賞味期限などの印字

食料品には、賞味期限や消費期限、さらにロット番号などを印字します。賞味期限や消費期限は期限表示といわれ、食品が一定の品質を有していると認められる期限を示す日付です。また、ロット番号は、製品の製造時の生産単位ごとに付けられる番号で、製造した工場や生産ライン・製造年月日などを追跡するために使用します。
ここでは、期限表示とロット番号の基礎知識や印字機の特徴、印字トラブルや印字品質の管理方法などについて紹介します。

賞味期限や消費期限などの表記ルール

賞味期限や消費期限、ロット番号の表記には定められたルールがあり、このルールに則って印字しなければなりません。
賞味期限や消費期限は、年月日まで記載が必要です。ただし、スペースの問題で同じ位置に表示が難しい場合には「賞味期限は○○に記載」として、単独での記載も可能です。表示方法についてはさまざまな規定があり、下記のとおり定められた方法で表示しなければなりません。

正しい表示の例

年号で記載
消費期限 令和○年○月○日
賞味期限 令和○年○月○日
賞味期限 令和○年○月
西暦末尾2桁で記載
消費期限 210115
賞味期限 220901

誤った表示の例

年月日を明記しない表示
消費期限 製造日から3日間
賞味期限 製造日から1か月間
賞味期限 製造日から3か月間
ロット番号の表記ルール

ロット番号は、同一条件下で生産された製品を1つのグループと見なし、ロットごとに付与した識別記号です。ここでは、食品加工業を例に説明します。
食品加工業でロット番号に含むべき情報には以下の項目があります。
・加工場所(工場、設備)を特定する記号
・製造年月日
英文字と数字を交互に表記すると、製品やラベルに印字した場合に読みやすくなります。

211108A02(製造日・製造設備・工場・加工設備)

シリアル番号の表記ルール

シリアル番号は、部品・製品ごとに付与する個別の番号です。
下記はロット番号に続いて表記する場合です。

211108A020a0123(製造日・製造設備・工場・加工設備・充填機・シリアル番号)

賞味期限印字機の種類と特徴

手押しスタンプ

手押しスタンプ

不滅インクと呼ばれる速乾性のインクを付けた活字を対象物に押し付けて、インクを転写させます。

メリット
インクが付着しにくい対象物にも印字できます。
デメリット
インクの乾きやにじみに気を付ける必要があります。人手作業なので人件費が掛かり、さらに版替えの際にミスが発生する可能性あります。

ハンドラベラー

ハンドラベラー

スーパーマーケットなどの小売りの現場でよく使われているラベル貼り付け機です。グリップを握って小槌を振るようにラベルを貼り付けます。

メリット
作業性が高くスピーディに日付や値段を表示できます。
デメリット
ラベラーの部品(送りローラー)が摩耗すると、印字がズレます。ゴム印に汚れやゴミが付着していると、きれいに印字できません。また、手作業なので印字できる数に制限があります。

ローラースタンプ

ローラースタンプ

活字が配置されたローラーを対象物に押し付けて、回転しながら日付けを転写します。
水性のインクを使用するため、主に段ボールの日付印字に使われていて、コンベアで流しながら印字します。

メリット
製造ラインに設置することができ、高速な印字が可能です。
デメリット
頻繁なインクの補充が必要で、インク量の増減によって印字品質が安定しません。特にインクを補充した後は、印字が欠けたりカスレたりすることがあります。また、版替えの際にミスが発生する可能性があります。

ラベル印字機

ラベル印字機

主に、食品に貼るラベルを一括して印刷するために使われます。インクリボンを転写するサーマル方式と感熱紙を使う感熱方式があります。食品加工業界では、耐水性が求められることが多いため、サーマル式が多く使われます。

メリット
スタンプやハンドラベラーに比べ、自由度の高い印字レイアウトが可能です。
デメリット
感熱方式は、感熱紙が日光などにさらされると変色したり字が薄くなったりするため、長期保存に向いていません。また、サーマル式はインクリボンと紙の両方を必要とするため、ランニングコストが掛かります。

サーマルプリンタ

サーマルプリンタ

活字を使わず、プリントヘッドの熱で、サーマルリボン(インクリボン)のインクを転写して印字します。

メリット
活字を使わないので、リアルタイムに変動する製造時間や製造番号、バーコード・2次元コードなどを印字することができます。また、ランニングコストが安い、プリントヘッドの小型化が可能などのメリットがあります。
デメリット
熱、薬品、擦れにより、ラベルが変色しやすいため、長期間使用するラベルとしては不向きです。接触式のプリンタなので、プリントヘッドの消耗や接触圧のバラつきにより文字のカスレが発生します。また、プリントヘッドの温度管理、接触圧管理の調整が必要です。

ホットプリンタ

ホットプリンタ

ピロー包装機などの自動機に取り付けて日付を印字します。活字を高温にしてインクリボンを包装フィルムに転写させて印字します。

メリット
構造がシンプルでメンテナンスが容易です。インクは速乾性なので、インク汚れの発生がありません。また、金属活字なので、高品質な印字が可能です。インクの接着力が強いので、耐熱性と耐擦過性に優れるなどのメリットがあります。
デメリット
インクリボン、版交換などのランニングコストが掛かります。版を交換する際には加熱したり冷却したりする待ち時間が必要です。また、リボンの巻き込み(ジャム)で生産が停止することがあります。接触式のプリンタなので、版の摩耗や接触圧のバラつきにより文字のカスレが発生します。さらに、温度管理、接触圧管理の調整が必要です。

インクジェットプリンタ

インクジェットプリンタ

インクジェットプリンタはインクをノズルから粒状にして吹き付け、非接触で印字します。

メリット
対象部の形状に対し、自由度の高い印字が可能です。印字速度が速く、移動している製品に印字することができます。賞味期限やロット番号などはもちろん、シリアル番号などのナンバリング印字も可能です。また、非接触なので、完成後の製品に傷を付けることなく印字ができます。
デメリット
ノズルが詰まりやすいため、インク経路の洗浄が必要です。また、高温時に発生する文字の乱れ、装置の振動による文字欠け、包材の変更による印字落ちなどが挙げられます。
ホットプリンタ vs 産業用インクジェットプリンタMK-Gシリーズ 賞味期限の印字するならどちらがいいのか?

賞味期限印字のミスとリスク

賞味期限の印字ミスの多くは日付の誤記です。特に、スタンプやラベルなどの人手による印字は、誤記の原因になっています。また、ホットプリンタやサーマルプリンタによる印字でも、文字の欠けや脱落は少なくありません。
賞味期限の印字ミスには、食品表示法などによるペナルティが科される可能性があるため、問題の解決は必要不可欠です。

スタンプ

スタンプを押し付けて印字するため、曲面や柔らかいものへの印字が困難です。また、インクの付着量の多少により印字品質が変化するため、印字品質にバラつきが発生する可能性があります。文字の変更は手動なので、カレンダやカウンタなどの印字には手間がかかり、日付の設定を間違えるリスクがあります。

スタンプ

ラベル

最も発生頻度が高いミスは、日付の設定ミスやラベルの貼り間違えです。また、製品への直接印字ではないので、ラベルが剥がれて日付表記が失われる恐れがあります。さらに、品種ごとにラベルが必要な場合、ラベルの管理が煩雑になります。

ラベル

ホットプリンタ・サーマルプリンタ

ホットプリンタやサーマルプリンタといった接触式プリンタの場合、インクリボンと版が必要です。インクリボンはジャムを起こす可能性があり、ジャムが発生するとチョコ停が発生します。また、版の摩耗や接触圧の管理も欠かせない作業です。さらに、接触式プリンタの印字速度には制限があり、高速ラインに追従できない場合があります。

ホットプリンタ・サーマルプリンタ

インクジェットプリンタ

長期間、動作しないとノズルが詰まる場合があります。また、周辺温度が高くなるとインクの粘度が変化して印字が乱れることがあります。さらに、装置の振動による文字欠け、包材の変更による印字落ちなどが挙げられます。

インクジェットプリンタ

印字ミスの流出を防ぐ最新インクジェットプリンタ

印字ミスの流出を防ぐ最新インクジェットプリンタ

キーエンスのインクジェットプリンタと画像センサなら、賞味期限印字のあらゆる課題をクリアすることができます。同時に、洗浄や消毒など、HACCP(ハサップ)への対応もクリアすることができます。

オートシャワー洗浄機能で安定した高品質印字が可能

オートシャワー洗浄機能で安定した高品質印字が可能

オートシャワー洗浄機能は、プリンタが自己診断して必要な洗浄を実施。インクジェットプリンタを長期間使用しなかった場合でも、ノズルが詰まる心配がありません。防塵・防水性能においては、IP55に標準で対応しているので、周辺を洗浄しても水の飛沫による故障の心配はありません。

文字を“撮る”だけで、 印字内容を確実に変更

文字を“撮る”だけで、 印字内容を確実に変更

カメラで撮るだけで印字内容を変更できる、オペレーションアシストカメラを内蔵。コンソールから入力する必要がないので、人為的なミスを防ぐことができます。

画像センサとの連携で印字ミスをモレなく検出

画像センサとの連携で印字ミスをモレなく検出

キーエンスのインクジェットプリンタは、ケーブル1本でセンサを接続可能。印字を画像センサで検査することで、万一の印字ミスも検出することができます。

このように、非接触プリンタのさまざまな課題を解決したキーエンスのインクジェットプリンタは、賞味期限などの印字に最適な印字機といえます。

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