EtherCAT
ここではEtherCATについて説明します。
概要
EtherCATとはドイツのBeckhoff Automation GmbHが開発したイーサネットを使用したオープンネットワークです。現在はETG(EtherCAT Technology Group)により管理されています。
通信帯域を有効活用した高効率通信を特長としています。ノード間のデータ通過時間による遅れを調整した同期制御が実現できるため、モーションコントロール用のネットワークとしても対応できます。
配線方法と通信プロトコル
配線方法
汎用イーサネットをベースにネットワーク環境を構築できます。一般的には数珠つなぎ(デイジーチェーン方式)の配線が推奨されていますが、スター型、ライン型、リング型など自由度の高いトポロジーに対応しています。最大で65535台のノードと接続できます。
通信プロトコル
EtherCATではオンザフライ方式を採用しており、1つの固定長パケット内で、各ノードで使用する領域が決められており、パケットがノードを通過する際にノードの情報を追加して次のノードに送ります。そのため、ネットワーク内に送られるパケット数が少なくてすみ、効率的な通信が実現できます。
特徴
EtherCATには一定周期でデータ送受信を実行するサイクリック通信と任意のタイミングでデータ送受信するメッセージ通信があります。サイクリック通信では、一定周期を保つためにネットワーク遅延も計算して同期するディストリビュートクロック機能なども用意されています。
プロセスデータオブジェクト(PDO)通信機能(サイクリック通信機能)
スレーブに対して、一定周期かつ一斉に行なう通信です。通信周期は全スレーブ共通になります。マスタ・スレーブ方式を採用していますが、ノード番号ごとにデータを記入する領域が決まっているため、マスタ側では接続するノード数と通信周期を設定するだけで通信できます。
ディストリビュートクロック
EtherCATでは通信経路に全二重のイーサネットを採用しているため、通信経路にはリング構造が構築できます。各デバイスをパケットが通過する時間をサンプリングすることで、通信経路上の遅延時間を計算できるため、各デバイス間での開始タイミングをジッタ1us以内で同期することができます。
メールボックス送信機能(メッセージ送信機能)
ノードから特定のノードに対して、任意のタイミングで、1:1でデータを送受信する伝送方式です。実際に通信に使用するパケットは、サイクリックで通信しているパケット内に埋め込みます。そのため、データ送信後、レスポンスが返ってくるまでに、2周期分の時間が必要になります。
そのほかにはEtherCATには通信するデータの中にEthernetのパケットをカプセル化して通信するEoE(Ethernet over EtherCAT)機能や、ファイル転送のパケットをカプセル化して通信するFoE(File over EtherCAT)機能があります。
- 記載されている会社名、製品名、ネットワーク名称などは、それぞれ各社の商標または登録商標です。
- 内容の一部(規格、仕様など)については記載当時から変更されている場合がありますのでご注意ください。
2015年11月