EtherNet/IP®

ここではEtherNet/IP®について説明します。

概要

EtherNet/IP®とはイーサネットを使用したオープンネットワークです。DeviceNet®と同様にODVA(Open DeviceNet Vendor Association, Inc.)により管理されています。コントローラレベルのネットワーク、デバイスレベルのネットワークのどちらにも対応でき、汎用イーサネットと混在して使用することができるネットワークです。

配線方法と通信プロトコル

配線方法

汎用イーサネットをベースにネットワーク環境を構築できます。ノード(またはイーサネットスイッチ)とノード(またはイーサネットスイッチ)間のケーブル長は最大100mです。総延長距離の制限はありません。最大で256台のノードと接続できます。汎用イーサネット通信と混在させることもできます。

通信プロトコル

標準的なイーサネットのテクノロジーであるTCP/IPとCIP(Common Industrial Protocol)と呼ばれる通信プロトコルを使用して通信しています。CIPはDeviceNet®、ControlNet、CompoNetなどでも使用される通信プロトコルです。汎用のイーサネット通信と混在できます。EtherNet/IP®は、Well-knownポートを使用して通信できるため、QoS(Quality of Service)機能に対応したイーサネットスイッチを使用することで、EtherNet/IP®通信のみを優先して高速化することができます。

QoS機能

QoS機能

イーサネットスイッチに到達した順序に関わらず、EtherNet/IP®のパケットが優先して送信されます。

特徴

EtherNet/IP®は一定周期で通信を行なうImplicitメッセージ通信と、任意のタイミングで通信を行なうExplicitメッセージ通信の二つの通信機能が用意されています。

Implicitメッセージ(サイクリック)通信機能

EtherNet/IP®で規定されたImplicitメッセージ通信を使用して、RPI(Requested Packet Interval)で設定された通信周期ごとに、サイクリック(一定周期)にデータ通信を行なう機能です。RPIはコネクションごとに設定できるので、通信速度の異なる機器とも通信を行なうことができます。サイクリック通信では、一方の機器が相手機器に対し、コネクションと呼ばれる論理的な通信回線をオープンし、オープンに成功すると、データ通信が行なわれます。
コネクションには、送受信可能なもの(Exclusive Owner)や送信のみ可能なもの(Input Only)があり、送信のみ可能なコネクションが一般的です。そのため、Input Onlyのコネクションを使用してデバイスを送受信する必要がある場合は、双方の機器からお互いにコネクションを開設する必要があります。

Exclusive Ownerを使用したサイクリック通信

Exclusive Ownerを使用したサイクリック通信

片方がコネクションを開設するとデータの送受信が可能

Input Onlyを使用したサイクリック通信

Input Onlyを使用したサイクリック通信

双方からコネクションを開設するとデータの送受信が可能

またEtherNet/IP®機器の性能はppsで表記されます。ppsはPackets Per Secondの略称で1秒間に送受信できるパケット数を表現しています。RPIが1msの機器から、データを受信するためには約1000ppsのパケットが必要になるため、10000ppsの機器ではRPI:1msの機器約10台と通信できる計算になります。

EDS(Electronic Data Sheets)ファイル

各機器で設定できるコネクションはEDSファイルに記載されており、各EtherNet/IP®機器メーカが用意しているEDSファイルを登録することで、簡単な操作でコネクションを開設することができます。

Explicitメッセージ通信機能

指定したノードに対して、任意のタイミングで、1:1でデータを送受信する通信方式です。Implicitメッセージ通信では送受信できないデバイスの送受信に対応できます。

そのほかにEtherNet/IP®では汎用的なEthernetとデータを混在できるため、FTPなどを使用してファイルのやり取りと同時に通信を行なうことができます。

関連するネットワーク

DeviceNet®

RS-485ベースでCIPを使用したオープンネットワークです。

  • 記載されている会社名、製品名、ネットワーク名称などは、それぞれ各社の商標または登録商標です。
  • 内容の一部(規格、仕様など)については記載当時から変更されている場合がありますのでご注意ください。

2015年11月

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