物流の機能（輸送・配送・運送）
物流とは、生産地や工場から消費者の下へ、モノを迅速かつタイムリーに届けるための仕組みです。中でもメインとなるのが「輸送」「配送」「運送」です。こちらでは、この3つの機能について解説していきます。
輸送・配送・運送の違い
違いをあまり意識せずに曖昧に用いてしまいがちな「輸送」「配送」「運送」という言葉ですが物流では厳密な定義があります。こちらでは「輸送」「配送」「運送」の定義、その意味と使い分けを説明します。
輸送＝一次輸送
輸送は「一次輸送」とも呼ばれ、長距離の移動を伴いながらモノをA地点からB地点へと運ぶ役割を果たします。例えば工場から物流センターまたは別の工場への大量のモノを運ぶ場合は「輸送」となります。
配送＝二次輸送
配送は「二次輸送」とも呼ばれ、近距離の小口輸送を担います。輸送と違い、A地点からB地点への移動という単純な流れではなく、C地点から複数個所にモノを送り届ける機能があります。物流センターなどの拠点から卸問屋や小売店、エンドユーザーなどにモノを運ぶ場合は「配送」となります。
運送＝トラック輸送
運送とはトラックを用いた輸送・配送を指します。なお、航空機や船舶を用いてモノを運ぶことは運送とは言いません。また、モノでなく人を運ぶことも同様。どちらも輸送と呼ばれます。輸送や配送も大きな意味では「運送」となります。
出荷作業の管理
輸送・配送・運送で重要な位置を占めるのが出荷作業とその管理です。得意先から支給される受注情報に沿って、納期通りに商品を正しく出荷する必要があるからです。こちらでは一般的な出荷準備から出荷、出荷後の記帳作業までの流れを見てみましょう。
出荷指示書の作成から取引の記帳までの流れ
STEP1 出荷指示書・必要書類の作成
納期が近づくと受注内容に基づいて売上伝票を入力し出荷指示書を作成します。倉庫担当者は納品書や受領書とこの出荷指示書を確認しながら出荷準備を進めます。
STEP2 出荷準備
倉庫担当者は出荷指示書に従ってピッキング（集荷）作業を行います。さらにピッキングした商品に不具合がないか検品を実施した後、商品を納品書とともに梱包してトラックに積み込みます。このときに商品形状や配送方法に合わせ、適切な梱包材料や荷姿を選ぶことが大切です。
STEP3 出荷納品
商品を得意先に納入します。商品の引き渡しに際しては、「納品書」「納品書控え」「受領書」を得意先に渡して確認してもらい、受領書には確認印またはサインをもらい、受領書と納品書控えを持って帰社します。
STEP4 売上伝票の作成
倉庫担当者は受領書、納品書控えを基に売上伝票を作成し、これを経理担当に渡します。これで、売上が確定したことになります。
STEP5 取引の記帳
倉庫担当者から売上伝票と受領書を受け取った経理担当は、売上を仕分けとして記帳します。なお、商品の売上を、後日現金（銀行振込）で、受け取る場合は、「売掛金」扱いにします。
輸送・配送・運送の進捗管理
ハンディターミナルの活用で進捗を細かくチェック！
得意先からの集荷依頼情報や日々の入・出庫・配送情報を人力で管理するのは非現実的です。そこで、今日ではインターネットと連携したハンディターミナルを活用し、進捗管理を効率よく行うことが業界の常識となりつつあります。「集荷・入庫」「荷卸・格納（入庫検品）」「出荷準備・検品」「積込（出荷検品）」「配達」「配達完了」の各工程でバーコードスキャンを行い、データを集約することで、作業進捗をリアルタイムかつ詳細に把握することが可能になります。
代表的な輸送手段
鉄道や航空機、船舶などさまざまな輸送手段がある中で、国内における物流の主役と言えばやはりトラックでしょう。実際、重量ベースで見ると全輸送手段のうちトラックなどの車両を用いた輸送が全体の9割以上を占めています。これは、国土の狭い日本特有の事情によるもの。土地代が高いのでなるべく店内はコンパクトにして、必要最小限の品ぞろえをキープしようという小売業の思惑が関係しています。だから、そのぶん配送頻度が増えますが、土地代と輸送代を天秤にかけてもそのほうがより高いコストパフォーマンスが得られるという理屈です。また、鉄道や船舶、航空機では、トラックのように店までダイレクトに配送してくれません。しかも駅や港、空港からさらに陸送を利用するのでどうしても輸送費が割高に付いてしまいます。トラック輸送が支持される背景にはこんな事情もあると言えるでしょう。
- 輸送機関別分担率（平成27年度）トンベース
-
「公益社団法人 全日本トラック協会 2017日本のトラック輸送産業現状と課題」より引用
