ハンディターミナルで読み取れるモノ
ハンディターミナルは、搭載されたレーザースキャンモジュールまたは専用のカメラでバーコードのバー(=線)やスペースの太さ(間隔)の違いを感知してデータを読み取る専用の携帯端末です。こちらではハンディターミナルが扱うことのできるバーコードの種類やその違いなどについて解説します。
バーコードと2次元コード
バーコードは、スーパーやコンビニの商品に貼られている最もポピュラーなものとなります。太い線とスペース、細い線とスペースが縞模様に並んでいます。
2次元コードで代表的なのが「QRコード」です。小さな四角形のスペースに細かいドット(点)とスペースがレイアウトされているもので、携帯電話のカメラでも読み取りが可能なため急速に普及しました。また、2次元コードにはQRコードのほかに、バーコードを上下に複数重ねた「スタックコード」と呼ばれるものもよく知られています。なお、QRコードは小さな正方形を上下左右に配置するため「マトリックス式」(マトリックスコード)とも呼ばれています。
読み取れるコードの種類
世界には100を超えるバーコードの規格が存在していますが、その中でも代表的なものをご紹介し、それぞれの特徴をご説明しましょう。
JAN(EAN・UPC)
- 特徴
- 日本では、JISにより流通コードとして規格化されています。なお、JANは日本だけの呼称で、海外ではEANと呼ばれます。また、米国、カナダにおけるUPCと互換性もある国際規格のひとつです。
- 扱える文字の種類
- 0~9までの数字
- 表現可能な桁数
- 13桁または8桁
- 採用例
- 生活用品・書籍・雑誌・家電品・衣料品など広範囲
ITF
- 特徴
- 段ボールに印刷されている標準物流コードで、5本のバーで1文字を表します。JANコード番号の前に物流識別コードを1桁加え、全体を14桁にしたものが標準規格ですが、さらに先頭に0を加え16桁にした国内専用の規格も存在します。同じ桁数であればほかのコードよりも全体を小さくできるといった利点があります。
- 扱える文字の種類
- 0~9までの数字
- 表現可能な桁数
- 偶数桁のみ
- 採用例
- 物流商品
CODE39
- 特徴
- 5本のバーと4本のスペースで1文字を表すバーコードの規格です。ITFや後述するNW-7と比べて同じ桁数を表現するのにより広い幅を必要としますが、その分読み取り精度が高くなります。また、表現可能な桁数を任意に設定できることも利点です。
- 扱える文字の種類
-
- 0~9までの数字
- アルファベット大文字
- 記号(-,.,スペース,$,/,+,%)
- *:アスタリスク(スタート/ストップキャラクタ)
- 表現可能な桁数
- 自由
- 採用例
- 工業用(自動車業界など)
CODE128
- 特徴
- アスキーコードの128文字を表現できます。3種類のバーがあり、3本のバーと3本のスペースで1文字を表します。あらゆる種類の文字が扱えるだけでなく、数字だけで表現する場合はほかのコードより小型化が可能です(ただし12桁以上の場合)。
- 扱える文字の種類
-
- アスキーコード全文字
- 0~9までの数字
- アルファベット大文字・小文字
- 記号
- 制御文字(CR、STXなど)
- 表現可能な桁数
- 自由
- 採用例
-
- チェーンストア、百貨店協会
- 医療材料業界
- コンビニ業界
- 食肉業界
NW-7(CODABAR)
- 特徴
- 2種類のバーサイズがあり、4本のバー、3本のスペースで1文字を表します。NW-7もしくはCODABAR(コーダバー)と呼ばれます。コードの読み始めを表すスタートキャラクタと読み終わりを表すストップキャラクタにはアルファベットのa~dを使用しますが、表現できる文字は数字と一部の記号のみというシンプルな構成です。
- 扱える文字の種類
-
- 0~9までの数字
- 記号(-,$,/,.,+)
- a~dのアルファベット(スタート/ストップキャラクタ)
- 表現可能な桁数
- 自由
- 採用例
-
- 宅配便の伝票
- DPE(プリントショップ)
- 図書館の貸し出し管理
QR
- 特徴
- QRとはクイック・レスポンスの略で高速読み取りが可能なコードという意味があります。また、縦横にドットを配置することで格納できる情報量が多く、数字だけでなくさまざまな言語が扱えるといった特色があります。小さな正方形を上下左右に配置するため「マトリックス式」(マトリックスコード)とも呼ばれます。
- 扱える文字の種類
-
- 0~9までの数字
- アルファベット大文字・小文字
- 記号
- 漢字など各言語
- 表現可能な桁数
- 自由
- 採用例
-
- 在庫管理(倉庫など)
- 医療現場
- 受取ロッカー(空港)
- 企業キャンペーン
DataMatrix
- 特徴
- DataMatrix(データマトリックス)コードは、1987年にアイディマトリックス社によって開発されたマトリックス型の2次元コードです。1996年AIMIのISS規格に登録され、2000年にISO/IEC規格になっています。DataMatrix(データマトリックス)には、ECC000、ECC050、ECC080、ECC100、ECC140という古いバージョンとECC200という新しいバージョンがあります、古いバージョンは歪みに弱く、現在では歪みに対するエラー訂正機能を向上させたバージョン「ECC200」が使用されています。DataMatrix(データマトリックス)は、正方形タイプと長方形タイプがあり、シンボルサイズは10×10~144×144までの24種類(長方形は6種類)に分けられます。また、シンボルサイズが26×26セル以上(データセルでは24×24セル以上)になる場合、シンボルを分割して1ブロックのデータセルが24×24セル以上にならないようにすることで歪みに対して強くしています。
- 扱える文字の種類
-
- 0~9までの数字
- アルファベット大文字・小文字
- 記号
- 漢字など各言語
- 表現可能な桁数
- 自由
- 採用例
-
- 医薬品、医療用品
- メスやハサミなどの手術用具
- 半導体などの部品へのマーキング
- 小型部品の履歴管理(トレーサビリティ)
PDF417
- 特徴
- PDF417 は、1989年にシンボルテクノロジー社によって開発されたマルチロー(スタック)型の2次元コードです。1994年AIMIのUSS規格に登録され、2000年にISO/IEC 規格になっています。2010年3月には、JIS X0508:2010としても規格化されています。最大情報量は、英数字1,850字、数字2,725桁、バイナリー1,108バイトと大容量で漢字、図形、画像、音声等もコード化できます。シンボルは、最小で3段、最大で90段からなる連続多段型(スタック型)で、スタート、ストップパターン、左右の段インジケータ、1個から30個のシンボルキャラクタから構成されます。また、右行指示子の省略とストップパターンを縮小化した「コンパクトPDF417(トランケートPDF417/トランケーションモード)」や、PDF417を基本にスタート/ストップコードを簡略化、1モジュールの高さを2倍にすることで情報化密度の向上と省スペース化を実現した「マイクロPDF417」などもあります。
- 扱える文字の種類
-
- 0~9までの数字
- アルファベット大文字・小文字
- 記号
- 漢字など各言語
- 表現可能な桁数
- 自由
- 採用例
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- 出荷明細書
- 品質管理、生産指示
- 免許証等のIDカード
- 電子郵便切手
OCR(文字認識)も可能
ハンディターミナルの中には、印刷された文字列をデータとして収集する「OCR」(Optical Character Reader)機能を搭載した製品もあります。OCRを活用すれば、キー入力や音声入力よりもはるかにスピーディーにデータ入力が行え、大幅な業務効率化が図れます。たとえば、製造年月日や賞味期限などの文字列は、ハンディターミナルでスキャンすればすぐにデータ化が可能です。人間が目視して確認したり手で入力する必要がないので、ミスや漏れを防ぐことができます。また、読み取った文字列データをバーコード付きのラベルとして発行することで、その後の運用を効率的に進められます。
読み取り可能な文字の種類
あらゆる文字を瞬間読み取り
フォントを問わずさまざまな文字を読み取ります。バーコードがなくても、すぐに業務改善を始められます。