【製造業】自動車・輸送機器
ハンディターミナルの代表的な使用例は、「ハンディターミナルシステムの導入用途」で説明しましたが、こちらでは製造業の中でも自動車・運送機器に絞って実際の活用事例を紹介します。自動車・輸送機器の製造現場の各工程における課題、ハンディターミナルを導入するメリットを事例を交えて解説します。
- 自動車・輸送機器の製造について
- 自動車・輸送機器の製造における課題
- ハンディターミナル導入による課題解決
- 代表的な工程と製造の流れ
- 工程別 ハンディターミナル導入によるメリット
- 文字認識ハンディターミナルで運用改善
- まとめ
自動車・輸送機器の製造について
自動車・運送機器の製造は、小さな不具合が重大な事故につながる可能性もあり、高い品質と精度が求められます。例えば自動車は、小さなボルトも含めると3万個を超える部品からできていると言われ、多機能化する自動車の部品点数は増え続けています。これらの部品を完璧に検査し、情報を管理することは非常に困難です。
また、自動車・運送機器の場合、リコール発生時に迅速に影響範囲を特定し、回収する必要があります。近年では、自動車リサイクル法も制定され、完成車メーカーはもちろん、部品メーカーや販売店まで含めたトレーサビリティの確保が求められます。これらに対応するためには、人の力だけでは限界があります。そこで製造工程の自動化に加え、ハンディターミナルシステムを導入した情報管理の自動化が重要です。
自動車・輸送機器の製造における課題
自動車や輸送機器の製造に限りませんが、製造業において生産計画の遅れは納期に直結します。主な原因は、ずさんな工程管理や在庫管理です。工程管理はもちろんですが、それ以前に在庫管理が徹底されておらず、資材の受入時に検品や棚入れのミスがあればピッキングミスを誘発し、製造工程のスケジュールに影響を及ぼします。在庫管理に問題があれば、製造工程の管理も正確にできず、後工程になるほど無駄が増えていきます。
ハンディターミナル導入による課題解決
ハンディターミナルを活用し、入荷時からバーコード・2次元コードで管理すれば、製造の進捗状況や工程の作業履歴データを瞬時に収集し、データベース化できるようになり、「どの製品が、どの工程で、どんな仕掛状態にあるのか」をリアルタイムで把握できます。誰が、どの作業に、どれだけ時間をかけているのかを一元的に管理できるので納期の的確な予想ができ、柔軟な人員配置が行えるようになるので効率的です。
代表的な工程と製造の流れ
自動車・運送機器の製造における具体的なハンディターミナルの導入事例を工程別に説明します。自動車・運送機器の代表的な工程と製造の流れは以下のようになります。
仕入先
- 完成品倉庫
-
- 出荷検品
- 在庫管理
- 棚卸し
工程別 ハンディターミナル導入によるメリット
上述の代表的な工程別にハンディターミナルを導入するメリット、実際の活用事例を説明します。
部材受入
ハンディターミナルを導入すれば、部材に付与されているバーコードなどを読み取り、すぐに受入実績データ化できるので目視によるポカミスを防げます。製造ラインで部材を使用する際は、自動的に在庫移動処理が行われるので人力による記録やデータ入力が省略でき、正しい在庫管理が可能になります。入荷検品/受入検査の精度が大きく向上します。
部材倉庫
目視による検品で入荷時にミスがあると、製造ラインで必要な部材をピッキングする際に混乱が生じ、その後の工程が大きく停滞します。また、作業する順番にパーツを並べる「配膳」という工程にも狂いが生じます。ハンディターミナルとバーコードを活用して商品情報、棚情報を関連付けておけば、こうした作業の迅速化・確実化が図れます。確実なピッキング作業の実現と棚卸管理の効率化、照合作業が大幅にスピードアップします。
加工
ハンディターミナルを活用すれば、全体の稼働管理や工数管理、投入チェック、工具管理がリアルタイムで行えるので、工程進捗管理が容易になり、製品の品質向上が期待できます。また、部材や製品のほか、消耗品・設備・工具の使用状況や消耗状況も知ることができ、設備管理における予防保全としても有効です。
組立
組立工程で生じやすいトラブルの代表格は「組み付けミス」です。ハンディターミナルを活用すれば、製品・部品コードをスキャンするだけで部品確認のほか作業手順までディスプレイに表示され、誰にでもわかりやすい組み付け環境を作ることができます。品番や形状が似た部品・製品は取り違えが起こりやすいですが、バーコードなどで管理すれば組み付けミスを削減でき、作業記録も自動的にとれるのでトレーサビリティとしても有効です。
検査
システムとの連携により、製品のシリアル登録が簡略化できることがハンディターミナル導入の利点です。製品トレーサビリティも格段に向上するので不良品発生など不測の事態でもすぐに原因となった工程を特定できます。検査実績や修理実績はその場でデータ化されるので、品質向上へどう取り組むべきかが明確になります。
完成品倉庫
完成品は、自社の完成品倉庫に搬入されて納品を待ちますが、目視に頼らない出荷検品により誤出荷が大幅に軽減されます。また、ハンディターミナルとシステムの連携で在庫管理や棚卸しの効率化が図れます。
文字認識ハンディターミナルで運用改善
自動車・輸送機器製造の現場では、シリアルNo.やロットNo.がバーコード化されていないこともあります。そのような場合、これまでは目視検査に頼っていました。しかし、文字認識(OCR)に対応したハンディターミナルを活用することで、確実かつスピーディに作業ができ、ミスの撲滅や作業効率改善に効果的です。キーエンスのハンディターミナル「BTシリーズ」は、文字認識(OCR)に対応しているので、以下のようなシーンで力を発揮します。
現品票と商品の照合
パーツラベルのシリアルNo.などの文字列は、従来は目視チェックと手書き、パソコンへの手入力など手間がかかっていました。さらに類似したデータも多く、目視検査でミスが多発していました。ハンディターミナルならスキャンするだけで入力可能なので、目視検査によるミスを大幅削減でき、作業効率化にもつながります。
従来
- 目視チェック&手書き&
パソコン手入力
改善
- シリアルNo.をスキャンするだけ。
ラクラク入力
製品・部品のトレース管理
基板や金属にダイレクトに印字されたシリアルNo.やロットNo.は、文字が小さく、材料によっては読みにくいという問題があります。しかし、材質やスペースの都合上、バーコードを印字できないケースもよくあります。従来は、目視チェックを行っていましたが、見落としや読み間違い、手書きやパソコン入力でのミスが目立っていました。ハンディターミナルを導入すれば、スキャンするだけで入力ができるので、バーコードを印字できない製品・部品のトレース管理を強化できます。
従来
- 目視チェック&手書き&
パソコン手入力
改善
- シリアルNo.をスキャンするだけ。
ラクラク入力
まとめ
このページでは、自動車・輸送機器の製造における課題と、ハンディターミナル活用による改善事例を紹介しました。まとめると以下の通りです。
- 生産計画の遅れを防ぐには、工程管理と同様に在庫管理の徹底が重要
- 部材受入から完成品出荷までの在庫情報のリアルタイムな一元管理には、ハンディターミナルの活用が有効
さらに、ハンディターミナルを活用することで、以下のようなメリットが得られます。
- 目視確認や手入力による人的ミスの防止と、作業の簡易化による工数削減
- 工程での作業手順の表示やチェックができ、ポカヨケと同時に工数などの実績管理が可能
- 材料や部品に誤りがあれば警告を発し、入庫・出庫・投入ミスを防止
- トレーサビリティを向上し、不良原因となったロットや工程を容易に特定
キーエンスのハンディターミナルには、この他にも文字認識(OCR)やDPM(直接印字)のスキャン性能など、さまざまな機能が搭載されており、活用方法によって大きなメリットをもたらしてくれます。
その活用方法や導入手順をまとめた資料「ハンディターミナル活用ガイド」は下記よりダウンロードいただけます。商品カタログとあわせてご覧ください。