ファイバーレーザー、CO2レーザー、UVレーザーの違い

製品への印字や加工で利用される、ファイバーレーザー・CO2レーザー・UVレーザーとは、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。ここではその違いを解説するとともに、素材別の印字加工の様子を動画でわかりやすく紹介します。

ファイバーレーザー / CO2レーザー / UVレーザーの原理の違い

レーザーのタイプは、光の波長によってわかれます。
一般的にレーザーの波長は短いほど各材質に対する光吸収率は上がり、レーザータイプごとに得意な材質・用途は異なります。
それぞれの波長タイプ別の特長と、印字例を紹介します。

A
紫外域
B
可視域
C
赤外域

ファイバーレーザーとは

ファイバーレーザー(波長:1,090nm)は、基本波長と呼ばれる波長帯に属し、金属・樹脂など幅広い材質に印字できます。特に、ハイパワーが必要な金属への黒色印字や深彫り印字に適しています。一方、ガラスなどの透明体は光が透過してしまうため、基本的に印字できません。

光波長分布図
A
紫外域
B
可視域
C
赤外域
  • 深彫り(印字後塗装)
    (車体フレーム)
  • 黒色印字
    (ベアリング)
  • 高速2次元コード印字
    (エンジンブロック)
  • 削り印字
    (キーシリンダー)
  • 加工(カット)
    (アルミ板)
  • バリ取り(フレームIC)
    (左:処理前 右:処理後)

CO2レーザーとは

CO2レーザーは基本波長レーザーに比べて10倍以上長く、これは一般に使用されているレーザーの中で、最も長い波長帯です。
熱をかけて印字する方式なので、紙や樹脂だけでなく、ガラスや PET などの透明体、木材、ゴムなどにも印字が可能です。
一方、金属に対してはレーザー光がほとんど反応しない(吸収されない)ため印字は難しくなります。

光波長分布図
A
紫外域
B
可視域
C
赤外域
  • カートン
  • ボトル
  • 意匠印字
  • ガラスウエハ
  • ウェザーストリップ
  • 電子基板

UVレーザーとは

UVレーザーの光の波長は、基本波長レーザー(1,064nm)の1/3(355nm)です。この波長が、紫外線領域であることから「UVレーザー」と呼ばれます。各素材に対して吸収率が非常に高く、熱ダメージを与えない印字や加工が可能なため、そのマーキングは"Cold Marking"と呼ばれています。高い発色性や製品へのダメージを抑えた印字が求められる用途に最適です。

光波長分布図
A
紫外域
B
可視域
C
赤外域
  • 車載用多色リレー
  • イヤホン
  • 薬品ボトル
  • 銅リードフレーム
  • 鋼製小物(はさみ)
  • 食品包装フィルム

ファイバーレーザー / CO2レーザー / UVレーザーの印字比較

金属や樹脂をはじめさまざまな素材を対象に、ファイバーレーザーマーカー、CO2レーザーマーカー、UVレーザーマーカーで印字した場合の違いを動画で紹介しています。

【ファイバーレーザー vs CO2レーザー vs UVレーザー】
金属(鉄)への印字例

金属(鉄)に印字した様子をご確認ください。

結果
ファイバーレーザー 視認性の高い印字が可能
CO2レーザー 光が金属に吸収されないため印字は不可能
UVレーザー ファイバーレーザーと比べ視認性は低いがダメージを抑えた印字が可能

【ファイバーレーザー vs CO2レーザー vs UVレーザー】
金属(銅)への印字例

金属(銅)に印字した様子をご確認ください。

結果
ファイバーレーザー 反射率の高い銅では光が吸収されにくく印字できないケースがある
CO2レーザー 光が金属に吸収されないため印字は不可能
UVレーザー 白色印字でダメージを抑えた印字が可能

【ファイバーレーザー vs CO2レーザー vs UVレーザー】
樹脂(PE)への印字例

樹脂(PE)に印字した様子をご確認ください。

結果
ファイバーレーザー 樹脂の顔料に反応し、発色印字が可能
CO2レーザー 材質に色は付かず、熱で樹脂表面が盛り上がった印字が可能
UVレーザー 樹脂の顔料に反応し、発色性の高い印字が可能

【ファイバーレーザー vs CO2レーザー vs UVレーザー】
カートンへの印字例

カートンに印字した様子をご確認ください。

結果
ファイバーレーザー 光が吸収されず印字が不可能
CO2レーザー 熱で表面を焼き付ける方式で印字が可能
UVレーザー 紙にも光が吸収され、発色印字が可能

【ファイバーレーザー vs CO2レーザー vs UVレーザー】
透明体への印字例

透明体に印字した様子をご確認ください。

結果
ファイバーレーザー 光が吸収されず印字が不可能
CO2レーザー 熱で盛り上がりが発生し印字が可能
UVレーザー 光が吸収されず印字が不可能

【ファイバーレーザー vs CO2レーザー vs UVレーザー】
包材(パウチ)への印字例

包材(パウチ)に印字した様子をご確認ください。

結果
ファイバーレーザー 光が吸収されにくく包材へのダメージが発生
CO2レーザー 熱で焼く方式のため包材表面が焼き飛ばされる
UVレーザー フィルムの印刷層に光が反応して発色印字が可能

【まとめ】各材質の印字結果

ファイバーレーザーは金属・樹脂に広く印字が可能ですが、より具体的な特徴としては、金属への印字で高い視認性を得るためにはファイバーレーザー、樹脂への印字で高い視認性を得るためにはUVレーザーが適していると言えます。またUVレーザーは光吸収率が高いのでダメージを抑えたい用途にも適しています。
一方、CO2レーザーは熱で焼く方式なので、木・紙・透明体などへの印字に適しています。

ファイバーレーザー CO2レーザー UVレーザー
× ×
× ×
ABS ×
カートン ×
透明体 × ×
パウチ × ×

〇:視認性が高い
×:視認性が低い

※材質・状態によって結果は異なります。上記結果はあくまで一例です。

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