社員の日ごろの心がけを徹底する5S
物流業界に限らず、製造業やサービス業などでもよく使われる現場環境の維持改善のスローガンが「5S」 です。5Sとは、整理整頓や清掃という4Sに「しつけ」を加えたもので、組織全体で実施すべき取り組みです。こちらでは、5Sの基本に加え、物流業界独自の5Sの考え方や取り組みの方法、現場改善につながるポイントを説明します。
5Sとは
- 整理
- 不要なものを捨てること
- 整頓
- 使いやすく並べること
- 清掃
- きれいに掃除し、点検すること
- 清潔
- きれいな状態を維持すること
- しつけ
- きれいな状態を維持する習慣を持つこと
5Sとは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」を指し、5つの項目のローマ字の頭文字「S」をとって5Sと呼んでいます。一見、当たり前のように感じる内容ですが、実際に完璧にできている現場は少なく、スローガンとして多くの現場で用いられています。5Sという言葉自体は、物流業界に限らず、多くの企業で採用されています。
物流業界における5Sの課題
物流業界に限らずですが、5Sが徹底されていないと顧客からの評価・信用を失うきっかけになります。特に物流業界では、多くの荷物を扱い、物流センターの内外ではフォークリフトやコンテナ、トラックなどが行き交うので、安全面においても5Sの徹底は重要です。さらに物流業界では、ドライバーや物流センターで求められる5Sが異なり、それぞれを管理者が理解し、実践することが大切です。次項からは配送を担当するドライバーが守るべき5S、物流センター業務で守るべき5Sを詳しく説明します。
ドライバーが守るべき5S
5Sの基本は、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」という5つの遵守ですが、業務によって解釈が異なります。こちらでは、配送を担当するドライバーが守るべき5Sをわかりやすく説明します。
整理
配送用トラックの運転席や荷室は適切に整理されているか確認します。運転席まわりの散乱は、ブレーキ・アクセル・ハンドル操作に支障をきたし、事故のもとになります。また、荷台に余分なロープや当て板、あて布が積まれていると荷物が積めないばかりか、大切な商品に傷をつけてしまったり、積載量が増えて燃費が低下したりする恐れもあります。
整頓
ロープや当て板、当て布などは使いやすくまとめてあるかなどがポイントです。例えば、ロープが絡まったままだと素早く使えず、時間のロスが発生します。また、荷台に積まれた荷物は、顧客ごと、エリアごとに分けることで、荷降ろしで探す手間が省けます。使用するものはもちろん、荷物も整頓しておくことで時間のロスが最小限に抑えられ、誤配送防止にもつながります。
清掃
配送用トラックには、社名が明記されており、いわば会社の顔です。汚れたままでは、お客様はもちろん、エンドユーザーの評判も落としかねません。また、汚れが荷物に付着してクレームになる可能性もあります。配送用トラックは、車内外ともに常に清掃しておくことが大切です。
清潔
配送を担当するトラックドライバーは、常にきれいな制服着用を心がけます。配送業務では、汗や汚れが衣類につくこともありますが、できる限りきれいな姿で顧客の元へ行くことが望ましいです。また、汚れのほか匂いなどにも気をつけることが大切です。
しつけ
「整理」「整頓」「清掃」「清潔」を徹底することに加え、配送を担当するドライバーは交通ルールを遵守することも鉄則です。また、お客様と直接会う配送ドライバーは、大きな声で挨拶をする、常に笑顔で接するなどの基本も意識するように指導します。これらは、当たり前のことですが、つい忘れがちな項目でもあるので「しつけ」として日々伝え続けることが大切です。
物流センターで守るべき5S
次に物流センターの業務で守るべき5Sを説明します。
整理
廃盤になった商品・不良品などをいつまでも放置せず、不要なものは適切に処理し、配送センター内にムダなスペースが生まれないように徹底することを心がけます。不要な商品は、スペースのムダに加え、商品の取り違い、事故や火事の原因になります。
整頓
棚の商品、梱包エリアのダンボール箱や粘着テープは使いやすくまとめておくことが大切です。必要なものをすぐに使える状態にすることで作業効率が上がります。また、棚の商品を整理しておくことで入庫間違いなども発見でき、誤発送防止にもつながります。
清掃
物流センター内や敷地の清掃はもちろんですが、敷地外の清掃も徹底します。物流センターは、常に配送用トラックの出入りがあり、周辺が住宅街の場合は騒音や排気ガス、それに伴うゴミや汚れが周辺に迷惑をかけている場合もあります。
清潔
物流センターの床や棚にゴミが落ちていないか確認します。特に食品や化粧品、医薬品などを取り扱っている場合、ゴミの混入などでクレームにつながることもあります。また、清潔に保たれていない物流センターは、品質以前の問題として信頼にも関わります。
しつけ
物流センターには、安全や品質を保つためにさまざまなルールがあります。例えば作業エリアではヘルメットをかぶる、商品を扱うときは手袋をする、安全靴を履くなどのルールが遵守されているか、定期的に指導して習慣づけることが大切です。
管理者が率先して5Sを守る
現場の5Sを徹底するには、「しつけ」と同じ意味になりますが教育が欠かせません。そのためには、管理者が率先して5Sを心がけて会社全体で実施することが大切です。会社のトップが常に5Sを意識すれば、それが模範となり管理者、そして作業者の行動に反映されます。