軸と軸受(ベアリング)にかかる力

軸受(ベアリング)にかかる荷重には、回転軸の自重と回転することによって発生する荷重、そして動力伝達による荷重があります。これらは数値計算できるものもあれば、計算できないものもあります。

ここでは、軸受が動力を伝達する際に発生する荷重について、計算の方法を説明します。

軸受(ベアリング)にかかる荷重

軸受にかかる荷重は、軸受が支える軸の荷重や軸の回転によって発生する伝動力や慣性力によって「ラジアル荷重」「アキシャル荷重」「モーメント荷重」に分類され、これらは合成荷重として作用することが一般的です。

ラジアル荷重

軸受の中心線に対し垂直な方向(回転体の円周方向)にかかる荷重です。

この荷重を支える軸受を「ラジアル軸受」といいます。

ラジアル軸受にかかるラジアル荷重
ラジアル軸受にかかるラジアル荷重
A:軸受の中心線

アキシャル荷重(スラスト荷重)

「スラスト荷重」ともいいます。軸受の中心線に対し平行な方向(回転体の軸方向)にかかる荷重です。

この荷重を支える軸受を「アキシャル軸受」または「スラスト軸受」といいます。

アキシャル軸受にかかる
アキシャル荷重
アキシャル軸受にかかるアキシャル荷重
A:軸受の中心線

モーメント荷重

軸受や軸の偏心によって発生する荷重です。この荷重が発生している場合、軸受の寿命は極端に低下します。

モーメント荷重

軸受に作用する荷重係数

機械に使われている軸受にかかる荷重は、衝撃や振動の影響で、理論的に計算された値より大きくなります。

そこで一般的に、以下の表に示した荷重係数を掛けて、軸に作用する実際の荷重を求めます。

F = fw \cdot Kc
  • F:軸にかかる実際の荷重(N{kgf})
  • fw:荷重係数(下表)
  • Kc:理論的な計算値(N{kgf})
荷重係数(fw)
衝撃の種類 ほとんど衝撃がない 軽い衝撃 強い衝撃
fw 1.0~1.2 1.2~1.5 1.5~3.0
使用機械 電気機械、工作機械、計器類 電気機械、工作機械、計器類、鉄道車両、
自動車、圧延機、
金属機械、製紙機械、
印刷機械、航空機、
繊維機械、電装品、
事務機械
粉砕機、農業機械、
建設機械、物揚機械

軸受への荷重配分

1本の軸を複数の軸受で支えた場合に、軸にかかる荷重配分は以下の通りです*。

Fr_A = \left( \frac{a+b}{b} \right) \cdot Fi + \left( \frac{d}{c+d} \right) \cdot Fii\\ Fr_B = (\frac{a}{b}) \cdot Fi + (\frac{c}{c+d}) \cdot Fii
  • FrA:軸受Aにかかる荷重(N{kgf})
  • FrB:軸受Bにかかる荷重(N{kgf})
  • Fi 、Fii:軸系にかかる荷重(N{kgf})
  • a:Fiから軸受Aの中心までの距離
  • b:軸受Aの中心から軸受Bの中心までの距離
  • c:FiiからFrAの中心までの距離
  • d:FiiからFrBの中心までの距離
軸受への荷重配分
軸受への荷重配分

ここでは、荷重の方向など複雑な要素は考慮していません。上記は単純な例であり、実際には複雑な計算になります。

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