日用品・医療品業界

日用品容器のラベルずれ

身の回りにある日用品容器には、商品のイメージを伝えたり、法律で定められた情報を記載したりするためにラベルが貼り付けられています。こちらでは、日用品容器のラベルずれ検査について説明します。日用品容器のラベルずれ検査で覚えておきたい基礎知識、よく起こる不良の種類や発生原因、従来の検査方法と最新画像処理システムを活用した検査事例などを紹介します。

日用品容器の概要・基本

容器の種類について

日用品の容器と言っても金属製やプラスチック製、ガラス製、紙製などさまざまな素材があります。こちらでは、一般的に日用品に使われている容器の種類を説明します。

金属缶

金属缶は、丈夫で保存性、密閉性、遮光性が高いことから液体や粉末、気体などを入れる容器として使用されます。日用品では、缶詰やスプレー缶、ジュースや酒類などのアルミ缶などが一般的です。

金属缶

ガラス瓶

ガラス瓶は、透明で中身が確認しやすく、細菌が繁殖しづらいため衛生面に優れた容器です。そのため飲料や調味料の容器として使用されています。また、再利用可能で環境負荷が少ないこともメリットです。ただし、重くてかさばるため輸送コストがかかり、衝撃で割れやすいというデメリットもあります。

ガラス瓶

軟包装

軟包装は、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ポリオレフィン(PO)などからできた包装の総称です。軽量で伸縮性に富み、加工しやすくて丈夫、素材によって透明性も高いことから幅広く使われています。日用品では、肉や野菜の包装、レトルト食品、シャンプーや洗剤の詰替え用パックなどに利用されています。

軟包装

プラスチック容器

プラスチック容器は、ペットボトルをはじめとしたプラスチック製の容器です。軽くて丈夫、密閉性が高いことから飲料や調味料、アイスクリームやデザートのカップ、シャンプーや洗剤などの容器として幅広く使用されています。

プラスチック容器

ラベルの種類について

容器に貼るラベルも用途や目的によって使い分ける必要があります。こちらでは、一般的に日用品に使われているラベルの種類を説明します。

粘着ラベル

粘着ラベルは、「タックラベル」とも呼ばれ、一番身近なシール状のラベルです。裏側に粘着剤(糊)が塗工してあり、長期間にわたって粘着力を保てるようになっています。

粘着ラベル
シールとしての認識が一般的。

シュリンクラベル

シュリンクラベルは、熱を加えると収縮する「シュリンクフィルム」を使い、容器にぴったりと密着させるラベルです。ペットボトルのパッケージでよく目にするラベルで、容器全体を覆うので内容物の遮光・保護に優れています。表示面積が多く、デザイン性が求められる商品、注意書きや多い医薬品にも適しています。

シュリンクラベル
複雑な容器にもフィルムがぴったりと収縮。

グルーラベル

グルーラベルは、容器に貼る直前に粘着剤(糊)を塗工するタイプのラベルです。貼る直前に粘着剤(糊)を塗工するので粘着剤(糊)が劣化せず、ラベルを在庫しやすいというメリットがあります。日用品では、栄養ドリンクやアルコール飲料のガラス瓶などに使用されています。

グルーラベル
基材は紙で、形は四角形が中心。裏面には糊がついておらず、貼る直前に糊を塗工する。

ラップアラウンド

ラップアラウンドは、「胴巻きラベル」とも呼ばれ、帯のような横長のラベルです、容器に巻きつけて両端を粘着剤(糊)で貼り付けて使用します。素材は、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ポリオレフィン(PO)などの樹脂素材、紙などが多く、主にガラス瓶やペットボトルなどに使用されています。

ラップアラウンド
シュリンクラベルに比べ、ラベル表示面積が狭い

インモールド

インモールドは、樹脂容器に直接印刷したように見えるラベルです。加工方法は、「ブロー成形」と「インジェクション成形」の2種類に分けられ、樹脂成形と同時にラベリングを行います。

  1. 熱処理
    金型内にラベル挿入
  2. 熱処理
    金型を閉じ樹脂注入
  3. 熱処理
    成型品
容器とラベルが、ほぼ一体に見える。
ブロー成形
ブロー成形は、容器の材料になる樹脂を金型に入れ、熱をかけて膨らませて成型します。その際に印刷したラベルも金型にセットし、熱でラベルが容器に融着させます。主にボトル型容器で使われる加工方法です。
インジェクション成形
インジェクション成形は、凹型の金型内に樹脂を射出し、凸型の金型を押し当てて容器を成型します。その際に凹型の金型に予めラベルをセットして熱で融着させます。主にカッブ型容器で使われる加工方法です。

よく起こる不良の種類と発生要因

日用品容器のラベリングでよく起こる不良の種類とその発生原因について説明します。ラベルの外観検査では、主にラベルずれ、異種混合、ラベルの破れや穴、シュリンクフィルムのシワ、印字ミスなどの不良を確認します。

ラベルの破れ、シュリンク不良

ラベルの破れ、シュリンク不良

衝撃や落下によるラベルの破れ、シュリンクフィルムへのゴミ・ホコリの混入、ラベルやシュリンクのシワ・ピンホール(穴)などが典型的な不良です。また、温度異常によってシュリンクが十分に収縮しなかったり、溶けて破けてしまったりすることもあります。従来は、目視検査で不良判定を行っていましたが、検査員によって判定にばらつきが発生しやすく、ピンホールのような小さな不良を見落としてしまうという危険性もあり、専用検査機器や画像処理システムによる自動化が進んでいます。

ラベルずれ

ラベルずれ

ラベルの貼り付けで多い不良がラベルずれです。ワークの位置ずれ、ラベリングマシンの動作不良などにより、ラベルの貼り付け位置がずれてしまうことがあります。対策としては、ワークの位置がずれないようにしたり、ラベリングマシンのメンテナンスを定期的に行ったりすることが有効です。

ラベルの印字スレ、印字違い

ラベルの印字スレ、印字違い

ラベルには、賞味期限や製造番号などの文字を印字しますが、機械トラブルやインク切れなどでラベルの印字スレが起こることがあります。また、インクジェットプリンタやレーザマーカの設定により印字違いが発生する可能性もあります、まずは商品替え・段取り替えごとに印字を確認し、中間製品や最終製品の印字検査を徹底することが大切です。また、画像処理システムやOCR(文字認識)技術の発達により、画像から賞味期限・製造番号の文字を検出し、自動検査することが可能です。

従来の検査方法

ラベルの外観検査は、ラベルの有無や異種混入、位置ずれ、めくれ、破れ、付着物、汚れ、文字の欠けなどを目視検査で判定していました。しかし、目視検査は検査員に判断が左右され、判定にばらつきが発生しやすいという問題があります。また、近年は製造ラインの高速化・自動化が進んでおり、全数を目視検査するには限界があります。そこで専用検査機や画像処理システムの導入が進められています。

従来の検査方法

最新画像処理システム検査事例

最新画像処理システム検査事例

ラベルの有無など大きな不良は、従来の画像処理システムでも検出できましたが、ラベルのズレのような微小変化の判定は困難でした。しかし、キーエンスの画像処理システム「CV-Xシリーズ」「XG-Xシリーズ」なら位置ずれや小さな欠け、印字ミスなども確実に検出可能です。

また、「CV-Xシリーズ」「XG-Xシリーズ」の特徴は、高い不良検出能力だけではありません。いつでも・どこでも同じように検査環境を再現できる「撮像環境再現ナビ」という機能も特色のひとつです。撮像環境再現ナビは、「今のラインの検査状態をとなりのラインに展開したい」「複数あるラインの一部でなぜか誤判定が頻発するので調整したい」といったシチュエーションで力を発揮します。

従来の画像処理システムは、正常に動作しているラインの撮像画像と、展開したいラインの撮像画像に少しでも違いがあれば、再設定・再調整する必要がありました。「CV-Xシリーズ」「XG-Xシリーズ」なら「位置合わせツール」でカメラの位置調整を行ったり、「明るさ調整」で明度の差を調整したり、「ピント合わせツール」でレンズのピント調整がワンタッチで行えます。これにより現在稼働している検査工程の設定データを活かして、手軽にラベル検査工程を別ラインで再現可能です。

最新画像処理システム検査事例

位置合わせツール

位置合わせツール

基準画像の特徴的な箇所に補助線を描画します。連動して動く入力画像側の補助線を目安にカメラの位置調整を行います。

  • 基準画像
    基準画像
  • 入力画像
    入力画像

明るさ調整ツール

明るさ調整ツール

基準画像と明度が異なる所を色表示。
差をなくすよう調整できます。

明るさ調整ツール

ピント合わせツール

ピント合わせツール

基準画像のピント状態との比較をバーグラフで表示します。基準画像のピントレベルに合うようにレンズのピント調整を行います。

ピント合わせツール

まとめ

このページでは、日用品容器の種類と、日用品に貼られているラベルの種類について説明しました。また、貼り付けたラベルのトラブルと外観検査の方法についても紹介しました。それらをまとめると、以下の通りです。

  • ラベルの外観検査は、製造ラインの高速化・自動化に伴って、目視による全数検索が困難になっている。
  • 従来の検査機だとラベルのズレなどの微小変化は判別できないことが多い。
  • キーエンスの画像処理システムなら、ラベル不良、位置ずれやわずかな欠け、印字ミスも確実に検出可能。

ワークによって、外観検査の方法もさまざまです。最適な外観検査を行うには、それらの特徴を知り、正しく検査することが大切です。
このページで紹介した内容や、他のページに記載している外観検査の知識を1冊にまとめた資料「外観検査のすべて」は、下記からダウンロードできます。画像処理システムの導入事例集とあわせてご覧ください。

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