物流の機能(流通加工・包装)
商品は、生産された状態では裸の状態です。近年は流通の付加価値を高めるため、出荷時にさまざまな作業を行う「流通加工」の需要が増えています。また、そのまま飛行機や船・トラックなどで輸送すれば傷ついてしまったり、破損してしまったり、品質が低下してしまう恐れがあります。それを防ぐのが「包装」です。こちらでは、物流の機能である「流通加工」「包装」についてご説明します。
流通加工・包装とは?
流通加工と包装の概念や基礎知識、違いについてご説明します。
流通加工
流通加工は、倉庫や物流センターが出荷時にする加工全般を指します。例えば、検針・タグ付け・ハンガー掛け・値札付け・お中元やお歳暮などの箱詰めといったセット組み、ラベル貼り、袋詰などが該当します。
目的は、商品の付加価値を高めることです。顧客にとっては、手間のかかる加工が納品段階で完了していれば嬉しいですし、物流業者としても付加価値をつけることで差別化でき価格を上乗せできるので双方にメリットがあります。近年では、コスト面でも物流センターで行ったほうが安いという理由から需要が高まっています。
商品を保護し、品質を守る「包装」
商品をそのまま輸送すれば破損や品質低下の恐れがあります。それを防ぐためにダンボールや木箱などで保護することが包装の目的です。包装しておけば振動や落下による破損を防ぐことができ、湿気によるカビの発生や腐食による品質低下の予防にもなります。また、ダンボールに内容名・内容量・製造年月日・ロットナンバーなどを印字しておけば商品の区別もしやすくなります。そのほか、そのままでは運びにくい形状でもダンボール箱に入れることで台車に積みやすく、運搬しやすくなるという役割もあります。そのほかにも保管中に品質を維持する効果もあります。
包装の種類
包装は、役割や目的によって「個装」「内装」「外装」の3種類に分けられます。これはJISの包装用語でも明確に定義されているので覚えておきましょう。
- 個装
- 商品個別の包装を「個装」と呼びます。例えば飴玉1粒を包装するのが「個装(個別包装)」です。目的は商品を水や湿気、光、熱などから守ることです。
- 内装
- 個装されたものを袋にまとめることを「内装」と呼びます。1粒ずつ包まれた飴玉がいっぱい入った袋がありますが、これが内装にあたります。小売店で販売されている単位が内装にあたり、販売促進のために商品の魅力が伝わり、購買意欲を掻き立てるような包装パッケージにすることが大切です。
- 外装
- ダンボール箱や木箱などの一番大きい包装の単位が「外装」です。主な目的は汚れや破損から商品を守ることです。
包装と梱包の違いについて
包装というキーワードで検索すると、よく似た言葉として「梱包」が出てきます。梱包は、主に大型の機械製品などで使われる言葉で、木箱などを使うケースが多くなっています。意味としては包装と同じですが、より強固なもの、工作機械などの運搬に使われるものと覚えておけばよいでしょう。
流通加工・包装例
流通加工や包装の基礎を理解したところで、実際にどのようなところで使用されているのか例をご紹介します。あくまでも一例ですが、保護だけではなく付加価値を高める流通加工・包装をご覧ください。
カット加工・個装
指定グラム数にチーズをカットし、個装を行った流通加工例です。食品の鮮度と安全性を保つために低温無塵室(クリーンルーム)で万全の管理のもと小分け・個装を実施します。
アソート(セット組での箱詰め)
チョコレートやチーズ、オリーブなどのワイン向けのギフトボックスなど、販売用セット箱詰めを行った流通加工例です。
シュリンク
お菓子の箱、歯磨き粉、CDのパッケージなど、薄いフィルムで包装することで、商品の美しさを保ち、安全性・衛生を守る流通加工例です。
検量・検品
商品の内容量が規格通りか検量し、検品を行います。出荷時に検査することで安全性・品質を保証する流通加工例です。近年は検査工程の負担が大きくなっています。
金属探知検査
食品内への金属片などの混入がないか金属探知機で検査する流通加工例です。
ラベリング
個装や内装に貼り付けるラベル製作および貼り付けを行う流通加工例です。
ラッピング
クリスマスや年末年始、バレンタイン、ハロウィーンなどのイベントに合わせてラッピングを行った流通加工例です。
贈答用包装
贈答品として和紙を使った包装作業の例です。通常の包装に比べて豪華に仕上げることができます。
木枠梱包
輸送後に長期間保管する製品や通気性が必要な製品に最適な木枠梱包です。大型機械の国内輸送はもちろん輸出にも利用できます。
木箱梱包
ダンボールに比べて強度が高く、雨やホコリにも強い木箱梱包です。衝撃に弱い家電製品や電気製品、ガラス製品などに多く使用されます。