OCRの活用方法
従来は、文字認識に課題があったOCR(光学的文字認識)ですが、近年では認識精度も向上し、手書き文字でも高精度な読み取りが可能になっています。より高度な文字認識のアルゴリズム研究が進み、近年ではAI技術を活用した「AI-OCR」も誕生したことで、活用方法の幅も広がっています。こちらでは、代表的な活用方法とOCRを利用するメリットについて紹介します。
得られる効果
OCRを導入することで、さまざまなメリットがありますが、こちらでは代表的な効果について紹介します。
生産性向上
人の場合
OCRの場合
OCRを導入することで、人間の目視できしか判断できなかった文字認識を自動化できます。従来であれば、目視で確認して合否の判断をしたり、記帳したり、さらにデータ入力を行っていましたが、それらの作業から解放されます。生産管理システムや販売管理ソフトへの入力作業も不要になるので、そのぶんのリソースを必要な工程に振り分けることができ、生産性向上が望めます。
- 具体的にこんなシーンで便利に!
- バーコードや2次元コードの印字が不要にになる!
- OCRを活用すれば、人間が目で見て判断するように、数字や記号などを判断でき、バーコードや2次元コードの印字が不要になります。そのため、印刷の手間が省け、生産性向上に効果的です。
- 記帳やデータ入力などが不要になる!
- バーコードや2次元コードがない場合、消費期限/賞味期限や製造年月日の管理など、人間が目視で確認し、記帳したり、キー入力していましたが、それらの作業も不要になり、作業の効率化が図れます。
- 人為的なミスがなくなり、無駄な業務を削減できる!
- 人為的な記帳ミス・漏れを防ぐことができます。たとえば日々の在庫・商品管理、さらに大量の記帳を行う棚卸、また納品書や請求書といった書類の管理など、さまざまなシーンで効果を発揮します。
- デジタル化で簡単&確実な情報管理ができる!
- OCRで、テキストデータをデジタル化すれば、さまざまなシステムと連携可能です。製品番号や在庫数、消費期限/賞味期限、製造年月日などの情報管理も簡単&確実に行えます。
- デジタル化でトレーサビリティの確保ができる!
- 検索性に優れたデジタルデータであれば、不良品が流出したり、リコールが発生したりしても、該当部品・製品を速やかに追跡でき、トレーサビリティの確保も容易です。
コスト削減
長年、納品書や請求書などの書類、バーコード/2次元コードを印字するラベルなど、紙が使われてきました。しかし、OCRを活用してデジタル化を進めれば、ペーパーレス化が可能で、紙代や印刷コストなど、無駄な経費を抑えることができます。また、OCRによって単純作業を自動化すれば、そのぶんの人件費も抑えることができます。これによって生産性を下げることなく、コスト削減が実現できます。
- 具体的にこんなシーンで便利に!
- ラベルが不要になるので、印刷コストが削減できる!
- ラベルなどにバーコードや2次元コードを印刷しなくてもよいので、ラベルやインクなどの印刷コストの削減にもつながります。
- 印刷に必要な機器も不要になので設備投資も最小限で済む
- バーコードや2次元コードの印刷が不要になるので、専用の印刷機器やリーダーなども不要になり、設備にかかるコストも抑えられます。
- 作業の自動化が可能なので、人件費削減にも効果的!
- 目視による確認、ラベルの印字、紙資料の整理や管理といった作業も不要になるので、人的リソースの最適化や人件費の削減に有効です。
OCRの活用事例については、以下のページで具体的な導入例も含めて紹介していますので、あわせてご確認ください。
バーコードとの併用
バーコード/2次元コードとOCRに対応したOCRリーダーや画像処理システムを活用すれば、バーコードや2次元コードが印字されたものはバーコード/2次元コードを読み取り、印字がなく文字のみの場合はOCRで文字を読み取る、または両方読み取るといったことも可能です。商品や書類によっては、バーコードと文字(品番や日付など)が併記されている場合もあります。こういった場合は、両方読み取ることで、データを一元管理しやすくなります。このように1台でバーコード/2次元コード/OCRに対応できれば、対応の幅も広がり、機器もひとまとめにできて効率的です。
- OCRも万能ではない、目的と機器選びが重要!
- OCRには、デメリットもあります。たとえば、文字認識率です。近年は、劇的に認識精度が向上していますが、それでも100%ではありません。また、OCRシステムには、準定型や非定型など、対応している書類フォーマットもさまざま。さらに手書きの読み取りも必要な場合は、さらに認識精度に不安が残ります。
- そのため、業務フローにOCRを組み込む場合、使用目的や費用対効果、OCRリーダーやシステム全体の選定が非常に重要です。「認識精度はどれくらいなのか?」「どれくらいの文字数に対応しているのか?」「生産部門で使用するのか、経理・会計業務で使用するのか?」など、さまざまな課題があります。
- OCRシステムの選定方法については、以下のページでも詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。