目視での外観検査

外観検査の基本は、人間の目で部品・製品を確認して良否判定を行う「目視検査」です。こちらでは、目視検査の基本、メリットやデメリット、外観検査における目視検査の限界と画像センサなどで自動化するメリットをご説明します。

目視での外観検査

目視検査とは

目視検査とは、文字通り「人間の目で見て行う検査」です。最も身近な検査方法であり、部品や製品の良し悪しを判断する基本とも言えます。また、目視検査を含む人間の五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)で品質を判定する検査方法を「官能検査」と呼び、その中でも目視検査は最も一般的な検査方法になります。

【MEMO】 官能検査とは
官能検査とは、人間の五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)を計器ととらえ、検査員が品質を判断する検査方法です。例えば、自動車部品の形状不良や傷、印刷物であれば文字の抜けやにじみ、布製品であれば手触りや表面の光沢、食品であれば匂いや味、楽器であれば音質や音量など、限度見本などと比較しながら人間の感覚で合否判定を行います。

目視検査のメリット・デメリット

目視検査のメリット・デメリット

目視検査のメリットとデメリットについてご説明します。メリットは、特別な設備が不要なので設備費用や開発費用などのイニシャルコストがかからないことです。検査員さえ確保できれば、その日から目視検査を実施できます。

デメリットは、人間の感覚で合否判定を行うのでヒューマンエラーが発生しやすく、検査員によって不良品の判定基準にばらつきが発生することです。検査台・検査室の照明といった環境によって検査が影響を受けたり、人ですので精神的・身体的疲れによって作業精度・スピードに差が生じたりすることもあります。ポカヨケや限度見本などのツール、教育を徹底してもヒューマンエラーや判定基準のばらつきをゼロにすることは困難です。

また、画像センサを活用した外観検査の自動化に比べてイニシャルコストは低く抑えられますが、現在の日本は人材確保が困難ですし、検査員を雇えば人件費もかかります。また、教育や限度見本などのツールの準備に手間がかかるといったデメリットも挙げられます。

目視検査の限界と自動化への流れ

日本の高齢化の推移と将来推計
日本の高齢化の推移と将来推計グラフ
(出典)棒グラフと実線の高齢化率については、2015年までは総務省「国勢調査」、2017年は総務省「人口推計」(平成29年10月1日確定値)、2020年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29 年推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果。点線と破線の高齢化率については、それぞれ「日本の将来推計人口(平成9年推計)」の中位仮定、「日本の将来推計人口(平成24 年推計)」の出生中位・死亡中位仮定による、推計時点における将来推計結果である。

上述しましたが、目視検査は手軽に実施できる一方で経験豊かな人材を確保することが難しく、一人前になるまで教育などの手間がかかるという問題があります。また、人口減少・高齢化が進んでいる日本では、経験豊富なベテラン検査員が減少し、若手も育たないという状況に陥っています。

そのほかにも近年のものづくりは、部品・製品の小型化・集積化が進み、求められる品質も高くなっています。さらにユーザーのニーズに応えるために多品種生産が増え、製品サイクルも短くなっているので検査にかかる負担は大きくなっています。

目視検査から自動化するイメージ

そこで注目されているのが画像センサを用いた外観検査の自動化です。例えば、画像センサを活用して検査工程を自動化すれば、ヒューマンエラーの発生、判定基準のばらつき、人員確保、教育などの手間、人件費などの問題が解決可能です。自動化によってインラインでの高速検査も可能になり、品質を保証しながら生産効率も高められます。

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