お客様導入事例伊那食品工業株式会社 様
伊那食品工業株式会社藤沢工場製造2課チームリーダー木下 美彰氏にUVレーザーを導入した経緯とその効果について詳しく聞きました。
「かんてんぱぱ」への賞味期限印字にUVレーザーを採用
伊那食品工業は、“かんてんぱぱ”ブランドを中心に、寒天や天然ゲル化剤の製造・販売をおこなうメーカーとして、60年以上の歴史をもつ企業です。「いい会社をつくりましょう~たくましく そして やさしく~」を企業理念に、社員のやりがい・思いやりを大切にする風土の中、寒天の可能性を追求し、常にお客さまのニーズに合った魅力ある製品を開発・展開しています。
UVレーザーを検討することになった背景について教えてください
弊社ではこれまでも製造工程における効率化・ムダ削減の取り組みをおこなってきているのですが、その中でも優先度の高い課題の一つが印字工程でした。従来は他社メーカーのインクジェットプリンタを使用していましたが、印字後の熱殺菌工程での印字欠落、個装への転写のリスクがどうしてもありました。そのため、画像検査カメラと目視検査のダブルチェックで不良品が市場に流出しないよう細心の注意を払って製造していました。しかし、そのような対策の中でどうしても発生してしまうNG品の廃棄コストや、目視検査に必要な人手を何とか減らせないか、と考えていたことが検討のそもそものきっかけでした。そんなときに、キーエンスのUVレーザーの存在を知り導入検討をすることになりました。
UVレーザーをご採用いただくに至った決め手を教えてください
一番は、商品の包材を変えることなく“絶対に消えない印字ができる”という点です。検討時には他社メーカーのレーザーマーカーも含めてフィルムへの印字テストをおこなったのですが、熱で表面を焼き飛ばすCO2レーザーではどうしてもフィルムにダメージが加わってしまい包材自体を変更しなければならないというネックがありました。一方、キーエンスのUVレーザーですと、包材を変えることなくフィルムを発色させることができて、熱ダメージもかからないという点が他の印字機にはないメリットでした。印字サンプルをいただいた時、正直「これしかないな」と思いました。 印字消えの問題が解消されるので、従来必要だった目視検査の作業がなくなりますし、従来のインク方式で発生していた日々の消耗品などのランニングコストや、ヘッド清掃などのメンテナンス作業がいらなくなる点も大きかったです。正直UVレーザー本体のお値段は高額なので(笑)、色々な試算をしたのも事実です。従来発生したさまざまなコストを十分吸収できる見込みがあるという試算結果となりまして、導入に踏み切りました。
UVレーザー導入後の効果を教えてください
効果としましては、従来の生産計画では、充填後の包装工程で個装への印字転写の検査が必要な状況だったのですが、UVレーザー導入後は個装への転写がなくなり、結果として包装工程の生産性が30%上がりました。また、目視検査員も別の新しい作業へシフトしてもらうことができ、さらに付加価値の高い仕事に取り組んでいただいています。運用開始当初は、従来のインク方式に比べると、UVレーザーの印字の方が少し薄いので現場の方から少し印字が見えにくくなったという声はあったのですが、『絶対に消えない印字』に変わったことで、製造ライン中での印字落ちはまったく起こらなくなりました。また出荷後の輸送中に印字が擦れて消える、といったクレームも入らなくなりました。印字不良がゼロになったことで、お客さまに商品を安心してお届けできています。
その他、UVレーザー導入後にわかったことなどあれば教えてください
あとは、予期せぬライン停止がなくなったという点も大きなメリットと感じています。例えば従来の他社製インクジェットプリンタでは、インクの劣化などで印字状態が悪くなることがあって、そういった時はインク交換をおこなっていたのですが、交換に2時間程度かかることもありました。生産した原料は、決まった時間までに充填しなければいけないので、メンテナンスなどでラインが止まってしまうと、規定時間を過ぎてしまい原料廃棄のリスクがあります。消耗品がなく印字し続けられるUVレーザーはそういった心配がないという安心感もあります。1台目の導入から約3年が経過し良い効果を確認できたので、昨年別の工程に追加でUVレーザーを採用させていただきました。今後も安定生産に貢献してくれると期待しています。
「ジェルシー」に、追加採用したUVレーザーで印字をおこなっている