘れなど人為的なミスが発生することが多く、記録上の在庫と実在庫の間にズレが生じて出荷ミスを引き起こす要因になっていました。また、ハンディターミナルを活用する場合でもバーコードのない商品の管理が難しく、目視検査を実施せざるを得ずに出荷ミスにつながるケースも目立ちます。さらに目視検査は手間もかかり、人的・時間的リソースを圧迫します。こちらでは、入荷検品の方法や問題点、ハンディターミナルを活用した解決策や効率化につながる改善事例を紹介します。
入荷検品の方法
紙による従来の管理手法
物流現場における「入荷」とは、仕入先や自社工場から届いた商品を倉庫に受け入れることを指します。入荷作業時には、届いた品物と一緒に送られてきた納品書を照合して品番や数量に間違いがないか、品物自体に損傷や品質異常がないかを点検します。この入荷と検品を行う工程が「入荷検品」です。商品管理としては紙ベースの「在庫台帳」と呼ばれる帳面に記入する方法が一般的です。
正確な記帳が重要
在庫管理で大切なのは“入出荷の正確な記帳”であり、正確な在庫管理を実現するうえで入荷検品は重要な作業です。入荷検品でミスが起こると記録上の在庫と実在庫の間にズレが生じ、棚入れ・ピッキング・出庫などで商品を動かす際に改めて記録を照合し直さなければならず、作業が止まったり、ムダな作業が必要となったりします。そこで入荷検品では正確な記帳が求められます。
従来の方法の問題点
手作業による記帳で起こるポカミス
品物の損傷や品質異常は、梱包を解いて一部または全数を検査する、検査員の数を増やす、各種検査機器を導入するなどの方法で改善できます。しかし、その結果を在庫台帳へ記入する際、人間が手作業を行う限り必ず記入漏れ・忘れなどのミスが発生します。手作業による記入漏れ・忘れなどのポカミスは、「ミスの防止(ポカよけ)」でも説明していますが人間の認知機能が機械的作業や記憶に向いていないことから生じる宿命的なエラーです。つまり、入荷検品などを手作業で行っている限り、在庫台帳におけるミスは一定の割合で発生し続けることになります。
バーコード管理の問題点
正確な在庫管理を実現する方法として「バーコード」による入荷検品が挙げられます。ハンディターミナルによるスキャンは正確かつスピーディで、人間の認知能力で見落としやすい数字の小さな差異も識別できるのでミスも少なく、バーコード+ハンディターミナルによる入出荷管理は理想的な方法と言えます。しかし、入荷する商品によってはバーコードがなく、商品名しか記載のないものもあります。また、小さな部品や製品の形状・材質によってはバーコードの付与が難しいものも少なくありません。このようなバーコードのない商品は、ハンディターミナルでの管理が難しく、目視で入荷検品を行う必要があり、手間・時間もかかり、ミスが発生する要因にもなっていました。
ハンディターミナルの活用事例
ハンディターミナルを活用して入荷検品の課題や問題を解決した事例を紹介します。ハンディターミナルの活用は、入荷検品のミスを減らし、さらに効率化につながりコストや時間の削減にも有効です。
ハンディターミナル導入で入荷検品のミスを防ぐ
目視による入荷検品には限界があります。しかし、ハンディターミナルを導入することでヒューマンエラーを防止することが可能です。また、入荷検品だけでなく、物流工程における在庫管理全般にハンディターミナルを導入すれば、情報伝達もスムーズになりムダを削減でき効率化が図れます。
ハンディターミナルの中には、バーコードや2次元コードの読み取り以外にもOCR(文字認識)による品番や数量などの多くの情報を読み取ることができる機器があります。さらに読み取った情報をデータベースで管理し、倉庫・配送センター全体で共有できるので、ピッキングや出荷作業などの後工程の効率化にもつながります。
バーコードのない商品も管理可能
ハンディターミナル導入で課題になるのが、入荷時にバーコードのない商品です。通常、バーコードがない商品は、目視で商品名や品番、数量などを確認し、手作業で在庫台帳に記入する必要がありました。ハンディターミナルならバーコードのない商品でもシステムと連携させ、入荷チェックと在庫反映、バーコードラベル発行を実施することができます。これによりバーコードのない商品でも確実な入荷検品、在庫管理が可能です。
- ハンディターミナルを活用した入荷作業の流れ
RFID対応のハンディターミナルなら、一括読み取りが可能
専用タグ(RFタグ/ICタグ)のデータを非接触で読み書きする技術「RFID(Radio Frequency Identification)」の機能を拡張できるハンディターミナルも登場しています。それを活用することで、1台で多様なシーンやフォーマットの読み取り作業を効率化できます。
RFIDは、長距離通信が可能で障害物に強く、電波の届く範囲であれば複数の専用タグを同時に読み取ることが可能です。そのため、棚や箱から中身を1つずつ取り出してコードを読み取る必要がありません。ハンディターミナルに取り付けたRFIDユニットを棚や箱にかざすだけで一括読み取りが実現します。
下記のページでは、物流の各シーンにおけるRFIDの活用方法を紹介しています。