ピロー包装機
ピロー包装機は製袋充填包装機の一種です。製袋充填包装機は製袋する工程の中で内容物を充填し、口を封じて切断する形式の包装機です。ピロー包装機は製袋充填包装機の中でも最も一般的です。食品包装でもよく使われており、主に個包装製品に用いられています。
ここでは、ピロー包装機の種類や特徴といった基礎知識から、ピロー包装機で包装作業の効率を上げるポイントまでを説明します。
ピロー包装機とは
ピロー包装機とは、包装フィルムを筒状に成形しながら内容物を包み、シールすることで包装する包装機です。
ピロー包装機は大きく横ピロー包装機と縦型ピロー包装機に分けられ、工程の進行方向や内容物が液体か粉体か固体かによって使い分けられます。
その他、三方シール包装機や四方シール包装機、スティック包装機もピロー包装機の一種です。
横ピロー包装機
横ピロー包装機はベルトコンベアで製品を横に流す過程で、包装フィルムを筒状に成形しながら包装し、両端をシールしてカットする包装機です。
固形食品の包装に適しており、高速で密封包装できるため、最も普及しています。
横ピロー包装機の仕組み
横ピロー包装機が包装する動作は、以下の通りです。
- ①包装フィルムを筒状に成形しながら内容物を包む
- ②縦方向をシールする(センターシール)。
- ③両端の口をシールする。
- ④カットする。
「①」の工程で、内容物を上から包み込む包装機を正ピロー包装機といい、下から包み込む包装機を逆ピロー包装機といいます。
A:筒状にする
横ピロー包装が適している製品
正ピロー包装機は内容物を包装フィルムで上から包み込むため、固形や大きさが一定の製品、トレーに乗せた製品の包装に適しています。
一方、逆ピロー包装機は内容物を包装フィルムで下から包み込むため、バラ物など形状が一定ではない製品や熱に弱い製品、トレーに乗せることができない製品の包装に適しています。
- 正ピロー包装機に適した製品:
- トレーに乗せた食品や菓子パン、切り餅、袋入りラーメン(個包装)、焼き菓子など
- 逆ピロー包装機に適した製品:
- パスタやお菓子、長い野菜の集積包装、トレーに乗っていない生ものなど
縦ピロー包装機
縦ピロー包装機は、包装フィルムを縦に流しながら筒状に成形し、内容物を包む包装機です。筒状になった包装フィルムは、まず背面と底面をシールし、製品を上から充填します。そして、最後に上部をシールしてカットします。
縦ピロー包装機の仕組み
縦ピロー包装機が包装する動作は、以下の通りです。
- ①包装フィルムを筒状に成形し、シールする(センターシール)。
- ②底側をシールする。
- ③内容物を入れる。
- ④上部の口をシールし、カットする。
縦ピロー包装が適している製品
縦ピロー包装機はバラ物や液体、粉末、粒体、粘体の包装に適しています。内容物を上から落とすため、衝撃に弱い製品の包装には適していません。
具体的には、スープ、みそ、マヨネーズ、ケチャップ、調味料、小麦粉、粉せっけん、スナック菓子などが挙げられます。
その他のピロー包装機
ピロー包装機には、横ピロー包装機と縦ピロー包装機以外にも、さまざまなタイプがあります。ここでは、その中でも代表的な包装機を紹介します。
三方シール包装機(小袋包装機)
フィルムを2つに折って、三方をシールする包装機です。三方シール包装機のシール機構には縦シールと横シールがあり、縦シールで袋状にしてから中身を充填し、その後横シールして密封します。
- 適している内容物:
- ラーメンのスープ、粉末だし、お茶漬け海苔、ふりかけなど
四方シール包装機
4方向のすべてをシールする包装機です。四方シール包装機のシール機構には、4方向を同時に熱ロールでシールしながら充填するタイプと、下部をシールした後で内容物を充填し、上部をシールするタイプがあります。
- 適している内容物:
- 顆粒粉末や液体など
スティック包装機
包装フィルムをスティック状に成形して一方をシールし、内容物を充填、もう一方をシールします。多くは、この装置を多列に配置して包装します。
- 適している内容物:
- 砂糖や甘味料、インスタントコーヒー、コーヒークリーマー、粉ミルクなど
ピロー包装機で効率を上げるには
ピロー包装機は、他の包装機に比べて省スペースで、ロールフィルムを使うため資材コストを抑えることができます。また、軟包装であるため物流効率が高いといったメリットがあります。
しかし、導入しただけで効率が上がる装置ではありません。製品や工程との相性、包装フィルムや印字機の選択などによっては、思い通りの効率を達成することはできません。
ここでは、包装作業の効率を上げるための、ピロー包装機導入のヒントを紹介します。
最適なシーラー方式を選ぶ
シーラーとは、シール(エンドシール)とカットを同時に行う装置です。シーラーにはロータリー式とボックスモーション式があり、包装する製品によって使い分けられます。ここでは、この2種類のシーラーについて解説します。
- シールの原理:
- 包装フィルムを挟むように取り付けたローラー状のヒートシーラーが回転してシールし、同時にカットするという動作を連続的に行います。
- 特徴:
- 構造がシンプルであり、シールとカットを同時に行うため、高速な包装が可能です。一方で、包装できる製品の高さに制限があります。また、シールの加熱時間が短いため、高い密封性が求められる包装には不向きです。
- 適している内容物:
- 菓子パン、袋入りラーメン(個包装)、焼き菓子など
A:シーラー上 B:シーラー下 C:進行方向
- シールの原理:
- ヒートシーラーがボックスの周りを回るように動き、包装フィルムを押さえたまま並走してシールし、カットします。
- 特徴:
- ヒートシーラーが、包装フィルムを押さえている時間だけ、シールを加熱することができます。加熱時間を長くとることができるため、密封性の高い包装が可能です。一方で構造が複雑であり、ロータリー式に比べて高速性に劣り、高価です。
- 適している内容物:
- 高い密封性が必要な食品、切り餅、ラーメンのスープ、粉末だしなど
A:シーラー上 B:シーラー下 C:進行方向
最適な包装フィルムを選ぶ
ピロー包装で使用する包装フィルムは内容物に合わせて多種多様ですが、その中でも一般的な包装フィルムを以下に紹介します。
高い防湿性や耐水性、耐酸性などが特徴で、ヒートシール性にも優れます。耐衝撃性にも優れているため、縦ピロー包装機で使用されます。一方で、耐油性や耐有機溶剤性、耐熱性に劣ります。
ガスバリア性や防湿性、保香性を持たせるために、PVDC樹脂をコートしたフィルムです。ガス充填包装や防湿包装などに使用されています。
耐寒性や耐熱性に優れ、冷凍食品やレトルトパウチの包装に適しています。また、香気保存性も良くコーヒー、香辛料などの包装にも使われます。印刷やラミネートなどの加工時に張力をかけてもピッチがズレにくいという特長があります。
また、シールに必要な温度はフィルム素材によって異なるため、内容物への熱の影響を考慮したうえで素材を選択します。
最適な印字機を選ぶ
ピロー包装で使用する印字機には、ローラー式のプリンタまたはホットスタンプ式のプリンタなどの機械式のマーキングから、サーマルプリンタやインクジェットプリンタ、UVレーザプリンタまで、必要に応じた幅広い選択肢があります。
これらの中でも、ピロー包装機への組み込みには、サーマルプリンタやインクジェットプリンタ、UVレーザプリンタが適しており、それぞれの特徴を以下に紹介します。
多くの場合、包装する前のフィルムに印字します。印字領域が広いため、日付以外に、原材料名などの一括表示を印刷することもできます。
ピロー包装機の包装位置に、近い場所にブラケットを使って取り付けます。このため、導入済みの包装機への取り付けには、包装設備の加工などの対応が必要になる場合があります。また、サーマルプリンタの対応ライン速度の制約から、包装機の回転数に追い付かないケースがあります。
サーマルプリンタとは異なり、産業用インクジェットプリンタでは、内容物を包装する前または後に印字できます。非接触での印字であるため包装機に取り付ける位置の自由度が高く、印字ヘッドはUVレーザプリンタと比べてもコンパクトなので取り付けが容易です。また、サーマルプリンターに比べて高速ラインでも対応できます。
キーエンスのインクジェットプリンタは、ヘッドの自動洗浄やインク粒子自動最適化など、印字品質を常に安定させる機能を搭載しています。
UVレーザ光で包装フィルムの印刷層を発色させて印字する方式です。
印字が絶対に消えない、日々の消耗品コストがかからない、メンテナンスが無いのでダウンタイムが発生しないといったメリットがあります。
従来のサーマルプリンタと同じ超コンパクトヘッドサイズにより、あらゆる包装機・生産ラインに取り付けてご使用いただけます。
包装フィルムも特殊なフィルムは必要なく、お使いのフィルムそのままで、サーマルプリンタから置き換えるだけでご使用いただけます。