KV-8000シリーズ
お客様導入事例
株式会社IHI

サーボモータ制御でキーエンスPLCが活躍!
高速な制御周期で設備の性能UPを実現。
データ活用(IoT)でも数多くの活用実績があります。

KV-8000シリーズ ご採用理由

  • 125μs/5軸の高速制御
  • トラブル解決に寄与するドライブレコーダ機能
  • データ活用を加速するアプリケーション

お客様の声

「従来では難しかった高速な追従制御を実現できました。」
「使う立場を考えている機能が数多くあります。」
「データ活用で、現場での意識変化が生まれています。」

- 技術開発本部 統合開発センターエンジニアリング部 製品・プロセス変革グループのお仕事について教えてください。

私たち製品・プロセス変革グループはIHIグループのさまざまな事業領域の新製品・新事業開発、製造装置開発、それらに必要な要素技術の研究開発などをおこなっています。
その中で私たちは、ロボット技術を活用した生産現場や物流現場の自動化・省力化技術や、工場のデータ活用技術の開発に注力しています。

- 生産設備制作でのKVシリーズの採用状況を教えてください。

私たちのチームは主にKVシリーズを使用しています。
採用のきっかけはサーボモータの制御周期の高速性・定周期性でした。
私たちは、仕上げロボットシステムを開発しています。
このシステムでは、5-8軸のサーボモータを高周期でリアルタイム制御し、加工工具を押し付ける力を制御します。
市販の産業用ロボットアームには力制御のオプション機能がありますが、私たちが求める高精度の仕上げ加工に必要な独自アルゴリズムを実装することが難しいという問題がありました。
オプション機能は使用せず、PCで制御演算をおこなってロボットアームを力制御する構成も考えられました。
しかしこの場合、PC側の定周期性の確保が課題となります。
リアルタイムOSの導入によりPCで高い定周期性を確保する技術も存在しますが、長期的なサポートや全体的なシステム化を考えると、ハードルが高かったのです。
そこで、最終的には、ロボット本体を力制御に適した形で内製化することにしました。
その際に採用したのが、キーエンス社のMotionユニットKV-XH16MLです。
このユニットでは、125μsの制御周期*でのリアルタイム制御系が容易に構築できました。
また、システムを構築するには、周辺機器やセンサ、安全扉、タッチパネルなども必要ですが、これらも含めて1台のPLCでシステム化することができました。
ロボットコントローラの機能も含めて、システム全体を1台のPLCで構築できた点でも良い選択だったと思います。

- 制御周期以外でお役に立てた機能を教えてください。

スクリプト機能は非常に便利でした。
ラダーで複雑な演算を組むと、視認性が低くなりがちです。
しかし、スクリプト機能を使うとExcelのような感覚で視認性の高い演算プログラムを組むことができ、効率的にプログラムを作成できました。
モータ(SV2 Series)の設定を、ラダー編集ソフトKVSTUDIO上でおこなえる点も良かったです。
モータの設定が別ソフトである場合、チューニングや設定確認時に都度ソフトを起動しなくてはならないので、その手間がなくなることがありがたかったです。

他にも下記の点が優れていました。

接続性が高い

キーエンスはセンサやバーコードリーダ、カメラ、安全コントローラなど商品領域が広く、これらの機器とPLCをEtherNet/IPⓇで簡単に接続できます。
特に私たちの開発業務においては、ほぼ毎回システムの構成機器が異なります。
新しいセンサとの通信確立での手間取りは、開発効率を下げる恐れがあるため、セットアップがスムーズであることは重要です。

デバッグが容易

トラブル前後のあらゆるデータを残すドライブレコーダ機能、デバイスの変化を時系列で追跡できるリアルタイムチャートモニタ機能、通信モニタの3つの機能を特に活用しています。
他にも、デバイスコメントが同一ファイルに保存されているので、プログラムとのバージョン違いが発生しない点など、ユーザ目線の機能が多く含まれています。

- 保全の方や、外部のセットメーカ様からのKVシリーズの評判を教えてください。

KVシリーズを使ったことがない保全の方からは、最初「使い慣れたメーカが良い」という意見を受けます。
しかし、KVを実際に使用してみると、多くの方から問題なく使えるとのフィードバックを得ています。
一部の拠点では、KVシリーズを使用して小規模な装置を自分たちで製作しているようです。
保全の方にとっても使いやすいのではないでしょうか?
また、お付き合いのあるセットメーカ様からは、「KVで良いですか?」と逆提案を受けることもあり、KVシリーズを気に入っていると感じます。
私たちと同じで、毎回違う構成のシステムを構築することが多いため、機器の接続性やデバッグのやりやすさを重視しているのかもしれません。

- PLCを使ったデータ活用の取り組みについて教えてください。

工場の設備立ち上げやトラブル対応、工程改善などをおこなっている中で、より効率的に対応する方法が欲しいという課題意識からこの取り組みを始めました。
トラブルへの対応を例にとると、原因の調査のためには、発生の瞬間とその原因となる事象を同時に捉える必要があります。
しかし、低頻度のトラブルの場合、そのトラブルが再発するまでの時間が長くなり、再発しても原因となる事象が捉えられない可能性もあります。
そのため、解決する可能性のある対策を施して再発しないか様子を見る、ということもおこなわれます。
これに対して、ドライブレコーダ機能を導入すると、トラブルが発生した時のデバイスの状況を確認できるため、1度の再発で原因を特定できる可能性が高くなります。
また、さまざまな改善の取り組みに対して、データを取得して効果をリアルタイムに定量化できると効果の把握が早くなり、改善のスピードアップも期待できると考えています。
これまで私たちが扱うプロセス装置は特殊なものが多く、データを取りたいが装置は改造したくないというケースが多かったため自然にPLCを後付けするという考えに至りました。
ここで、KVシリーズを選定したドライブレコーダ機能以外の理由は以下の3点です。

PLCリンク機能

国内外製のPLCと簡単に通信しデータ収集ができます。
また、相手PLC側の設定手順もマニュアルに記載されているため容易に設定が完了します。

高速サンプリング&高速演算

振動や音などのアナログデータを10μs周期で高速収集し、FFT解析までできる演算処理能力を持っているため、データ分析の幅が広がります。

無償のアドオンIoTアプリケーション

プログラムと画面データが用意されているIoTパッケージや、Webブラウザベースのアプリケーション*が豊富に用意されていたため、さまざまなトライアルができました。

- データ活用の具体的な事例はありますか?

4つほどご紹介します。
他にも裁断機のカッター交換時期適切化の例や、素材歩留まりの見える化事例などもあります。

Case.1新規立ち上げ設備の調整効率化

アラームパレート図を使用して、対処の優先順位を現場・生産技術・保全担当者と設備のそばで認識合わせをおこない、ドライブレコーダ機能と組み合わせることでアラームの削減を素早く実現しました。

アラーム件数推移

Case.2発生頻度1回╱日のチョコ停解決

後付けしたドライブレコーダ機能により既存設備のエラー時の前後データを記録することで、装置に張り付くことなく原因を特定することができました。

Case.3経年劣化の要因特性

波形でパラメータを定常監視することで、正常起動しないことがある古い設備の原因が、インバータの緩やかな経年劣化であることを特定できました。

インバータ出力推移

ポンプ使用回数

Case.4属人化を排した品質改善

特殊な条件の塗装で、条件設定が勘と経験に依存している工程があります。
まずはキーエンスの放射温度計、流量計、レーザプロファイル計測器LJVを組み合わせてデータを取得し、塗装のモニタリング技術の開発に取り組んでいます。

- 活用が広がるポイントを教えてください。

まずやってみることで活用用途のインスピレーションが沸くケースも多いです。

月並みですが、活用する現場側の協力が重要だと思います。
ノウハウや知見が貯まっている工程が多いため、現場側はどのようなデータを取れば良いか、ある程度わかっています。
そのデータを見せるだけで、どうすればよいかも現場側ですぐにわかります。
そのため私たちはトライアル的に設置可能かつ、稼働状況やトラブル頻度を可視化できるデモ機を用意しました。
これが好評で、実際の導入につながったケースも増えました。
また、適用事例が増えてくると、現場から困りごとの情報も寄せられるようになりました。
たとえば、加工機のクーラント濃度╱温度管理や日常点検の自動化などです。
こうした要望の増加は、活用に広がりが出てきたと言えます。
キーエンスが提供しているデータ活用のアプリケーションをそのまま流用可能な場合は、1〜2日でソフト構築ができます。
効果検証が手軽にでき、正確な導入判断が可能になりました。

トライアルBOX構成
技術開発本部技術基盤センターで製作したデータ活用トライアルBOX。
さまざまな装置に手軽に取り付けてデータ活用のトライアルができる。

- データ活用の導入効果を教えてください。

現場作業者の意識が変わってきたように感じます。
設備にもっとも近い現場作業者がトラブル解決の気づきやヒントを持っていることが多いのですが、今まではなかなか言語化できておらず暗黙知となっていました。
データ活用を進めていき、客観的なデータを作業者に見てもらうことで気づきの発信が活発化します。
さまざまな分析やデータの見せ方を変えることで議論がより活発化するため、自由に追加削除できるキーエンスのデータ活用アプリケーションは役に立っています。

- 今後の展望を教えてください。

KVシリーズの活用で、さまざまな困りごとに、より的確により素早く活用できる状態を目指します。

1つはデータ分析手法のさらなる獲得です。
設備単位でもそうですが、上位システムと連携して複数の設備やラインにまたがるデータ分析を進めていきたいと思っています。

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株式会社IHIは、1853年設立の総合重工業メーカです。
石川島造船所として創業し、以来、造船、航空機、タービン、発電設備、鉄鋼、機械、エンジニアリングなど、幅広い分野で事業を展開しています。
「技術をもって社会の発展に貢献する」という経営理念のもと、国内外約200社の関係会社で、より良いグローバル社会の実現を目指したものづくりに取り組んでいます。
  • この事例に記述した数字・内容は事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。

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