最小実体公差方式(LMR:Least Material Requirement)
穴の大きさや位置、厚みの管理などには最小実体公差方式が採られます。
たとえば、部品の穴が最小実体状態(穴の大きさが最大[LMC:Least Material Condition])のときに穴の位置や大きさがずれると、強度が不足して破断するという問題が発生します。このようなスペースが厳しい条件での設計に、最小実体公差方式が役に立ちます。
最小実体公差方式の利用
設計値に対して肉厚の最悪の条件は、穴の径が大きく(最小実体サイズ)、位置が端面側に寄ったときです。反面、穴の径が小さい状態(最大実体状態)では穴が端面側に寄ったときでも強度を確保できます。
とは
寸法に最小実体公差方式を適用する場合は、公差記入枠のサイズ公差に続けてを記入します。また、場合によってはデータム記号に続けて記入します。「L」はLeast Material Requirement(LMR)の略で、最小実体公差方式の適用を指示する記号です。
最小実体公差方式の指定例
下図は、最小肉厚を位置度で示した場合の端面と穴について、最小実体公差方式で指示した例です。
サイズ許容区間にを適用すると、位置度Φ0.5は、穴24は最小実体状態のΦ24.1にのみ適用されます。このとき、穴の大きさが小さくなれば、その分だけ幾何公差が緩和されます。