作業の効率化

作業の効率化

物流現場の課題を解決するには、モノの流れ、作業の流れ、情報の流れなど、入荷から出荷までトータルで最適化する必要があります。すべての作業の効率化を図ることで、はじめて「 KAIZEN(改善) 」が達成できます。こちらでは、「作業の単純化」「動線・レイアウトの変更」「マテハン機器を活用した自動化」といった視点から物流現場における作業効率化のポイントを説明します。

作業の単純化

作業の効率化から物流現場の「 KAIZEN(改善) 」を実施する場合、基本的に流れや工程を単純化していくことからはじめます。単純化することで作業スピードが上がり、ミスが減り、人員を最小限にすることができます。しかし、単に複雑な作業を簡単にするのが効率化ではありません。ムダな時間と労力がかかっている作業を洗い出し、現状を見直し、改善策とその効果を分析していくことが作業の単純化の本質です。

例えば、ピッキングした商品を箱に入れて、梱包担当に引き渡す際に別の箱に移し替えるような二重作業が典型的な非効率の一例です。文面にすると、いかにも能率が悪そうに思えますが、実際の現場では長年の習慣でこうした作業自体が当たり前になっていて、誰もそのムダに気づかないということがよくあります。このような習慣を疑い、必要な作業は残し、ムダな作業を削るという地味な積み重ねが大切です。

動線・レイアウトの最適化

製造現場でも家庭のキッチンでも物流工程でも、使い勝手の良さや作業効率の良し悪しを決めるのは現場の動線やレイアウトです。可能な限り、各工程間を最短で結ぶのが理想ですが、フォークリフトや作業員が同じ場所を動くような動線やレイアウト設計は安全面で問題があります。しかし、安全を意識しすぎてバラ保管エリアとパレットエリアが離れすぎていても、商品の移動や補充に時間がかかり効率的とは言えません。こうした相容れない要素を適切に調整しながら、作業動線やレイアウトを最適化することが重要です。

例えば、頻繁に出荷される商品を棚の下に集中させ、背の低いスタッフでも容易に扱える環境を整えることなどはすぐにでも着手できる改善策もあります。また、使用頻度が高いはずの梱包材が資材置き場の隅に追いやられていて、いざ使おうとしてもすぐに見つけられないといった初歩的なムダもあります。このような動線・レイアウトのムダは、単純に梱包セクションに近いところに移動すればよいだけの話です。こうした改善のネタは、どの現場にもたくさん転がっており、小さな積み重ねから動線・レイアウトを最適化することが重要です。

確認や記録、管理の自動化・省力化

物流現場で最大の非効率は目視による検品作業や送り状・納品書と現品の確認です。これは作業としてムダなだけでなく、見間違いや見落としなどポカミス発生を招きます。こうした照合作業は人の手に委ねず、ハンディターミナルやRFID、コードリーダを活用することで飛躍的に効率化でき、誤出荷などのミスを防げます。

ハンディターミナルの活用

ハンディターミナルによる照合は目視とは比較にならないほど正確で迅速なため、経験の浅いスタッフが扱っても所定作業のミスを格段に減らすことができます。携帯性や作業の柔軟性が求められる現場で、入出庫の作業効率化・省力化を考えた場合、ハンディターミナルの活用は有効です。

RFIDによる効率化

対応範囲内であれば複数の専用タグ(RFタグ/ICタグ)を非接触で一括読み取り・書き込み可能なRFID(Radio Frequency Identification)は、さらなる効率化を実現します。通信距離が長く障害物に強いため、たとえば、棚の高い位置に置かれた箱にリーダライタをかざすだけで、中にある複数の専用タグを一括で読み取ることができます。箱から1つずつ取り出してコードを読み取る必要がないため、作業スピードが飛躍的に向上し、コードの読み忘れといったポカミスを回避できます。また、荷物がロケーション通りに格納されていなかった場合でも、素早く見つけ出してピッキングすることができます。

コードリーダによる自動化

倉庫や物流センターでは、コードの読み取りをコンベアライン上で自動化することにより、入出庫などの管理を飛躍的に効率化できます。その反面、コード逃しや読み取りエラーが生じやすいと、それを回収する人員が必要となり、本末転倒となります。コードの自動読み取りの正確さは、ラインスピードやコードの印字品質やラベルの状態、荷物のサイズ・形状のバラつきなど、さまざまな条件に左右されます。そのため、条件をクリアできるコードリーダを選定・導入することも自動化・省力化において重要となります。

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